8月12日、The Next Webが「River AI raised $1.1bn to let companies train and keep their own models」と題した記事を公開した。Google DeepMind・OpenAI・xAIを渡り歩いたIgor Babuschkinが設立したRiver AIが、創業わずか4ヶ月で11億ドル(約1,650億円)を調達した。当初Forbes報道では最大50億ドル評価額でのファンド調達を目指すと伝えられていたが、実際の調達額はその目標をも上回る規模となった。NVIDIAとAMDという競合するチップ大手が同じラウンドに並んで出資したことも異例で、AI産業における「モデルの所有権」をめぐる地殻変動を象徴する資金調達といえる。
創業4ヶ月で11億ドル調達
River AIは2026年4月20日にネバダ州で設立されたばかりのスタートアップだ。それがわずか4ヶ月で11億ドル(約1,650億円)を調達した。
ラウンドをリードしたのはGeneral CatalystとAMP PBC。戦略的投資家としてNVIDIAとAMD Venturesが参加し、さらにY CombinatorとTemasekも出資した。評価額は非公開だが、Forbesが5月に報じた情報では最大50億ドルの評価額でのファンド調達を目指しており、Babuschkin自身も最大1億ドルを個人資金から拠出する意向だったとされる。調達額は当初の目標を上回る結果となった。
創業者のIgor Babuschkin(イゴール・バブシュキン)は、Google DeepMindで生成モデルと強化学習を研究し、その後OpenAIで大規模トレーニングをリード、さらにイーロン・マスクのxAIを共同創業した人物だ。2025年8月にxAIを離れ(xAIの共同創業者11人は全員が既に退社している)、当初はベンチャーファームの立ち上げを検討していたが、River AIの設立に至った。
「AIをレンタルするのではなく、所有する」
River AIのビジネスモデルの核心はシンプルだ。「汎用モデルを借りるのではなく、自社モデルを訓練して所有すべきだ」という主張である。
具体的には、LoRAファインチューニング(大規模モデルを少ないパラメータで効率的に追加学習する手法)と強化学習をオープンウェイトモデル上で実行するAPIを提供する。重みの転送、サンプリングとトレーニングの一貫性確保、エラスティックコンピュートといったインフラ層はRiver側が担うため、ユーザー企業はインフラチームを持たずに済む。
同社が主張するパフォーマンス指標は以下の通り(River AI自社発表によるもので、独立機関による検証はされていない):
- 複雑な強化学習ジョブがAPIを通じて15〜20分で完了
- クローズドソースの代替サービスと比較して2〜4倍のコスト削減
- 課金はトレーニングと推論に使ったトークン数に応じた従量制で、アイドル状態のGPUコストが発生しない
Babuschkinはこう語る。「_AIの作り方は、将来的には今とは全く異なるものになる。AIはオープンで、誰でも利用できて、手頃であるべきだ。それを訓練したラボのためではなく、使う人のために機能するべきだ。_」
オープンウェイトを国家戦略として位置づける動き
General CatalystのCEO Hemant Tanejaは、この投資を国家安全保障の文脈で語っている。「_AIにおけるアメリカのリーダーシップは、クローズドフロンティアモデルでの優位を維持しながら、オープンウェイトモデルでのリーダーシップを緊急に必要としている_」とし、River AIの取り組みを「_アメリカの回復力(レジリエンス)のための優先事項_」と表現した。
この「オープンウェイト=国家競争力」という論理は近年支持を集めており、NVIDIAなどがアメリカのオープンウェイトリーダーシップを訴えるオープンレターに署名している一方、OpenAIとAnthropicはそれに加わっていない。
ソフトウェアを超えてハードウェアへ
River AIの計画はAPIにとどまらない。同社は「パーソナルAI」をユーザーの近くに置くためのハードウェア開発も進めると明言している。パーソナライゼーションと継続学習を軸にしたプロダクトを、トレーニングインフラと並行して構築していく方針だ。ただし、ハードウェアの具体的な仕様・形態・提供時期については現時点で詳細は明らかにされていない。
詳細はRiver AI raised $1.1bn to let companies train and keep their own modelsを参照していただきたい。




