6月24日、Eivind Kjosbakkenが「How to Create Powerful Loops in Claude Code」と題した記事を公開した。Claude CodeとOpenAI Codexという異なるエージェントを組み合わせ、実装から検証・レビューまでを人間の介在なしに完結させる手法——「ループ」——の具体的な実装方法を解説した内容だ。
コーディングエージェントの活用が広まるにつれ、「いかに人間の手を離れて動かし続けるか」が生産性の鍵になりつつある。単一エージェントに指示→確認→再指示を繰り返す従来の使い方では、複数エージェントを並行稼働させても確認要求が頻発し、実質2〜3個が上限になりやすい。こうした課題を背景に、エージェント自身が完了基準を持ち自律的にループする設計が注目を集めている。
コーディングエージェントを「ループ」で動かす
従来のエージェント活用は、タスクを与え→結果を人間が確認し→次の指示を出す、という往復作業だった。ループはこの構造を根本から変える。エージェントが自分で成果を検証し、完了するまで自律的に作業し続ける仕組みであり、人間は「ゴール」を定義するだけでよい。途中の細かいやり取りが不要になることで、並行稼働できるエージェントの数が大幅に増え、こなせるタスク量が増える。
AIエージェントの並行稼働・自律化は業界全体のトレンドでもある。Anthropicが提唱するエージェントアーキテクチャでも、ツール使用と自己検証を組み合わせたループ型設計が有効なパターンとして示されており、今回Kjosbakkenが紹介する手法はその実践例と位置付けられる。
/goal コマンドで即実装できる
最もシンプルな実装方法が、Claude CodeまたはCodexの /goal コマンドだ。
/goal <達成すべきゴールと検証方法を記述>
Kjosbakkenが実際に使っているプロンプトはこうだ:
/goal Implement everything I asked for. Verify it end to end by clicking
through the browser using the Playwright MCP. It's not acceptable to test
the application only through integration tests. You need to actually click
around the app. Continue like this until it works. Fix any issues if you
encounter them then do an end to end test again. Run Codex exec and run
the review skill with Codex and make him approve it and iterate until
Codex has approved it. When Codex has approved it, come to me and tell
me which servers I can test it on and exactly how to test it.
/goal の仕組みはシンプルで、エージェントが作業を終えるたびにフックが発火し、「ゴールを達成したか?」を自問させる。達成済みなら人間に報告、未達ならゴールに向けて作業を継続——これだけだ。達成が完全に不可能だと判断した場合のみ、エージェントは人間に戻ってくる。
ループを機能させる2つの鍵
/goal を書くだけでは不十分で、エージェントが自分の成果を正しく検証できる手段を与えることが重要だとKjosbakkenは強調する。彼が実践している方法は2つある。
1. Playwright MCPによるブラウザ操作での検証
Playwright MCP(PlaywrightをAIエージェントから操作するためのModel Context Protocol実装)を使い、エージェントが実際にブラウザを操作してアプリの動作を確認する手法だ。コードを読んで「動きそう」と判断するのではなく、実際に画面をクリックしてスクリーンショットで確認させる。
UIのないバックエンドなら、実際にAPIコールを発行してDBやログを確認させる形でもよい。要点は「コードを読むだけ」ではなく「コードを実際に動かして出力を確認する」ことだ。Kjosbakkenはこの検証ステップを加えることでコーディングエージェントの実効性が「少なくとも2倍になる」と述べている。この数字は著者自身の実務経験に基づく主張であり、元記事でも厳密な計測条件は明示されていないが、「統合テストだけでは不十分」という根拠とあわせて語られている点は参考になる。
2. Codexによるコードレビュー——異種エージェント二重確認の核心
Claude Codeで実装したコードを、別エージェントであるOpenAI Codexにレビューさせる二重確認の仕組みだ。Claude Codeが実装→Codexがレビュー→Claude Codeが修正→Codexが再レビュー、というサイクルをCodexが承認するまで繰り返す。
同じClaude Codeにセルフレビューをさせるより、Codexの方がバグを多く検出できるという。競合する異なるモデルを組み合わせることで、単一モデルの盲点を補える点がこのアーキテクチャの核心だ。実装エンジンと検証エンジンを分けることで、品質が大きく向上したとしている。
AnthropicとOpenAIという異なる提供元のエージェントを同一ワークフローに組み込むこのアプローチは、特定ベンダーへの依存を避けながら各モデルの強みを活かす設計としても注目に値する。※編集部の考察
今後の展望
記事の末尾でKjosbakkenは、ループの概念はさらに拡張できると示唆している。小さいループを束ねる「大きなループ」や、自己改善型のループなど、より高度な構成についても今後の記事で扱うとしている。
コーディングエージェントは「使う回数」より「並行稼働数と自律性」で生産性が決まる段階に入りつつある。/goal コマンドとPlaywright MCP・Codexレビューの組み合わせは、その自律化を今すぐ実務レベルで試せる具体的な入口だ。
詳細はHow to Create Powerful Loops in Claude Codeを参照していただきたい。




