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DOGEの元メンバーが作ったAIスタートアップ、Anthropicを12時間以内にハックと主張 — 評価額約2,200億円の新興企業が示すAIエージェント攻撃の現実

10月29日、Futurismが「Elon Musk-Linked Startup Says Its AI Agents Hacked Anthropic in Just Hours」と題した記事を公開した。イーロン・マスクのDOGE出身者が創業したAIセキュリティスタートアップ「Cathedral」が、AIエージェントを用いてAnthropicの内部システムへの侵入に成功したと主張している件について詳しく報じている。

10月29日、Futurismが「Elon Musk-Linked Startup Says Its AI Agents Hacked Anthropic in Just Hours」と題した記事を公開した。イーロン・マスクのDOGE出身者が創業したAIセキュリティスタートアップ「Cathedral」が、AIエージェントを用いてAnthropicの内部システムへの侵入に成功したと主張している件について詳しく報じている。


DOGEの元メンバーが作ったスタートアップが、AnthropicをAIでハック

創業からわずか数ヶ月のサイバーセキュリティスタートアップ「Cathedral」が、フロンティアAIラボ(最先端AI研究所)であるAnthropicの内部システムへの侵入に成功したと主張している。

Washington Postの報道によれば、CathedralのAIエージェントはビジネスソフトウェアの脆弱性を突き、会議の議事録、給与情報、採用オファーの詳細、Slackのメッセージなどにアクセスした。所要時間は12時間以内だという。

Cathedralは、マスクが主導した米政府効率化部門(DOGE: Department of Government Efficiency)の元メンバーによって設立された。DOGEは2025年初頭に発足した政府コスト削減を名目とする組織で、連邦政府の各省庁に若手テクノロジスト・エンジニアを送り込み、短期間で広範なシステムアクセスを得たことで知られる。そのDOGEで活動した人材が、今度は民間のサイバーセキュリティ事業を立ち上げたのがCathedralだ。

ベンチャーキャピタル大手Andreessen Horowitzの共同創業者であるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)が取締役に名を連ねており、トランプ政権およびマスクのネットワークとの深い関係をうかがわせる。Andreessen Horowitzはシリコンバレーを代表するVCであるとともに、近年は政治的にもトランプ陣営との距離を縮めており、同社の関与はCathedralの政治・資本両面での影響力を象徴している。創業間もないにもかかわらず、投資家からの評価額は14億ドル(約2,200億円)、調達額は1億6,000万ドルに達しており、すでに少なくとも3つの連邦政府機関と契約を結んでいる。


Anthropicは「限定的なアクセスだった」と反論

一方、Anthropic側はこのハックの深刻度を抑えめに評価している。同社はWashington Postに対し、Cathedralがアクセスできたのは営業・人事・ITシステムの「限定的な範囲」に過ぎないと説明した。

さらに、Anthropicは次のような反論も加えている。「Cathedralは最初、当社のソフトウェアに直接侵入しようとして数日間試み、断念した。その後、当社が利用していたビジネスソフトウェアをターゲットに切り替えた」というのだ。つまり、Anthropic本体への直接侵入には失敗しており、侵入経路はサードパーティのソフトウェアだったということになる。冒頭の「12時間以内にハック」というCathedralの主張は、Anthropicの中核システムを突破したのではなく、あくまで外部ツール経由での侵入であった点は押さえておきたい。

Anthropicの広報担当者は「Cathedralの活動の一部は、彼らが報告してくる前に当社の監視システムが検知しており、同日中にアクセスを遮断した。また、Cathedral以外の者がこの脆弱性を悪用した証拠はない」とコメントしている。


専門家が指摘する「サードパーティ問題」

今回の件でセキュリティ専門家が注目するのは、ハック手法そのものよりもAI開発者がサードパーティソフトウェアを管理する際のセキュリティの抜け穴だ。Anthropicが直接攻撃されたのではなく、Anthropicが使っていた外部ツールが突破口になったという事実は、サプライチェーン攻撃のリスクをあらためて浮き彫りにしている。サプライチェーン攻撃とは、標的組織が利用するサードパーティソフトウェアや外部ベンダーを経由して侵入する手法で、近年のサイバーセキュリティにおける主要な脅威の一つとされている。

匿名のトランプ政権関係者はWashington Postに対し、Cathedralの報告は政府内で波紋を呼んでいると述べた。「創業したばかりの若者集団がこれをやってのけるなら、中国も遠からず同じことができる」というのがその懸念だ。

AIを使ったサイバー攻撃への警戒感は業界全体で高まっている。今年だけでも複数のフロンティアラボが、AIモデルがサンドボックス環境を抜け出してサードパーティに侵入したと認めている。また今月初めには、サンフランシスコのOpenAI幹部の会議室に盗聴器を仕掛けたとしてサウジアラビア国籍の男が逮捕される事件も起きている。


AIエージェントによる攻撃は「本物の脅威」になりつつある

今回のCathedralの主張が事実であれば、AIエージェントが自律的にシステムの脆弱性を探索し、数時間以内に機密情報へのアクセスを実現できることを示す事例となる。Anthropicが自社の監視システムで検知できた部分があったとはいえ、完全な防御には至らなかった。AIエージェントのセキュリティリスクについては、Anthropic自身も公開しているセキュリティ研究において継続的に取り上げており、今回の事案はその懸念が実地で顕在化した一例といえる。

DOGEという政治的文脈、Andreessen Horowitzという資本の文脈、そして連邦政府との契約という権力の文脈が重なるこのスタートアップの動向は、AI×セキュリティの分野で今後も注視が必要だろう。

詳細はElon Musk-Linked Startup Says Its AI Agents Hacked Anthropic in Just Hoursを参照していただきたい。