6月24日、The Decoderが「Claude Tag embeds Anthropic's AI in Slack, already writes 65 percent of internal code, company says」と題した記事を公開した。この記事では、AnthropicがSlack上でClaudeを直接呼び出せる新機能「Claude Tag」を発表し、社内では既にプロダクトチームのコードの65%をAIが生成しているという実績について詳しく紹介されている。
社内コードの65%——Anthropic自身が先行検証
AnthropicはSlack統合ツール「Claude Tag」を発表した。仕組みはシンプルで、Slackの任意のチャンネルで@Claudeをメンションし、自然言語でタスクを指示するだけだ。モデルはタスクを複数のステップに分解し、接続されたツールやコードベースを使って処理を進め、結果をSlackスレッドに返す。
最も具体的な数字がAnthropicの社内実績だ。プロダクトチームが書くコードの65%は、このClaude Tagの社内版から生成されているという。エンジニアリング以外のチームでも活用されており、プロダクトメトリクスの追跡、サポートチケットの処理、バグの診断などに使われている。
Claude TagはClaude Codeの発展形として位置づけられており、CLIやエディタ上での個人作業を、チーム全体のSlackワークフローに拡張した形になっている。
「個人チャット」との違い
従来の1対1のAIチャットとの差異について、Anthropicはいくつかの点を強調している。
- チャンネル単位で1つのClaudeが共有される。誰が開始した会話でも、他のメンバーが引き継げる。
- 文脈の蓄積。モデルはチャンネル内の過去の会話履歴をコンテキストとして参照し、時間をかけて積み上げられた文脈を踏まえた応答を返す。他チャンネルや外部データソースへのアクセス権が付与されれば、そちらも参照できる。ただしプライベートチャンネルの内容は共有されない。
- 非同期実行。「アンビエント」モードをオンにすると、Claude自身がタスクをスケジュールし、数時間〜数日にわたってプロジェクトを自律的に追跡する。停滞したスレッドへの自動フォローアップも行う。
- DMでの個人利用。ダイレクトメッセージ経由では、各ユーザーが個別に設定したツールやコネクタを使ってプライベートに応答する。
エンタープライズ向けのアクセス制御
エンタープライズ用途では、管理者がチャンネルごとにアクセスできるツールとデータを定義する。これにより「セールス用Claude」と「エンジニアリング用Claude」が別々のメモリと権限で動作する構成になる。管理者はトークン使用量の上限設定と、誰がどのアクションをトリガーしたかを含む全操作ログのレビューが可能だ。
提供状況
Claude Tagは現在ベータ版として、Claude EnterpriseおよびTeamの顧客向けに提供中だ。モデルはClaude Opus 4ベースで動作する。旧来の「Claude in Slack」アプリは置き換えられる形になり、管理者には30日間の移行期間が設けられている。
エンタープライズAI普及の鍵としてのSlack統合
AIコーディングツールがチーム開発のワークフローに組み込まれる動きは加速している。GitHub CopilotのPull Request統合やCursorのBackground Agentなど、「エディタの外で動くAI」への各社の取り組みが続く中、Anthropicは自社のSlack内実績を前面に出して差別化を図った格好だ。
こうした動きの背景には、AIツールが「個人の生産性向上」にとどまらず「組織全体の業務プロセスに溶け込む」フェーズへの移行がある。エンタープライズ向けのAI導入において、社員が既に日常的に使うコミュニケーション基盤——とりわけSlackのような社内ハブ——への統合は、導入摩擦を最小化し、現場での定着率を高める上で決定的な意味を持つ。専用ツールを別途立ち上げる必要がなく、既存の会話の流れの中でAIを呼び出せる環境は、エンジニアリング部門に限らず、非技術系チームへのAI浸透を加速させる条件として注目されている。Anthropicが社内実績の数字を積極的に開示したのも、そうした「組織レベルの定着」を示す根拠として機能させる意図があるとみられる。
詳細はClaude Tag embeds Anthropic's AI in Slack, already writes 65 percent of internal code, company saysを参照していただきたい。




