7月30日、Databricksが「Convert proprietary code to open ANSI SQL with the agentic code converter, now in Beta」と題した記事を公開した。この記事では、レガシーデータウェアハウスからDatabricksへの移行を自動化するAIコーディングエージェントの新機能「Agentic Code Converter」のベータ版リリースについて詳しく紹介されている。
データウェアハウス移行の現場は長年、泥臭い作業の連続だった。数十年前に書かれたコードの解析、独自SQL方言の手動変換、大量データの移送——それらをチームが人力で管理するプロジェクトだ。Databricksはこのボトルネックに、AIエージェントで正面から切り込んできた。
T-SQL、Snowflake、Redshiftなど主要方言に対応
新たにベータ公開されたAgentic Code Converterは、Databricksの AIコーディングエージェント「Genie Code」に追加された新機能だ。Genie CodeはDatabricksワークスペースに統合されたAIエージェントであり、Agentic Code ConverterはそのSQL移行支援に特化した機能として位置づけられている。対応する変換元の方言はT-SQL、Snowflake、Redshift、Oracle、BigQuery、Teradataの6種類で、変換先はオープンなANSI SQLだ。
独自SQL方言(プロプライエタリSQL)とは、各ベンダーがANSI SQL標準を拡張・改変した独自構文のことで、特定プラットフォームへのロックインを生む主因となる。これを標準SQLに変換することが、脱ベンダーロックインの第一歩だ。
移行プロジェクトの流れ
Databricksワークスペース上に「マイグレーションプロジェクト」を作成するところから始まる。ソース方言(例:T-SQL)とターゲット(ANSI SQL)を指定し、変換対象のSQLファイルをアップロードすると、Genie CodeのAgentic Code Converterが以下の2段階の分析を自動で行う。
1. 複雑度スコアリング
各ファイルに対してマイグレーションの複雑度スコアを算出する。スコアが低いファイル(ANSI SQLに素直にマッピングできる構文のみを含むもの)から優先的に着手するといった戦略的な移行計画が立てやすくなる。

2. リネージュ(依存関係)グラフの生成
テーブル、ビュー、ストアドプロシージャ間の依存関係を可視化する。依存関係のないファイル同士は並行移行が可能であることを自動判定できるため、移行順序の設計に直結する情報が得られる。

エージェントが並列でコード変換、エラーも自律修正
分析フェーズが終わったら「Run」を実行する。Genie Codeは各スクリプトを解析し、複数のサブエージェントを並列起動してファイルを同時変換する。各サブエージェントはシンタックスと意味的な整合性(ビジネスロジックが維持されているか)を繰り返し検証しながらエラーを自律修正する。
元記事内のPoC(概念実証)デモでは、8ファイル中6ファイルが自動変換に成功した。残り2ファイルについては、ストアドプロシージャをUnity Catalogの三部構成の名前(catalog.schema.sp_name形式)で修飾する必要があるというTo-Doが右パネルに提示された。このPoCはDatabricksによるデモ環境での結果であり、実運用での成功率は対象コードベースの複雑度によって異なる点に留意されたい。

この修正はエディタ上で手動対応することもできるが、カスタムスキルとして変換ルールを定義しておくことで、フルスケール移行時にコードベース全体へ自動適用することも可能だ。ETLパターンの統一や内部命名規則への準拠といった組織固有のルールも、カスタムスキルで吸収できる。
なお、リフト&シフト(既存ロジックをそのまま移行する手法)を想定するチーム向けに、Databricksはマルチステートメントトランザクション、一時テーブル、ストアドプロシージャといったレガシーDWHでよく使われるSQL機能を標準サポートしている。ロジックの再設計は不要だ。
Lakebridgeからの進化
Agentic Code Converterは、DatabricksがData and AI Summit 2025で発表したオープンソースの移行ツール「Lakebridge」の変換機能を次世代化したものと位置付けられている。Lakebridgeはすでに1,000社以上の顧客がDatabricks Lakehouseへの移行に活用してきた実績を持つ。
今後の拡張計画としては、レガシーETLソースへの対応拡大、データ移行と整合性検証の組み込み、Lakeflow Connectとの統合が挙げられている。カットオーバー前にデータが正しく移行できているかを自動検証する機能も予定されている。
アカウントチームへの問い合わせおよびAgentic Code Converterの試用はこちらから可能だ。
詳細はConvert proprietary code to open ANSI SQL with the agentic code converter, now in Betaを参照していただきたい。




