powered by TechFeed
表示モード
Anthropic

AnthropicのエンジニアチームはClaudeに「文字通り、すべての」コードを書かせている — ジュニア採用急減の背景にある「自律性・判断力重視」への方針転換

10月30日、pbxscience.comが「Anthropic Platform Engineering Team Says Claude Now Writes All of Its Code」と題した記事を公開した。AnthropicのプラットフォームエンジニアリングチームがClaudeにすべてのコードを書かせているという実態と、それに伴う採用方針の変化について詳しく報じている。

10月30日、pbxscience.comが「Anthropic Platform Engineering Team Says Claude Now Writes All of Its Code」と題した記事を公開した。AnthropicのプラットフォームエンジニアリングチームがClaudeにすべてのコードを書かせているという実態と、それに伴う採用方針の変化について詳しく報じている。


「文字通り、すべて」

Anthropicでプラットフォームエンジニアリングを率いるKatelyn Lesseは、10月20日にGrafana Labsが主催するオブザーバビリティカンファレンス「ObservabilityCON」(※メトリクス・ログ・トレースなどシステム可観測性をテーマとした年次カンファレンス)で、自身のチームのシステム構築・運用においてClaudeがすべてのコードを書いていると明言した。発言では「literally, everything(文字通り、すべて)」という言葉が使われた。

Lesseが率いるプラットフォームエンジニアリング部門は約200人規模(2026年夏時点)で、Anthropicのインフラ、開発者ツール、Claude Developer Platformを含むコアサービスの基盤を担う、いわば社内のエンジンルームだ。Grafana Labsはオブザーバビリティプラットフォーム「Grafana」を開発・提供する企業であり、近年はAIを活用したインフラ監視ソリューションの拡充にも注力している。


人間はいなくなったのか?

Lesseは「人間がプロセスから外れた」とは言っていない。エンジニアは引き続きシステムの設計を担い、成果物の検証方法を決定する。実際のコーディング作業をClaudeに任せているという構造だ。

その典型例として挙げられたのが、AnthropicのメインコードベースのPythonからRustへの移行だ。エンジニアたちは移行後の動作を検証する方法の設計に集中し、AIエージェントがコードの構築・監視・動作確認という地道な作業を担った。

さらにAnthropicはすでに、テストで検出されたバグをエージェントが自律的に修正する仕組みも導入済みだという。次の課題は、エージェントが本番稼働中のコードベースを単独で書き換える状況に対してエンジニアがどう慣れていくか、だとLesseは述べた。エンジニアリングリーダーたちは率直に「緊張している」と認めつつも、慎重に進めていると語った。

なお、この発言はLesseのチームについてのものであり、Anthropic全社を指すわけではない。会社全体については、2026年5月時点でClaudeが本番コードベースにマージされるコードの80%以上を書いていると別途発表されている。


ジュニアエンジニアの採用が急減——「駆逐」ではなく「方針転換」

Anthropicは全社でClaude Codeを導入しており、その影響は採用構造にも表れている。10月16日に公開した社内レポートによると、

指標 2025年初頭 2026年
技術職全体に占めるジュニア社員の割合 21% 14%
技術職採用に占めるジュニアポジションの割合 27% 9%

ジュニアエンジニアの採用比率がわずか1年強で27%から9%へと急落している。ただし、この数字をそのまま「AIがジュニアを駆逐した」と読むのは早計だ。同社は候補者に求める資質として「自律性」と「判断力」をより重視する方向に採用方針を転換しており、ルーティン的なコーディング作業をAIが担う前提でチーム構成を見直した結果として位置づけている。単純な人員削減ではなく、エンジニアに期待する役割そのものの再定義が起きているという文脈を踏まえて読む必要がある。


IPO直前という背景

こうした「AIが書くコード」への依存は、Anthropicが組織をスリムに保つことを可能にした側面もある。同社は2026年6月にIPOの草案を非公開で提出し、10月下旬には正式な公開申請を経てNasdaqへの上場を計画している。

直近の業績は以下の通りだ(※売上高の原文単位については元記事を参照。以下は元記事記載の数値をそのまま掲載しており、単位の読み替えは行っていない)。

四半期(2026年) 売上高 前四半期比成長率
Q1 47億ドル —
Q2 116億ドル 約147%
Q3 168億ドル 約45%

Q3は168億ドルと過去最高を更新したが、成長率はQ2の約147%からQ3は約45%へと大幅に鈍化した。Reutersは10月15日、投資家が評価額の期待値を引き下げており、当初の約2兆ドルから約1.5兆ドル近辺を検討する声もあると報じた(※これらのバリュエーション数字は元記事の原文表記に基づく。billion/trillionの読み取りを含む数値の詳細は元記事で確認されたい)。


何が本質的な問いか

「人間がコードを書く時代の終焉」という表現はインパクトが強いが、これは現時点では一つのチームの実態だ。業界全体に当てはめるには慎重さが必要だろう。

より注視すべきは、Anthropicがエージェントに本番コードの無審査での変更をどこまで許容するか、ジュニアエンジニアの採用縮小が数年後に人材パイプラインにどう影響するか、そして急成長しながらも減速するビジネスを市場がどう評価するか、という点だ。

詳細はAnthropic Platform Engineering Team Says Claude Now Writes All of Its Codeを参照していただきたい。