11月7日、PYMNTSが「Tech Giants Ration Premium AI as Company Budgets Hold」と題した記事を公開した。この記事では、AppleやUber、Teslaなどの大手テック企業が社員のAI利用に上限を設け、コスト管理を本格化している実態について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
Appleが一人当たりのAI利用上限を3分の1に削減
「AIを使い放題」の時代が終わりつつある。
Appleは10月、一部エンジニアのAI利用上限を1日300ドルから200ドルに引き下げ、さらに一部チームでは100ドルへの追加削減を計画している。エンジニアリング以外のチームでは1日100ドルから25ドルへの削減も検討中だ。
Appleだけではない。同様の動きは2026年春から広がっている。
- Uber:年間のAI予算を4月時点で使い切り、CTO Praveen Neppalli Naga氏が「白紙に戻した」と表明。現在はAnthropicのClaude CodeやCursorなどのAIコーディングツールについて、社員1人あたり月1,500ドルのトークン上限を設定。超過には申請が必要。
- Tesla:7月6日から社員1人あたり週200ドルの上限を設定(社内メモをThe Informationが報道)。それ以前は、ソフトウェアエンジニアが週に数千ドル分のトークンを消費するケースもあった。なお、xAIのベータ製品はこの制限の対象外。
- MetaとMicrosoft:1人あたりの上限ではなく、外部ベンダーの利用を制限する方針を選択。MetaはClaude Codeの利用者数を約6万人から3万人に半減させ、自社開発のMuse CodeやMetaCodeへの移行を推進。MicrosoftはAnthropicの社内利用費として年間10億ドル規模の支出を見込んでいたが、これを3分の1削減した。
高コストの独自モデルからオープンモデルへのシフト
上限設定と並行して、企業はコスト削減の手段としてオープンソースモデルへの移行を加速させている。
Ramp AIインデックスの8月時点のデータでは、AIへの支出が多い米企業上位1%が社員1人あたり月7,400ドルの中央値を費やしていた。それでも最高価格帯のモデルは敬遠されており、AnthropicのFable 5(最上位モデル)が企業向けトークン消費に占める割合は**6%、金額ベースでも11.4%**にとどまる。
AT&Tの事例が象徴的だ。同社はクエリの内容に応じて安価なモデルへ自動振り分けする「モデルルーター」を導入し、コーディングなど一部の高度なAIタスクのコストを最大56%削減した。品質の低下は2%にとどまり、現在はオープンソースモデルが処理するクエリの割合を40%から60〜70%に引き上げることを目標としている。
ただし、オープンウェイトモデル(オープンウェイトモデル:重みパラメータが公開されたモデルで、自社インフラで動作させられる)への移行は初期コストや専門人材の確保が課題となるケースもある。性能が最も求められる場面では、引き続き大手AIラボのモデルを使い続ける企業も多い。
企業全体のAI予算は依然として大規模
社員への上限設定はあくまでも「配給」であり、企業全体のAI投資が萎縮しているわけではない。
PYMNTS Intelligenceの調査(2026年9月)によると、年間売上10億ドル以上の米企業のうち62%が過去12ヶ月間にAIへ1,000万ドル超を支出している。AIを最も積極的に活用する企業群は、平均1,450万ドルを投じており、下位3分の1の企業の平均910万ドルを大きく上回る。
また、そうした先進企業の66%は、投資の完全な回収に少なくとも3年かかると見込んでいる。
企業のAI戦略は「全員に使わせる」フェーズから、「誰が、どのモデルを、どれだけ使うか」を管理するフェーズへ移行している。コスト意識が高まる中、モデルの選定・ルーティング・内製化は今後のエンジニアリング組織の重要課題になりそうだ。
詳細はTech Giants Ration Premium AI as Company Budgets Holdを参照していただきたい。




