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DeepSeekが305Bのビジョンモデル重みをMITで無償公開 — 168GBの巨大モデル、商用利用・改変も自由に

9月1日、RuntimeWireが「DeepSeek publishes 168GB vision model weights under an MIT license」と題した記事を公開した。3050億パラメータ(305B)のビジョンモデル「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」の重みがMITライセンスで公開された——商用利用・改変・ファインチューニングを幅広く認める最も自由度の高いライセンスで、168GBのモデルチェックポイントと推論コードが開発者の手に渡ったことになる。ただし、付随するベンチマーク評価には見過ごせない問題点もある。

9月1日、RuntimeWireが「DeepSeek publishes 168GB vision model weights under an MIT license」と題した記事を公開した。3050億パラメータ(305B)のビジョンモデル「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」の重みがMITライセンスで公開された——商用利用・改変・ファインチューニングを幅広く認める最も自由度の高いライセンスで、168GBのモデルチェックポイントと推論コードが開発者の手に渡ったことになる。ただし、付随するベンチマーク評価には見過ごせない問題点もある。


168GBのモデル重みを自前インフラで動かせる

8月31日、DeepSeekがDeepSeek-V4-Flash-Vision-Expの重みを公開した。モデル自体は新しくない——8月21日にAPIアクセスが先行公開されており、重み公開はその10日後にModelScopeのX上の投稿で明らかになった。

今回の重み公開の意味は「ローカルで動かせる」点にある。これまでビジョン機能はAPI経由でしか使えなかったが、MITライセンスのもとでモデルチェックポイントと推論コードが開発者の手に渡った。商用利用・改変・ファインチューニング・製品組み込みが幅広く認められる。

公式Hugging FaceリポジトリおよびModelScopeのモデルページでは以下の構成が確認できる:

  • パラメータ数: 305B(3050億)
  • リポジトリサイズ: 168GB
  • ファイル構成: 48個のSafetensorsファイル、トークナイザー、プロンプトエンコードのリファレンス実装、最小限のPyTorch推論コード

アーキテクチャは**Mixture-of-Experts(MoE)**構成で、DFlashアテンション、Hyper-Connections、DSpark forward pathを含む。ビジョンエンコーダとアライナーも含まれており、vLLMおよびSGLangでのサービング手順もDeepSeekが提供している。

ただし168GBという規模は実質的な利用者を絞り込む。研究機関、推論プロバイダー、マルチGPU環境を持つ開発者向けであり、個人開発者にとってはホスト型APIの方が現実的だ。公開時点でHugging Face上にはホスト推論プロバイダーが存在しない。


ベンチマーク結果:自己申告で、比較対象も古い

DeepSeekが公開したモデルカードには他モデルとの比較が含まれるが、内容には注意が必要だ。

ベンチマーク V4 Flash Vision Claude Opus 4.8
Agents' Last Exam 27.3 25.7
ZeroBench(pass@5) 35.0 34.0
Chartography 64.3 65.0
ApexBench 36.5 39.4

マルチモーダルエージェント評価4種のうち2勝2敗。テキストエージェント評価7種ではDeepSWEの1勝にとどまり、6項目でOpus 4.8に劣る。

問題は評価がDeepSeek自身によるもので、独立した第三者機関によるものではない点だ。測定条件はDeepSeek Harnessの最小構成、温度1.0、top-p 0.95での最大推論努力。テキストのみのV4 Flashとの比較においても、ベースラインが2つのマルチモーダルテストで視覚要素を無視している。

さらに決定的なのは、比較対象のClaude Opus 4.8がすでに現行モデルではない点だ。AnthropicはClaude Opus 5を7月24日に公開しており、Opus 4.8はその時点で旧世代に退いている。DeepSeekの表は1ヶ月以上前に更新されたモデルを基準にした比較である。


APIとしての仕様

APIで利用する場合、DeepSeekのビジョン機能はOpenAI互換のChat CompletionsおよびResponses、Anthropic互換のMessagesエンドポイントに対応している。対応フォーマットはJPEG・PNG・GIF・WebPで、Base64データ、公開URL、DeepSeek Files APIへの参照のいずれかで送信できる。

制約として:

  • 1画像あたり384トークン(リサイズ後)
  • 1リクエストあたり最大600枚(ファイルサイズ・リクエスト制限あり)
  • ビジョントークンの課金はV4 Flash料金に準じる

DeepSeekの重み公開戦略という文脈

DeepSeekは2023年の創業以来、重みの公開をモデル配布戦略の軸に据えてきた。DeepSeek-V2・V3・R1といった主力モデルをいずれもオープンウェイトで提供し、研究コミュニティや推論プロバイダーが独自にデプロイ・改変できる環境を整えることで、クローズドなAPI提供にとどまる競合との差別化を図っている。今回のビジョンモデル公開もその路線の延長であり、MITというライセンス選択——Apache 2.0よりも制約が少なく、独自利用規約よりも信頼されやすい——はその姿勢をより鮮明にするものだ。168GBという規模ゆえにローカル実行の裾野は広くないが、推論プロバイダーや研究機関がモデルを独自にホストし派生物を公開できる基盤としての意義は大きい。

詳細はDeepSeek publishes 168GB vision model weights under an MIT licenseを参照していただきたい。