8月22日、The Next Webが「Anthropic could raise $100bn, ten times Europe's largest listing in decades」と題した記事を公開した。AnthropicがIPOで約1,000億ドルの調達を目指し、時価総額が最低2兆ドルと試算されているという計画について詳しく紹介されている。
調達額$100bn、時価総額は最大$3tn
Anthropicは早ければ2025年10月にIPOを実施し、約1,000億ドル(約15兆円)の資金調達を行う見通しだとニューヨーク・タイムズが報じた(※本記事は2025年8月時点の報道に基づく)。
調達規模の比較対象として元記事が挙げているのはSpaceXだが、SpaceXは2025年8月時点で非上場企業であり、この点については読者の混乱を避けるため注記が必要だ。元記事の記述は「SpaceXが記録した調達額」との比較にとどまるが、正確な文脈については元記事を直接確認していただきたい。
時価総額の話になると、スケールはさらに大きい。フィナンシャル・タイムズによれば、投資家の試算は最低2兆ドル(約300兆円)、一部では3兆ドル(約450兆円)に達する。上級幹部が非公式の場でも社内で目標評価額を設定していないという点も興味深い。価格を設定しているのは、すでに株式を保有している側、つまり既存投資家だということになる。
ヨーロッパには比較対象すら存在しない。2022年のポルシェのIPOは約94億ユーロで、数十年で欧州最大の上場案件だった。今回の調達額はその約10倍であり、欧州の取引所がそもそも競合できる規模の案件ではないと元記事は指摘する。
試算の根拠は急加速する収益カーブ
これだけの評価額を支えているのは、収益の急拡大だ。
- 2025年通年の見通し:約100億ドル
- 2025年5月時点の年換算:470億ドル
- 2025年7月時点の年換算:650億ドル
さらに、The Next Webがすでに報じた内部予測では、2028年の売上高を1,900〜2,000億ドルと見込んでいる。今回のIPO評価額は、この予測が現実になるという前提の上に乗っている。
なお、IPO以前の流通市場(セカンダリーマーケット)では、すでに1.2兆ドルの評価額を示唆する取引が行われていたことをThe Next Webは以前に報じていた。
株式構造:調達しても経営権は渡さない
巨額調達にもかかわらず、創業者側が支配権を手放す意図はないとみられる。元記事によれば、Anthropicは約2%の持ち株比率しか持たないCEOのDario Amodeiと共同創業者に対して、スーパーボーティング株(super-voting shares)の付与を検討しているとされる。ただし、この仕組みはあくまで「検討中」の段階であり、確定した事項ではない点に注意が必要だ。
スーパーボーティング株とは、1株あたりの議決権が通常株の数倍〜数十倍に設定された種類株式のことだ。GoogleやFacebook(Meta)のIPO時にも採用された仕組みで、外部資本を受け入れながら創業者が実質的な経営権を維持するための手段として使われる。
構造としては、価格は既存株主が決め、経営権は創業者が握り続ける可能性があるという形だ。
タイムライン:OpenAIより2年早い
公開申請は2025年8月末にも行われる可能性があり、上場は2025年10月が想定されていた。競合のOpenAIが2027年のIPOを見込んでいるのと比べると、約2年前倒しになる。
詳細はAnthropic could raise $100bn, ten times Europe's largest listing in decadesを参照していただきたい。




