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Anthropic

ロシアがClaude AIをスパイ活動・偽情報・自律ドローン開発に悪用 — LLMが攻撃インフラ全体のオペレーターとして機能した実例

9月16日、Euronewsが「Russia used Claude AI for espionage, disinformation and drone swarms」と題した記事を公開した。この記事では、ロシアがAnthropicのAI「Claude」をサイバースパイ活動・偽情報工作・自律型カミカゼドローンの開発に悪用していたことが詳しく紹介されている。いずれもAnthropicが自社の調査レポートとして公式に確認・公表した事例だ。

9月16日、Euronewsが「Russia used Claude AI for espionage, disinformation and drone swarms」と題した記事を公開した。この記事では、ロシアがAnthropicのAI「Claude」をサイバースパイ活動・偽情報工作・自律型カミカゼドローンの開発に悪用していたことが詳しく紹介されている。いずれもAnthropicが自社の調査レポートとして公式に確認・公表した事例だ。


ドローンの自律ターゲティングに使われたClaude Code

最も技術的に重大な事例は、自律型FPVカミカゼドローン群の開発だ。

ロシアと関連する開発者グループが、AnthropicのコーディングツールClaude Codeを使って、カミカゼドローン向けのソフトウェアを開発していた。その内容は自律型ターゲティングシステムにまで及び、実際のハードウェア上でのテストも行われていた。

開発者たちはウクライナでの実戦映像をAIモデルに学習させ、ドネツク地域の固定地点を模擬攻撃目標として使用した。プロジェクトの目標として明示されていたのは「完全自律のFPVカミカゼドローン群」の実現だ。

Anthropicは、このプロジェクトに関与した9つのアカウントを、ロシア地方大学およびロシア科学アカデミー傘下の連邦研究センターと紐付けた(機関名は非公表)。

ClaudeはAnthropicの利用規約上ロシア国内では公式に利用不可で、ウェブサイト・APIはブロックされ、ロシアのカード決済も受け付けていない。開発者たちは商用VPNを経由してこれを迂回した。


サイバースパイ活動:20以上の政府機関を標的に

Anthropicのレポート内でGTG-20006と命名されたハッキンググループは、Claudeを使って20以上の組織に対するサイバー攻撃を自動化した。標的には政府省庁、防衛・情報機関、大使館、シンクタンク、防衛産業企業が含まれる。

主要ターゲットはウクライナで、軍事ドローン技術のサプライヤーとそのサプライチェーンが集中的に攻撃された。中東・アジアの海事関連政府機関も標的となっている。

AnthropicはGTG-20006を**Midnight Blizzard(西側諸国の情報当局がロシア対外情報庁SVRに帰属させているハッキンググループ。Cozy APT、APT29とも呼ばれる)**と関連するグループとして位置付けている。なお、GTG-20006という呼称はAnthropicが自社レポート内で用いた命名であり、Midnight Blizzardとの紐付けもAnthropicの調査に基づく判断だ。

このグループがClaudeを使った手口は多岐にわたる:

  • マルウェア・フィッシングキット・監視ツールのエンジニアリング支援
  • 被害者ネットワーク上でのコマンド実行(認証情報収集・データ抽出)
  • 人間の監視を最小化した完全自律オペレーション

Claudeが単なるコード補完ツールではなく、攻撃インフラ全体の「オペレーター」として機能していた点が特徴的だ。LLMのエージェント的利用がサイバー攻撃文脈で実戦応用されていることを、AIプロバイダー自身の調査が裏付けた形となる。


アフリカとモルドバでの偽情報工作

アフリカ中央部(中央アフリカ共和国)では、ロシア関連のプロパガンダ活動を追跡する調査プロジェクト**All Eyes On Wagner**の調査員とAnthropicが協力し、Bangui(バンギ)に拠点を置くロシア語話者のアカウントを特定・削除した。

このオペレーターは、クレムリン系傭兵組織ワグネルが2017年に設立したRadio Lengo Songo向けに、親ロシアコンテンツを日次で制作していた。コンテンツはRT、Sputnik Afrique、TASSといったロシア国営メディアと連携し、CAR政府とワグネルを擁護しつつフランスや国内野党を攻撃する内容だった。

工作は「地元主導」に見えるよう設計されており、契約書・スクリプト・記事はすべてバンギのラジオ局の成果として提示されていた。Anthropicの調査員は、マドリード中心部で発行されたClaude購読の請求書からオペレーターを特定した。

このオペレーターは、ワグネルのアフリカ後継組織「African Corps」の情報・政治技術部門であるAfrica Politology(通称「The Company」)と関連付けられており、SVRの管理下にあるとされている。

モルドバでは、ロシア国営Sputnikの元地域責任者が、ニュース・世論調査データ・野党資料をクレムリン寄りの論調に加工するためにClaudeを活用していた。


Anthropicの対応

Anthropicは今回のレポートで確認されたすべての悪意ある活動をブロックし、その知見をセキュリティシステムの強化に活用したと述べている。また、関連情報は政府機関および業界パートナーと共有済みだという。

今回の一連の事例は、LLMが単なるコード生成やコンテンツ作成ツールにとどまらず、サイバー攻撃のオーケストレーション情報戦の自動化に実戦利用されていることを、AIプロバイダー自身の調査報告として公式に示した点で重みがある。AIの悪用対策に関心のある読者は、Anthropicのトラスト&セーフティに関する取り組みも併せて参照されたい。

詳細はRussia used Claude AI for espionage, disinformation and drone swarmsを参照していただきたい。