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「2000万ドルで4000億パラメータモデルを作った」Arcee AIが評価額10億ドル超を達成 — 中国オープンソースAIへの米国の回答となるか

9月17日、The Next Webが「Arcee AI raises Series B at a $1bn+ valuation」と題した記事を公開した。オープンウェイト(※後述)AIモデルを開発するArcee AIがシリーズBで10億ドル超の評価額を獲得した。中国勢が先行するオープンウェイト領域で、Arceeはその資本効率と技術力を武器に米国側の有力な対抗馬として浮上しつつある。

9月17日、The Next Webが「Arcee AI raises Series B at a $1bn+ valuation」と題した記事を公開した。オープンウェイト(※後述)AIモデルを開発するArcee AIがシリーズBで10億ドル超の評価額を獲得した。中国勢が先行するオープンウェイト領域で、Arceeはその資本効率と技術力を武器に米国側の有力な対抗馬として浮上しつつある。


わずか2000万ドルで4000億パラメータモデルを構築

今回の資金調達で最も注目すべき数字は、評価額そのものではなく「コスト」だ。

Arceeは過去1年間でTrinityファミリーと呼ばれるモデル群をリリースした。その最大モデル「Trinity Large」は4000億パラメータを持ち、トークンごとに130億パラメータが有効化されるMoE(Mixture of Experts:複数の専門特化したサブモデルを動的に使い分けることで、全パラメータを常時稼働させずに高性能を実現するアーキテクチャ)構成をとる。そしてTrinity Largeを含む2025年の全モデルラインナップの開発費用が約2000万ドルというのが、業界内で驚きをもって受け止められている数字だ。この2000万ドルには、給与・計算リソース・データ・インフラ・運用コストがすべて含まれる。

CEOのMark McQuadeはFortuneの取材に対し、「自社モデルを開発しようと決断した時点で手元資金は3000万ドルだった。『やろう』と言って、会社を賭けた」と語った。Arceeはその資本の65〜70% をモデル開発に投じた計算になる。

ちなみにArceeは2023年創業で、当初は既存モデルのポストトレーニング(ファインチューニングなどの追加学習)を専業としていた。McQuadeはHugging Face出身であり、同社との縁は深い。


「米国はオープンソースで出遅れた」——Arceeが狙う空白地帯

McQuadeは「米国はクローズドソースでは大きくリードしているが、オープンソースでは出遅れた」と率直に述べた。この発言は誇張でも断定でもなく、McQuade自身が認める現状認識だ。

Arceeの目標はその空白を埋めることにある。具体的には北京のZ.aiが開発する「GLM Flash」を競合として意識していると語った。DeepSeekをはじめとする中国発のオープンウェイトモデルが国際的な注目を集めるなか、Arceeはその技術的・コスト的なアプローチで対抗軸を示す存在として期待されている。元記事でも、ArceeのシリーズB達成は「米国のオープンウェイトAIへの大型民間投資」という文脈で位置づけられており、それが本稿タイトルの「米国の回答」というフレームの根拠となっている。

資金調達ラウンドを主導したVista Equity Partnersのモンティ・サロヤ上級マネージング・ディレクターはこう述べている。

「Arceeは技術的な実行力と資本効率の両立という稀な組み合わせを示した。フロンティア級のオープンウェイトモデルを、市場で際立つペースとコスト構造で構築している」


今回の調達額と投資家

今回のシリーズBはVista Equity Partners、Cambium Capital、Emergence Capitalが主導し、AI10 Ventures、Hitachi、IAG、MicrosoftのM12、P7、Wiproも参加した。調達額は非公開だが、Fortune誌の報道では少なくとも1億5000万ドルとされ、新規資金調達前の企業評価額が10億ドルとされている。


資金の使途

Arceeは今回の資金を以下の3領域に投じると発表している。

  • 次世代Trinityモデルのトレーニング(すでに着手済み)
  • 米エネルギー省および傘下17の国立研究所との連携拡大——科学計算向けオープンモデル「Genesis-Science-1」の開発
  • オープンモデルのカスタマイズ・テスト・デプロイ・運用を支援するプロダクトの構築

インフラ面では、発表の前日にソフトウェア企業CIQがArceeの次期フラッグシップモデルの計算ジョブ管理に同社の「Fuzzball」ツールが採用されたと発表した。なおArceeはトレーニング・推論のソフトウェアは自社開発のものを維持している。


オープンウェイトへの大型投資が続く

Arceeだけではない。8月にはRiver AIが11億ドルを調達し、企業が自社モデルをトレーニング・保持できる環境の整備を進めている。一方で同月、ホワイトハウスのテクノロジー戦略はオープンウェイトAIを重要技術リストから除外した。政策面での位置づけはまだ固まっていない。

※「オープンウェイト」とは:モデルの重みパラメータ(学習済みの内部データ)を公開しているAIモデルを指す。ソースコードのみを公開する「オープンソース」とは厳密には異なり、誰でもモデルをダウンロードして自社環境で動かせる点が特徴だ。DeepSeekやLlamaなどが代表例として知られる。


詳細はArcee AI raises Series B at a $1bn+ valuationを参照していただきたい。