powered by TechFeed
表示モード
経営者・CTO向けニュース

Metaが最大15億ドルで獲得したAI研究者、1年足らずでAnthropicへ移籍 — 金銭パッケージだけでは引き止められない時代

9月11日、The Next Webが「Meta's star AI hire Andrew Tulloch is leaving for Anthropic」と題した記事を公開した。この記事では、MetaのAI研究者Andrew Tullochが入社から1年も経たずにAnthropicへ移籍すると報じられたことについて詳しく紹介されている。

9月11日、The Next Webが「Meta's star AI hire Andrew Tulloch is leaving for Anthropic」と題した記事を公開した。この記事では、MetaのAI研究者Andrew Tullochが入社から1年も経たずにAnthropicへ移籍すると報じられたことについて詳しく紹介されている。


「AIタレント争奪戦の象徴」がMetaを去る

Andrew TullochがMetaを離れ、Anthropicに移籍する見通しだ。最初に報じたのはSemafor(9月9日)で、続いてWall Street JournalがAnthropicへの移籍先を報じた。MetaもAnthropicも正式には認めておらず、The Next Webも独自の確認は取れていない。記事執筆時点では、Tulloch自身の個人サイトにはまだMetaの「TBD Lab」所属と記載されている。

なぜTullochがこれほど注目されるのか。背景には、MetaがAI人材獲得のために費やしてきた桁外れのコストがある。Wall Street Journalは昨年、MetaがTullochに提示したパッケージが6年間で最大15億ドルに達する可能性があると報じた。Metaの広報担当Andy Stoneは「不正確で馬鹿げた数字だ」と否定しているが、最終的に合意した金額は公開されていない。この一件により、TullochはAIタレント争奪戦を象徴する人物として広く認識されるようになった。


キャリアの軌跡:Meta→OpenAI→Thinking Machines→Meta→Anthropic

Tullochのキャリアは、現在のAI業界の人材流動をそのまま体現している。

  • Metaに11年在籍後、2023年にOpenAIへ移籍
  • OpenAIではGPT-4o、GPT-4.5、o3のトレーニングに関与(本人のサイト記載)
  • OpenAI離脱後、元CTO Mira MuratiとともにThinking Machines Labを共同創業
  • Metaはまずこのスタートアップを丸ごと買収しようとしたが、Muratiに拒否されたとCalcalistが報じている
  • 買収が叶わないなかZuckerbergが直接リクルートに動き、Tullochは一度断った後にMetaへ復帰することを選んだ

復帰後はMark ZuckerbergのAI戦略の中核を担うTBD Lab(Scale AI創業者のAlexandr Wangが率いる小規模チーム)に配属され、「超知性(superintelligence)の研究」に従事していたとされる。


Metaにとっての痛手、Anthropicにとっての獲得

タイミングが悪い。Tullochの離脱が報じられたのは、MetaがパーソナルAIエージェント「Muse」をリリースした翌日だ。Semaforによれば、TullochはMuseのリリースを見届けてから離脱したという。

Metaは今春、Thinking MachinesからTullochを含む創業メンバー5人を引き抜く人材ごと獲得する動きに出ていた。その中で最も知名度の高いTullochを、最大の消費者向けAIリリースの直後に失うことになる。

一方Anthropicにとっては、同週に別の研究者が公開辞職したばかりというタイミングでの獲得となる。研究者のJacob Coxonは火曜日に「AIラボは人々の命を賭けでやっている」と警告を残して辞職した。The Next Webが8月に報じたところでは、Anthropicはすでに業界最高水準の給与を支払っており、他の企業が手が届かない人材にも入札できる資金力を持っている。

Anthropicが高い給与を提示できる背景には、Amazonをはじめとする大型投資による潤沢な資金がある。加えて同社は「AIの安全な開発」を中核ミッションに掲げており、安全性・アライメント研究に関心を持つ研究者にとって一定の訴求力を持つとされる。今回のタイトルが示す「金銭パッケージだけでは引き止められない時代」という構図は、こうした多面的な競争軸——給与、ミッション、研究環境——が同時に働いている現状を指している。


フロンティアモデルを訓練できる人材は極めて少ない

記事が指摘する構造的な問題は、個別の移籍劇を超えている。

フロンティアモデル(最先端の大規模AIモデル)を実際にトレーニングした経験を持つ人材は、業界全体でも極めて少数だ。 その一人が別のラボへ移れば、蓄積されたノウハウがそのまま競合に渡る。同記事ではGoogleの主任科学者Jeff Deanが先月、上級研究者3人とともにGoogleを離れたことにも触れており、人材の流出はMetaとAnthropicの二社間にとどまらない構図が浮かび上がる。

金銭的なパッケージだけで人材を引き止め続けられるのか——今回の移籍はその問いを改めて突きつけている。


詳細はMeta's star AI hire Andrew Tulloch is leaving for Anthropicを参照していただきたい。