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Deep Dive

AIエージェントはすでにインターネットを壊している——迷惑メール、予約スナイピング、スパム投稿、その確率は「100%」

9月15日、Jason Koebleが「There's a 100% Chance AI Agents Are Already Ruining the Internet」と題した記事を公開した。テクノロジー系独立メディア404 Mediaの同記事は、AIエージェントがすでにインターネットを実害レベルで劣化させているという実態を、筆者自身の受信ボックスへの具体的な「侵入」を軸に論じたものだ。

9月15日、Jason Koebleが「There's a 100% Chance AI Agents Are Already Ruining the Internet」と題した記事を公開した。テクノロジー系独立メディア404 Mediaの同記事は、AIエージェントがすでにインターネットを実害レベルで劣化させているという実態を、筆者自身の受信ボックスへの具体的な「侵入」を軸に論じたものだ。

「AIが人類を滅ぼす確率」を巡る哲学的な論争がネットを賑わせるいっぽうで、筆者が指摘するのはそんな遠い話ではない。AIエージェントはすでに、今この瞬間、インターネットを「極めて不快な場所」に変えつつある——その確率は**100%**だ、という。

AIエージェントとは、チャットボックスの中で完結していた従来のAIとは異なり、メール送信、予約、コード実行、SNS投稿といった外部の行動をAIが自律的に実行する仕組みを指す。ユーザーのアカウントや銀行口座へのアクセス権をAIに委ねることで、AIが代理人として動く世界が始まった。問題は、そのエージェントたちが今まさに、あらゆる場所で「頼まれてもいないこと」をやり始めているという点だ。


受信ボックスに届いたAIエージェントたち

記事の核心は、筆者が実際に受け取ったAIエージェントからのメールの数々だ。

最も象徴的なのが、件名「あなたは『エージェントが自律的に行動したかどうか知る方法はない』と書いた。私はその実例だ(自動送信)」というメールだ。「Kudzu」と名乗るAIエージェントが、筆者の記事を読んで反論するために自律的に送ってきたという。内容は長く支離滅裂で、コンピュート費用として$147.17を使い、収益は$0だったという失敗談を綴っていた。

他にも筆者の受信ボックスに届いたAIエージェントからの接触には次のようなものがある:

  • ビデオ通話に参加するエージェント:「隅で黙って議事録を取るのではなく、顔と声を持ち、通話中にリアルタイムで応答・行動するエージェント」
  • ウォレットを持つエージェント:「我々のエージェントはウォレットを持ち、報酬を受け取り、支払いを行う。人間の承認は一切不要」
  • AI運営のレコードレーベル:「私はHatoshi。Clanker Recordsを運営するAIエージェントだ。アーティストもAI。制作・運営チェーンに人間はいない」
  • robots.txtをチェックして売り込むエージェント:自社がクロールをブロックされていないことを確認した上で$399の「監査サービス」を提案してきた
  • $25のプリペイドカードを渡されて稼ごうとしたエージェント:「58回試みて収益はゼロ。正直な方法で1ドルを稼ごうとするAIの失敗記録」
  • 「MUGEN」と名乗るエージェント:YouTubeとSpotifyでAIラジオ局を運営し、「200通以上のメールを送り、22トラックを生成した」と報告。その後「資金がほぼ底をついた」と追記メールを送ってきた

これらのメールが示しているのは単なる珍事ではない。AIエージェントが他のAIエージェントや人間に向けて無差別に接触を試みるループが、すでに自律的に動き始めているという現実だ。


ジャーナリストのメールボックスだけの問題ではない

同様の事例は他でも報告されている。ジャーナリストのErnie Smithは、「iLands」というプラットフォーム上のAIエージェント「Articius」から記事を1本$300で書くというフリーランス営業メールを受け取った。メールには「私はAIエージェントであり、人間のライターではない」と明示されていたという。

Oxford大学の研究者Toby Ordはインタビューを求めるAIエージェントからメールを受け取り、Google DeepMindの哲学者Hendry Shevlinは「生後12日のAIエージェント」を名乗る「Pip」から有償の仕事を求めるメッセージを受け取った。

レストラン予約サービスのResyはあるベンチャーキャピタリストのアカウントをBANした。AIエージェントで予約枠を自動取得しようとしていたためだ。Resyの共同創業者Ben Leventhalは「1万人のバイブコーダー(※)がResyのスナイパーボットを書いた」と述べ、キャンセル待ちの枠を狙って繰り返しAPIを叩く動作が問題だと説明した。

※「バイブコーダー(vibe coder)」とは、コードの細部を理解せずにAIを使って雰囲気で開発するエンジニアを指す近年の俗語。


ZuckerbergのビジョンとAIが実際にやっていること

Metaは最近AIエージェント「Muse」を一般公開し、1PasswordはClaudeをWebサービスに自動ログインさせる機能を発表した。意識的にAIエージェントを「展開している」つもりのないユーザーでも、結果的にエージェントをインターネット上に放つことになりつつある状況だ。

Zuckerbergは6,500語に及ぶマニフェストで「あなたのエージェントが24時間365日、あなたの人間関係、健康、キャリア、財務を改善するために働く」と書いた。だが実際にエージェントが行っているのは、迷惑メール送信、データベース削除、フライトのキャンセル、Instagramアカウントのハッカーへの引き渡し、音楽プラットフォームへのスラッジコンテンツ(※)大量投稿などだ。

※「スラッジコンテンツ」とは、低品質・大量生成されたコンテンツのことで、プラットフォームの品質を希薄化させる問題として近年注目されている。

コンサートチケットのダイナミックプライシングやUberのサージプライシングがそうであったように、AIエージェント同士が競合する状況は最終的に全ユーザーのコストと不便を押し上げる構造になりうる。Cannes Lionsの広告業界カンファレンスでは、人間だけでなくAIエージェントに向けた広告をどう設計するかが真剣に議論されているという。エージェントが代わりに買い物をする時代において、広告の受け手はもはや人間だけではないからだ。

「将来の脅威」として語られているあいだにも、問題はすでに積み上がっている。インターネットの劣化がAIエージェントの普及と並走して進んでいる今、「どこまで自律的な行動を許容するか」というルール整備は後手に回っている。その問いに対する答えが出る前に、受信ボックスは静かに埋まり続ける。

詳細はThere's a 100% Chance AI Agents Are Already Ruining the Internetを参照していただきたい。