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Deep Dive

ユーザーはGoogleを使い続けている、でも検索回数は減り、クリックはさらに減っている — 3つの指標が示すAI時代の検索の実態

9月4日、Search Engine Journalが「People Aren't Leaving Google For AI. They're Using Both」と題した記事を公開した。この記事では、「AIがGoogleを代替している」という通説をデータで検証し、ユーザー数・クエリ数・クリック数という3つの指標がそれぞれ異なる動きをしている実態について詳しく紹介されている。

9月4日、Search Engine Journalが「People Aren't Leaving Google For AI. They're Using Both」と題した記事を公開した。この記事では、「AIがGoogleを代替している」という通説をデータで検証し、ユーザー数・クエリ数・クリック数という3つの指標がそれぞれ異なる動きをしている実態について詳しく紹介されている。


「95%が両方使っている」は何を意味するのか

Similarwebの調査によれば、ChatGPTユーザーの95%は依然としてGoogleのオーディエンスにも属している(2025年9月〜2026年5月)。生成AIプラットフォームへの訪問数が前年比70%増加した期間でも、この数字は変わらなかった。この結果からSimilarwebは「AIは検索を置き換えるのではなく、検索に上乗せされている」と結論づけている。

ただしこの数字には注意が必要だ。Similarwebが測定しているのは「同一ユーザーが両方のサービスに月1回でも訪問したか」という重複率であり、各サービスをどれだけ頻繁に使っているかは反映されない。月に1回でもGoogleでマップを検索したユーザーは「Googleユーザー」にカウントされる。また、API経由の利用やデスクトップアプリ、アプリ内AI機能はパネルに含まれておらず、Similarweb自身が「これらの利用形態は検索を代替する可能性が高い」と認めている。


ユーザーは残っているが、クエリは減っている

ユーザー数とは別の動きを示すのがBocconi大学の研究だ。同研究ではComscoreのU.S.デスクトップ・クリックストリームデータ(ユーザーのブラウザ行動を時系列で記録した行動ログデータ)を用いている。2024年10月〜2025年7月の期間を対象としたこの分析では、ChatGPT Searchへのアクセスを得た世帯の従来型検索クエリが平均9.4%減少し(週3.14クエリ減)、20週後には17.0%の減少に達することが示された。

カテゴリ別では情報収集系の減少が顕著だった。

  • 学術系サイトへの参照元流入:32.8%減
  • 参照・辞典系サイト:26.5%減
  • 開発者向けサイト:15.1%減
  • ニュースサイト:13.4%減

一方、マーケットプレイスやエンターテインメント系サイトへの流入はほぼ変化がなかった。同じComscoreパネルでは、Googleの世帯リーチは約49%で安定していたにもかかわらず、クエリ数は減少している。つまり「Googleのユーザー数は変わらないが、検索回数は落ちている」という状態だ。

なお、このBocconi論文はまだプレプリント段階(査読前の研究原稿として公開された段階)であり、正式な学術査読は終わっていない。


クリックはさらに別の動きをしている

2025年8月にarXivで公開された実験的研究(Wang et al.)では、1,100人のU.S. Chromeユーザーを対象に、①通常のGoogle、②AI Overviewsを非表示にしたGoogle(コントロール群)、③AI Modeを強制的に使用させたGoogle、という3グループへの無作為割り当てが行われた。

AI Modeを強制適用したグループでは:

  • 外部サイトへのクリック率が18.8ポイント低下(95%信頼区間:-22.2〜-15.3)
  • 1日あたりの検索セッション数が約0.92回減少(平均4.0回から)
  • ニュースサイトへのクリック率:12.5ポイント低下
  • Redditへのクリック率:21.2ポイント低下
  • Wikipediaへのクリック率:9.9ポイント低下
  • Bing、DuckDuckGo、Yahooの利用率は11.2ポイント上昇したが、信頼度・満足度・有用性の評価は低下

AI Modeユーザー309人中47人(約**15.3%**)は「特定のウェブサイトに辿り着けなかった」と報告した。ある参加者は「サイトを入力すると、そのサイトについて説明されるだけだった」とコメントしている。

ただし実験期間はわずか7日間であり、長期的な習慣変化を捉えるには不十分だ。また参加者は若く、高学歴で左寄りの傾向があり、米国一般人口とは乖離がある。


3つの指標が語ること

ここで整理すると、今年の研究が示しているのは次の構造だ。

指標 動向
オーディエンス(ユーザー数) Googleは安定(Similarweb)
クエリ数 情報収集系で減少(Bocconi)
クリック数(外部サイトへの流入) AI Mode下で大幅減少(Wang et al.)

この3つは別々に動く。Googleのユーザー数が維持されていても、クエリは減り、クリックはさらに減る。サイト運営者やSEO担当者がSearch Consoleのインプレッションは安定しているのに参照流入が落ちていると感じている場合、この分離が原因として考えられる。

Googleのサンダー・ピチャイはGoogle I/O 2026でAI搭載機能に関する利用状況を発表し、AI Overviewsが月間25億人以上のアクティブユーザー、AI Modeが初年度で10億人超に達したと述べた。ただしこの言及は元記事に含まれる情報であり、数字にはベースラインや独立検証のためのユーザーレベルデータが存在しない点は留意が必要だ。


見えていないもの

現在の研究はいずれも、Google検索・AI Mode・ChatGPT・Geminiをタスクレベルで個人横断的に長期追跡するものではない。Bocconiのデータは2025年7月で終わっており、AI Modeが現在の規模に達する前のものだ。Googleもユーザーレベルのデータを公開していない。「AI Modeにおけるクエリとは何か」「何が増加したのか」は明示されていない。

Alphabetの次回決算発表(例年10月下旬)で、Googleがクエリ成長に関する情報をどう更新するかが注目点の一つだ。


詳細はPeople Aren't Leaving Google For AI. They're Using Bothを参照していただきたい。