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Deep Dive

AnthropicのPRの65%をAIが自動マージ — Claude Code開発チームが語る「詳細なシステムプロンプトはもう逆効果」

7月21日、Simon Willisonが「A Fireside Chat with Cat and Thariq from the Claude Code team」と題した記事を公開した。AI Engineer World's FairでAnthropicのClaude Codeチームメンバーと行ったファイアサイドチャットの全録を詳しく紹介する内容だ。

7月21日、Simon Willisonが「A Fireside Chat with Cat and Thariq from the Claude Code team」と題した記事を公開した。AI Engineer World's FairでAnthropicのClaude Codeチームメンバーと行ったファイアサイドチャットの全録を詳しく紹介する内容だ。


登壇したのはCat Wu(プロダクト担当)とThariq Shihipar(エンジニアリング担当)の2名。Claude Codeのチームが実際にどのようにツールを使い、何を捨て、何を重視しているかが語られている。公式チームの生の声として、実務に直結する情報が詰まっている。

最大の驚き:Claude TagがAnthropicのPRの65%を自動でマージしている

今回の話題の核心はここだ。

Anthropicが最近リリースした**Claude Tag**は、SlackなどのコラボレーションツールにClaudeを組み込んだ統合機能だ。単なるチャットボットではなく、「マルチプレイヤー・デフォルト」「プロアクティブ動作」「チームメモリ」という3つの特性を持つ。

Catの発言が象徴的だ。

「Claude Tagは現在、私たちのプロダクトエンジニアリングチームのPRの**65%**をマージしています。これは50%超という巨大な変化です。」

Slackチャンネルに追加するだけで、「このチャンネルに上がるバグレポートを監視して、PRを立てて、最後にそのファイルを触ったエンジニアをタグで呼び出せ」という指示を一度出せば、以後は自動でそれを継続する。Thariqはノンエンジニアの活用例も紹介している。マーケティングチームがClaudeに「このフィーチャーについて教えて」と聞くと、ClaudeはリポジトリをクローンしてコードとUIの録画まで生成して答えるという。

チームコラボレーションの文脈では「個人では使えるが、チームでどう使うかが分からない」という声は多い。Claude TagはそのギャップへのAnthropicの現時点の回答である。

システムプロンプトのベストプラクティスが根本から変わった

エンジニア的に見逃せない話がもう一つある。プロンプト設計の常識が崩れつつある点だ。

  • システムプロンプトにexampleを追加するのはもはやベストプラクティスではない(元記事で言及されている最新世代のモデルが対象)
  • Claude CodeのシステムプロンプトはこのモデルGEN対応でサイズを80%削減した
  • 「〜するな、〜するな」という禁止リストも、最新モデルでは回答品質を下げる可能性がある

これは現在主流の「詳細なシステムプロンプトでモデルを制御する」という設計思想への直接的な反論だ。最新モデルに対しては、細かい指示よりも短く明確な意図を伝えるほうが機能するという方向性を、開発チーム自身が実証している。

「リライトは良いことだ」という反転

Thariqが語った「ソフトウェアエンジニアリングの常識で今は通用しないもの」として挙げたのが、コードリライトへの評価の逆転だ。

「Mythical Man-Monthの『絶対にリライトするな』——私は今、リライト推進派です。コードベースはスペックそのものであり、場合によっては唯一のスペックです。」

実際Anthropicは、Claude CodeのランタイムにRust実装のBunを採用しており、6月17日から一般提供済みだ。「良いテストスイートがあればリライトは怖くない、むしろリライトがテストスイートを整備させる」という論点は実践的だ。

機能リリースの判断基準:内部リテンション率

「何を作るべきか」という優先度判断について、Catはシンプルな原則を語った。

「私たちは、ある機能が世に出るためのアクティブユーザー数とリテンション率の内部基準を持っています。エンジニア全員がその数字を知っていて、そこを目指して動いています。」

社内でAnthropicの全社員が使い、リテンションが基準を超えた機能だけを外部公開する。Anthropic社内でのこの自社製品の使用を、社内では「ant fooding」(dogfoodingのAnthropicバージョン)と呼んでいる。

予想外にヒットした機能としてCatが挙げたのが**リモートコントロール**だ。ノートPCを充電器につないで画面を閉じ、ソファからスマートフォンでClaude Codeを操作するという使い方が社内で定着していたという。Cat自身は最初その必要性を理解していなかったが、実際のユーザー行動がその価値を証明した。

「より野心的になれ」という処方箋

AIによるコーディングで自分の仕事が希薄になる感覚——チェスのDeep Blueが人間プレイヤーに与えたような心理的影響——についてThariqはこう答えた。また、ThariqはFableのローンチ動画自体をFableに編集させたとも明かしており、「ブランドチームの厳しい要求を数時間で満たせなければ使えない」という実戦レベルの評価を下した。こうした自らの実践を踏まえた上で、仕事の希薄化への問いにはこう答えている。

より野心的な仕事を取りにいくことでオフセットするしかない。」

出力の品質が上がった分、要求するアウトカムの水準を上げる。この考え方は、ツールの進化に対して守りに入るのではなく、仕事のスコープを広げる方向に舵を切るという姿勢だ。


詳細はA Fireside Chat with Cat and Thariq from the Claude Code teamを参照していただきたい。