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ロボットに「体で学ばせる」データ基盤を作るRopediaが約30億円調達 — テキスト不要、人間の動作を丸ごと記録するウェアラブルで従来比50分の1のコストを実現

7月24日、TechStartupsが「Ropedia raises $30M to build the data infrastructure powering physical AI and robotics」と題した記事を公開した。この記事では、物理AIおよびロボティクス向けのリアルワールドデータ基盤を構築するシンガポール発スタートアップRopediaが3000万ドル(約30億円、1ドル=100円換算)のプレAラウンド調達を完了したことが詳しく紹介されている。

7月24日、TechStartupsが「Ropedia raises $30M to build the data infrastructure powering physical AI and robotics」と題した記事を公開した。この記事では、物理AIおよびロボティクス向けのリアルワールドデータ基盤を構築するシンガポール発スタートアップRopediaが3000万ドル(約30億円、1ドル=100円換算)のプレAラウンド調達を完了したことが詳しく紹介されている。


ロボットが「体で学ぶ」ためのデータが存在しない

LLM(大規模言語モデル)はインターネット上のテキストで学習できる。しかし、ロボットはそうではない。

物体のつかみ方、空間の歩き方、視覚と動作の連動——こうした「身体知」はWebをクロールしても手に入らない。これが物理AI(Physical AI)と呼ばれる分野が直面している根本的なボトルネックだ。Physical AIとは、テキストや画像だけでなく、物理世界の動作・感覚データから学習し、現実空間で行動するAIシステムの総称である。

この課題に対するアプローチは複数存在する。たとえばUC BerkeleyやMetaが主導するEgo4Dプロジェクトは、一人称視点(エゴセントリック)の動画データを大規模収集してロボット・AI研究に活用する試みだ。またOpen X-EmbodimentはGoogleを中心とした研究連合が構築した、複数ロボットプラットフォームをまたぐ大規模データセットである。これらはいずれも研究主導の取り組みだが、Ropediaが目指すのは同様のデータをスケーラブルかつ低コストで産業利用に供する「インフラ」としての商業化だ。

Ropediaの共同創業者兼CEOのZhaoxi Chen氏はこう述べている。

「ロボットはビデオを見ても野球はできない。自転車の乗り方を本で読んでも乗れないのと同じだ。バットを握る感触、ボールを打つタイミング——それがRopediaの技術が提供する情報だ。インターネットから集めたテキストが前世代のAIを訓練した。リアルな人間の経験を同じスケールで収集することが、物理AIを訓練する」


ウェアラブルデバイス「HOMIE」で人間の動作を丸ごと記録

Ropediaのアプローチの核心は、ロボットではなく人間からデータを収集する点にある。

同社が開発した頭部装着型デバイスHOMIEは、以下のデータを同期して記録する。

  • 一人称視点(エゴセントリック)の映像(FPV動画)
  • 音声
  • 深度情報
  • 視線方向(Gaze tracking)
  • 手のトラッキング
  • 身体の動き
  • カメラ位置

「エゴセントリック」とは、カメラを装着した人物自身の視点から撮影する手法を指す。ロボットが実際に「見ながら動く」状況を模擬できるため、ロボット学習データとして特に有効とされている。すべてのセンサー信号はタイムスタンプ付きで記録され、「知覚と行動がリアルタイムでどのように連動するか」をAIモデルが学習できる形式で出力される。

従来手法として広く使われてきたのがテレオペレーション(遠隔操作)によるデータ収集だ。これはロボットを人間が遠隔操作しながらその動作を記録する手法だが、高価なロボットハードウェアを大量に展開する必要があり、特定のロボット設計に依存したデータしか生成されない。HOMIEはその制約を回避し、様々な環境・タスクに対応したデータ収集を可能にする。

この手法により収集コストは従来比で最大50分の1に削減できると同社は主張している。HOMIEはすでに量産段階に入っており、北米の10社以上の顧客(エンボディドAI・空間知能分野)に提供されている。


データセット「Xperience-10M」の規模

HOMIEで収集されたデータは、Ropedia独自の処理・アノテーションパイプラインを通り、ロボット向けの学習データセットとして整備される。

現時点で同社が構築したデータセットXperience-10Mの規模は以下の通りだ。

  • インタラクションエピソード数:1000万件超
  • マルチモーダル収録時間:1万時間超
  • 数十億フレームの同期映像
  • モーションキャプチャ・深度データ・慣性センサーの計測記録

「データラベリング会社」ではなく「データインフラ会社」

Ropediaは自社を「データラベリング(アノテーション)ビジネス」とは定義していない。収益モデルはデータセットのライセンス提供、研究パートナーシップ、HOMIEハードウェアプラットフォームへの選択的アクセスの組み合わせだ。

同社が強調するのは、データ収集・品質保証・アノテーション・モデル用データセット整備までを一気通貫で行う「クローズドループパイプライン」の提供であり、これを「データインフラ」と位置付けている。


調達の内訳と今後の計画

今回の3000万ドル(約30億円)は、元記事によれば800万ドルのプレAラウンドに加え、新たに2200万ドルの追加投資を受けた結果の累計額だ。投資家にはSEA(東南アジア)のAI・エンタープライズ・インフラ分野の複数のVCが名を連ねる。

調達資金の用途として同社が挙げているのは、東南アジアおよび北米でのデータ収集拡大、HOMIEデバイスの大規模展開、AIリサーチプラットフォームの強化、米国における採用拡大だ。

アマゾンの研究科学者を務めるエンジェル投資家はこう述べている。

「私がRopediaチームに早期投資したのは、深い技術力、実行スピード、物理AIの方向性に対する明確なビジョンという組み合わせが稀有だったからだ。彼らはすでに世界の主要ロボティクス企業・基盤モデル企業にサービスを提供するデータインフラプラットフォームを構築している」


チーム構成

Ropediaは2025年後半にシンガポールで設立された。創業メンバーはZhaoxi Chen氏(CEO、3DコンピュータビジョンとマルチモーダルAI出身)、Fangzhou Hong氏(MetaのEgo4Dプロジェクト等、エゴセントリックなマルチモーダル知能研究出身)、Ziwei Liu氏(最高科学責任者兼南洋理工大学准教授)の3名。シンガポール本社に加え、カリフォルニア州マウンテンビューにもオフィスを構える。


詳細はRopedia raises $30M to build the data infrastructure powering physical AI and roboticsを参照していただきたい。