8月1日、The News Internationalが「Anthropic overtakes OpenAI as fastest-growing enterprise AI app」と題した記事を公開した。OktaのEnterprise AI Indexにおいて、AnthropicがOpenAIを抜いてエンタープライズ領域で最も成長速度の速いAIアプリになったという調査結果を詳しく紹介している。
AnthropicがOpenAIを逆転——Oktaのデータが示す企業AI採用の実態
アイデンティティ管理大手のOktaが公開した**Enterprise AI Indexによると、Anthropicが企業アカウント数の成長率でOpenAIを上回り、エンタープライズ向けAIアプリとして最速の成長を記録した**。
Enterprise AI Indexは、Oktaのプラットフォームを通じて認証・アクセス管理を行っている実企業のアカウントデータに基づくレポートだ。Oktaは世界で2万社以上の企業顧客を持ち、そのアクセスログは実際の業務利用を反映した一次データとして業界で広く参照されている。今回の調査では、企業アカウント数と月間アクティブユーザー数の変化を指標として、上位30アプリをランキング形式で評価している。
なお、調査対象期間は元記事が依拠するOktaレポートの記載に基づくものであり、本稿では元記事の表現に従って紹介する。首位のAnthropicに続き、**2位がOpenAI、3位がコーディングアシスタントのCursor**という順になっている。
2つのカテゴリで見る勢力図
Oktaはアプリを2グループに分類している。
- Pure-play disruptors(純粋プレイヤー): Anthropic、OpenAI、Cursorなど、企業顧客数を4倍以上に伸ばしたAIネイティブな新興勢力
- Established incumbents(既存大手): Google Workspace、GitHub、Microsoft 365、Slack、Adobe、Notion、Canva、Zoomなど、既存プラットフォームにAI機能を組み込んで競合する企業群
注目すべきは、後者の既存大手も依然として最速成長グループに名を連ねている点だ。「AIスタートアップが既存勢力を駆逐する」という単純な構図にはなっていない。
企業向けプランという観点では、AnthropicはClaude for Enterpriseを、OpenAIはChatGPT Enterpriseをそれぞれ提供しており、いずれも組織単位のアクセス管理・データ保護・APIアクセスを含む法人向け契約を前提としている。Oktaのデータはこうした法人契約に紐づく実利用を反映している点で、一般向けの有料プラン加入者数とは異なる指標といえる。
逆転のタイミングと、それでも埋まらない絶対値の差
データによると、AnthropicはOpenAIに対して、企業アカウント総数では2026年3月に、月間アクティブユーザー数では2026年4月に逆転した。
ただし、絶対数で見ると話は変わる。Anthropicのアカウント数はMicrosoft 365の半数以下に留まり、月間アクティブユーザー数に至ってはMicrosoftの約10分の1に過ぎない。成長率での逆転は果たしたものの、既存大手との規模の差は依然として大きい。
「成長率トップ」という見出しが一人歩きしやすい数字であることは、この絶対値の文脈と合わせて読む必要がある。Anthropicが急拡大していることは事実だが、それはあくまでもより小さなベースからの加速であり、エンタープライズ市場全体における存在感という意味では、MicrosoftやGoogleとの差は構造的に残っている。
「二刀流」が企業AIの現実
Oktaのデータが示す企業AI導入の実態は、「新旧いずれかを選ぶ」ではなく「両方を並行して使う」という構図だ。
ClaudeやCursorのような専門特化型ツールを特定のワークフローに導入しつつ、SlackやNotionといった既存ツールのAI機能も引き続き活用する——これが現在の企業の標準的なアプローチとなっている。
CTOや技術責任者にとって、この結果は「Anthropicに乗り換えるか否か」という二択の問題ではなく、どのワークフローにどのAIを当てるかという組み合わせの問題として捉え直す必要があることを示している。コーディング支援にCursor、文書生成・要約にClaude、既存業務フローの延長でMicrosoft Copilotやグループウェア付属AI、という形で役割分担が進む企業が増えているのは、このデータとも整合する。
Oktaデータが映す「次の競争軸」
Oktaのレポートが興味深いのは、単なる導入社数の多寡ではなく、アクティブユーザー数の維持率——つまり導入後に実際に使い続けられているかという観点を浮かび上がらせる点にある。成長率が高くても、導入後に利用が定着しなければ企業AI市場での地位は安定しない。
Anthropicの成長率がこのタイミングでOpenAIを上回った背景には、Claude 3シリーズの精度向上や、API経由での業務統合のしやすさを評価する開発者・IT部門の存在があると見られるが、この点は元記事に明示的な記述はなく、Oktaレポート本体の詳細分析に委ねられている。
※編集部の考察:OktaのデータはあくまでもOktaを認証基盤として採用している企業群に限定されたサンプルであり、全エンタープライズ市場を代表するわけではない。ただし、そのサンプル規模と企業属性(中〜大規模法人が中心)は、エンタープライズ動向の先行指標として一定の信頼性を持つと考えられる。
詳細はAnthropic overtakes OpenAI as fastest-growing enterprise AI appを参照していただきたい。




