9月18日、TechCentral.ieが「Gartner expects global AI spending to grow by 49.5% in 2026」と題した記事を公開した。調査会社Gartnerが発表した2026年のグローバルAI支出予測と、市場の構造変化について詳しく紹介されている。
2026年のAI支出、2.7兆ドルへ
Gartnerの最新予測によると、2026年のグローバルAI支出は2.7兆ドルに達する見込みで、2025年比で49.5%増となる。
GartnerのディスティングイッシュドVPアナリスト、John-David Lovelock氏は次のように述べている。
「AIに最適化されたIaaS(Infrastructure as a Service)、サーバー、ネットワーキング、AI処理用半導体、デバイスを含むAIインフラへの需要は引き続き堅調だ。その需要はメモリ価格の上昇の影響をほとんど受けていない。」
インフラ需要が価格上昇に対して底堅いという点は、サプライチェーンの混乱やNVIDIA製GPUの供給制約が続く現状を踏まえると、市場の強さを示している。
生成AIは「幻滅期」へ——ただし支出は拡大
Gartnerは独自のフレームワークであるハイプサイクル(Hype Cycle)において、技術の普及を「黎明期」「過度な期待のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」の5段階で描く。このフレームワークによると、2026年には生成AIが「幻滅のどん底(Trough of Disillusionment)」に入るとGartnerは予測している。現在の生成AIは「過度な期待のピーク期」から「幻滅期」への移行途上にあり、過熱した期待が冷め、企業はより地に足のついたAI活用へとシフトしつつある段階だ。
この構造変化を象徴するのが、投資先の変化だ。大規模なビジネス変革プロジェクトよりも、既存ソフトウェアに組み込まれたAI機能を活用する小規模・間接的なプロジェクトへの移行が進んでいる。業務効率化、プロセス自動化、顧客対応改善、意思決定支援といった、現場の具体的な課題に直結する用途が中心となっている。
Lovelock氏はこう続ける。
「ベンダーロックイン、データ主権、コスト上昇といったリスクがあっても、企業はプロプライエタリな(特定ベンダーに囲い込まれた)機能の利用をやめない。変革プロジェクトと間接プロジェクトを合わせると、2030年にはAIサービスだけで1.2兆ドル規模の市場になると予想される。」
幻滅期に入るとされながらも支出が拡大し続けるという構図は、AIへの投資がバブル的な期待から実用フェーズへと着実に移行していることの証左といえる。
開発プラットフォームと生成AIモデルの成長予測が上方修正
AIアプリケーション開発プラットフォームの成長予測は、前回の28%から39%に上方修正された。企業、ソフトウェアベンダー、サービスプロバイダーがそれぞれの業務に特化したAIアプリケーションを自社開発する動きが加速していることが背景にある。開発者・エンジニアにとっては、汎用的なAI基盤を使いこなすよりも、業務文脈に最適化されたAIアプリを自ら構築するスキルが一層求められる局面に入っているといえる。
同時に、AIモデルプロバイダーに対してはより安価で業務用途に適したモデルの提供圧力が高まっており、ドメイン特化型言語モデル(DSLM: Domain-Specific Language Model) の市場が小規模ながら拡大しつつある。汎用LLMではなく、特定業界・業務に絞ったモデルを求める動きは、コスト最適化とリスク管理の観点からも自然な流れだ。生成AIモデル自体の2026年成長率予測も、前回の110%から117%へ引き上げられた。
予測の枠組み自体も更新
今回の予測では、Gartnerは分類方法も見直した。横断的なAIエージェント・アシスタントとAIソフトウェアを明確に区別するとともに、コンシューマー向けのAIエージェント・アシスタントを支出予測に新たに追加した。急速に立ち上がりつつあるこの市場セグメントをより正確に捉えることが目的だ。この分類変更は、AIが企業内部だけでなくエンドユーザー向けサービスとしても本格的な産業規模を形成しつつあることを示している。
開発者やエンジニアの視点からは、大規模なAI基盤投資が継続する一方で、DSLMや組み込みAI機能、AIエージェントといった実務に近い領域で具体的な需要と商機が生まれていく流れが読み取れる。「幻滅期」は停滞ではなく、技術が現実の業務課題に接地し始めるフェーズであり、実装力を持つエンジニアにとってむしろ主戦場となる時期ともいえる。
詳細はGartner expects global AI spending to grow by 49.5% in 2026を参照していただきたい。




