8月29日、Google Workspace Updatesが「Google Workspace Updates: Gemini-based data classification in Google Drive is now available in open beta」と題した記事を公開した。大規模組織でのデータガバナンス運用において長年の課題だった「ファイル分類の精度とスケール」を、Geminiへの自然言語指示だけで解決する機能がGoogle Driveにオープンベータとして登場した。AIモデルのトレーニング作業は一切不要で、管理者が指示文を書けばGeminiがDrive上のファイルを解釈・評価し、DLPポリシーや保持ルールに直結するラベルを自動付与する。
手動モデルトレーニングが不要に——管理者が指示文を書くだけで動く
従来のAI分類機能では、管理者がデータ分類レベルごとにサンプルファイルを手動で選定し、AIモデルにラベリングの基準を学習させる必要があった。ファイル数が増えるほどサンプル整備のコストも膨らみ、分類基準の変更があるたびに再トレーニングが発生するという運用負荷が常につきまとっていた。今回のGeminiベースの新機能では、管理者がテキストで指示(インストラクション)を記述するだけで、Geminiモデルがその内容を解釈してDrive上のファイルを評価し、適切なラベルを自動付与する。モデルのトレーニング作業は完全に不要だ。
管理者はAdmin Console上で対象ラベルと指示文を設定し、評価対象ファイルのスコープ(対象ユーザー範囲)を指定する。その後はGeminiがファイルを解釈・評価し、ラベルを適用していく。

エンタープライズのデータガバナンスへの影響
この機能が企業にとって重要なのは、データ分類ラベルが以下の用途に直結しているためだ。
- DLP(データ損失防止/Data Loss Prevention)ポリシーの粒度の高い適用:機密ファイルが外部共有・ダウンロード・印刷されることを防ぐポリシーをラベル単位で設定できる仕組み
- 保持ルールの設定:コンプライアンス要件に基づき、特定ラベルのファイルを一定期間保持・または削除するルールをラベルに紐付けられる
- 監査調査でのラベルメタデータ活用
大規模組織ではファイル数が膨大になるため、正確なラベリングをスケールさせることが難しかった。Googleは従来からWorkspaceにDLP機能を提供しているが、その実効性はファイルが正確に分類されていることを前提とする。手動・ルールベースの分類では見落としや分類漏れが避けられず、DLPポリシーの抜け穴になりやすかった。Geminiによる自動分類はこの課題に直接対応する。
記事ではさらに、エージェント型AIワークフロー(agentic workflows)への対策という観点も明示されている。自律的に動作するAIエージェントが機密データに無制限にアクセスするリスクを、適切なラベリングによって抑制できるという位置付けだ。企業がAIエージェントを業務に導入し始めている現在、データ分類の重要性はこの文脈でも高まっている。GoogleがGeminiをWorkspaceのガバナンス基盤に組み込む戦略の一環として、本機能を位置付けていることが見て取れる。
管理者・エンドユーザーそれぞれの関与範囲
管理者側の制御は以下の通りだ。
- ラベルの選択、Geminiへの指示文の提供、対象スコープの設定を管理者が行う
- Geminiが付与したラベルは、対象ファイルの編集者またはオーナー(かつ適切なラベル権限を持つユーザー)がレビューのうえ承認または修正できる
- ラベルが付与されたタイミング、ユーザーによる承認・修正の操作はすべて監査ログに記録される

エンドユーザー側には新たな設定項目・操作画面は提供されない。Geminiによるラベル付与はバックグラウンドで実行されるため、一般ユーザーがラベルの付与プロセスを直接操作したり、分類指示を変更したりすることはできない。ただし、ファイルの編集者・オーナー権限を持ち、かつ管理者から適切なラベル操作権限が付与されているユーザーは、Geminiが提案したラベルをDrive上で確認・承認・修正することが可能だ。分類結果の最終判断をエンドユーザーに委ねる運用も設計上は可能であり、完全自動適用と人間によるレビューを組み合わせたワークフローが想定されている。
利用可能なエディション・設定場所
対象エディションは以下の通り。
- Enterprise Plus
- Google AI Pro for Education
- Frontline Plus
Admin Console上での設定パスは「Security > Access and data control > Data classification」。詳細な設定手順はGoogleのヘルプセンターに公開されている。
詳細はGoogle Workspace Updates: Gemini-based data classification in Google Drive is now available in open betaを参照していただきたい。




