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Anthropic

AnthropicがNvidia GPU依存から脱却へ — Claude専用の推論チップ開発に着手

8月7日、Jon Martindaleが「Anthropic co-designing custom AI inference chips to bypass costly Nvidia GPUs」と題した記事を公開した。AnthropicがNvidiaのGPUへの依存を減らすべく、独自のAI推論用カスタムASICチップの開発に乗り出したという内容だ。

8月7日、Jon Martindaleが「Anthropic co-designing custom AI inference chips to bypass costly Nvidia GPUs」と題した記事を公開した。AnthropicがNvidiaのGPUへの依存を減らすべく、独自のAI推論用カスタムASICチップの開発に乗り出したという内容だ。


推論特化のカスタムシリコンへ

Anthropicは社内にチップ開発チームを立ち上げ、AI推論ワークロード(inferencing workloads)向けのカスタムASIC(特定用途向け集積回路)をコデザイン(共同設計)する方針を明らかにした。Business Insiderの報道によれば、すでにエンジニアの採用を開始しており、求人票には「スケジュールに従ってチップ設計を完遂できる人材」を求める旨が記載されている。

ここで言う「推論ワークロード」とは、学習済みのAIモデルを実際にユーザーへのレスポンス生成に使う処理のことだ。モデルの学習(training)にはNvidiaのGPUがほぼ必須だが、推論(inference)はより多様なハードウェアで実行できる。Nvidiaの推論向けGPUは高性能だが高価で電力消費も大きく、カスタムシリコンへの切り替えによって総保有コスト(TCO)を大幅に圧縮できると業界では広く認識されている。元記事では最大65%削減できるとも言われているとしているが、これはAnthropicが掲げた公式目標値ではなく、業界一般の試算として参照された数字である点には注意が必要だ。


各社の動向:Anthropicは後発だが合理的

カスタムAIチップを持つ主要企業は以下の通りだ。

  • Google:Broadcomと共同でTPU(Tensor Processing Unit)を12年間開発し続けている
  • Amazon:TrainiumおよびInferentia
  • Meta:2027年まで展開予定の複数のMTIAデザインを発表済み
  • Microsoft:Maiaライン
  • Tesla:Dojoから方針転換し、AI5・AI6チップを開発中
  • OpenAI:Broadcomと共同で独自の推論プロセッサを発表済み

Anthropicがこのリストに加わったのは、ビジネス上の理由として明確だ。過去1年でコンシューマー向けサービスが急拡大し、政府案件も受注している。さらにエージェント型AIは従来の単発プロンプトより大幅に多くのトークンを消費するため、推論コストの削減は収益構造に直結する。


製造パートナーはSamsungか

コデザインのパートナー企業はまだ公表されていない。ASIC共同設計市場ではBroadcomとMarvellが合計約95%のシェアを持つが、The Informationは先月、Anthropicが製造面でSamsungと交渉中と報じた。SamsungはこのASIC設計市場では相対的に小さなプレーヤーだが、製造・設計の知見に加え、供給不足が続くHBMメモリへのアクセスを持つ点が強みになる。


本当の勝者はTSMCとBroadcom

カスタムASIC開発の恩恵を最も受けているのは、実はAI企業そのものではない。

BroadcomはすでにGoogle、OpenAI、Meta、ByteDance、Fujitsuのカスタムチップ設計を手がけており、730億ドルの受注残を抱え、2027年末までに年間1,000億ドル超のAIチップ売上を見込む。MarvellはAmazonのTrainiumとMicrosoftのMaiaで大型契約を持ち、2026年だけで110億ドル超の収益が見込まれている。

そしてほぼすべてのチップの製造を担うのがTSMCだ。CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)と呼ばれる先進パッケージング技術でHBMとの統合を行い、NvidiaやAMDのGPU製造も担う。各社が独自チップを作れば作るほど、TSMCへの需要は増す構造になっている。


Nvidiaへの影響

カスタム推論チップの台頭がNvidiaの牙城を崩すかというと、話は単純ではない。AIの需要は旺盛であり、各社が独自チップで賄える割合は限られる。しかし、推論用途でカスタムASICが普及するほど、その分のNvidia GPUは別の用途へ回ることになる。Nvidiaが当面の間、絶対的な優位を保つのは学習(training)領域だ。そこは独自チップでは代替しづらく、Nvidiaの最大の強みであり続ける。

詳細はAnthropic co-designing custom AI inference chips to bypass costly Nvidia GPUsを参照していただきたい。