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AIエージェントが社内メールやコードに触れる時代、「実行前に止める」セキュリティ企業Zenityが125億円調達

8月12日、Cybersecurity Newsが「Zenity Raises $125 Million Series C to Strengthen AI Agent Security and Governance」と題した記事を公開した。AIエージェントのセキュリティと統制を専門とするZenityが1億2500万ドル(約125億円)のシリーズC資金調達を完了したことを伝える内容だ。

8月12日、Cybersecurity Newsが「Zenity Raises $125 Million Series C to Strengthen AI Agent Security and Governance」と題した記事を公開した。AIエージェントのセキュリティと統制を専門とするZenityが1億2500万ドル(約125億円)のシリーズC資金調達を完了したことを伝える内容だ。


AIエージェントが生む「未知の攻撃面」という本質的課題

この資金調達が注目されるのは、単なる成長資金の確保ではなく、企業がAIエージェントのリスクをいよいよ「実害の出る問題」として認識し始めたことを示している点にある。

AIエージェントは今や、SaaSプラットフォーム、クラウドインフラ、開発者ワークフロー、Webブラウザ、各種ビジネスツールに深く組み込まれている。これらのエージェントは、社内メール、クラウドストレージ、CRM(顧客管理システム)、カレンダー、ソースコードリポジトリといった企業の重要リソースに直接アクセスする。

問題は、エージェントが「非決定的(non-deterministic)」に動作することだ。同じ入力でも状況によって異なる行動を取り得るため、従来のルールベースのセキュリティ制御が機能しにくい。乗っ取られたエージェントは、機密データの外部流出、未承認の金融取引やAPIの実行、接続ツールの悪用といった被害を引き起こす可能性がある。


Zenityのアプローチ:事後分析ではなく実行前遮断

従来のAIセキュリティツールは、モデル保護・静的なガードレール・プロンプトフィルタリングに注力するものが多い。Zenityはそこではなく、エージェントが実際に実行しようとするアクションをリアルタイムで検査・制御する点に特徴がある。

具体的には、エージェントの意図するアクションをリアルタイムで解析し、実行前に「許可・変更・ブロック」を決定論的(deterministic)に判断する。セキュリティの軸足を「インシデント後のログ分析」から「能動的な脅威防止」へ移すアーキテクチャだ。

対応する環境は幅広い。

デプロイカテゴリ 対応フレームワーク・エコシステム
エンタープライズSaaSエージェント Microsoft Copilot、ChatGPT Enterprise、Google Gemini
開発者向けアシスタント Claude Code、Codex、Cursor
カスタムエージェントフレームワーク AWS Bedrock & AgentCore、Microsoft Foundry、Google Vertex AI

市販のエージェントからカスタム実装まで横断的にカバーする設計は、マルチベンダー環境が当たり前になっている大企業のニーズに合致している。


脅威研究部門が明らかにした具体的攻撃手法

Zenityの脅威研究部門「Zenity Labs」は、OWASP(Open Web Application Security Project:Webアプリケーションセキュリティの標準化を推進する非営利団体)やMITRE ATLAS(AIシステムへの攻撃手法を体系化したナレッジベース)といった業界標準フレームワークへの貢献も行っている。同部門が明らかにした攻撃手法のうち、特に実害に直結するものが2つある。

  • AgentFlayer研究:ユーザーの操作を一切必要とせず(ゼロクリック)、エンタープライズAIエージェントを乗っ取り、複数ステップのワークフローを操作して機密データを外部流出させるシナリオを実証した研究だ。Zenity Labsが発表したもので、元記事でも同社の独自研究として紹介されている。
  • 間接プロンプトインジェクション:悪意を持ったカレンダー招待、汚染されたドキュメント、脆弱なツール連携を経由した実際の攻撃ベクターを示した。プロンプトインジェクションとは、AIモデルへの入力に悪意ある指示を埋め込み、意図しない動作を引き起こす攻撃手法を指す。

「ゼロクリック」という言葉が示すとおり、エンドユーザーが何もしなくても被害が発生し得るのがエージェント固有のリスクだ。


調達の規模と今後の展開

今回のシリーズCはNorwestがリードし、Qumra Capital、SoftBank Vision Fund 2、Hitachi Ventures、LG Technology Venturesが新規参加した。既存投資家のVertex Ventures、Third Point Ventures、DTCP、Intel Capitalも継続出資している。

Zenityは過去2年間、年次経常収益(ARR)を毎年3倍に成長させており、今回調達した1億2500万ドルはヨーロッパおよびアジア太平洋地域への展開加速、Zenity Labsの研究拡充、エンタープライズ向け予防的セキュリティコントロールの拡張に充てられる。

同社の従業員数は230名超で、R&D拠点はテルアビブ、営業・経営チームはニューヨークに置く。金融、医療、製薬、製造、エネルギー、テクノロジーなどの分野でFortune 500やGlobal 2000に名を連ねる企業を顧客に持つ。


関連リンク


詳細はZenity Raises $125 Million Series C to Strengthen AI Agent Security and Governanceを参照していただきたい。