9月18日、The Next Webが「OpenAI's highest robotics salary is $500,000, and it is not for building robots」と題した記事を公開した。OpenAIのロボティクス部門における給与体系を分析した内容で、最高報酬ポジションが実はロボット開発者ではなくデータ系エンジニアであるという、同社のロボティクス戦略の核心を映し出す実態が明らかになっている。
ロボティクス部門の最高年収、その中身
OpenAIのロボティクス求人で最も高い報酬を提示しているのは、機械学習エンジニア(Machine Learning Engineer)のポジションだ。給与レンジは年収38万〜50万ドル(約5,700万〜7,500万円)+エクイティ(自社株)。主な業務はトレーニングランを支えるデータパイプラインの構築であり、ロボットの設計や組み立てとは直接関わらない。
OpenAIがロボティクス部門の採用ページに掲載しているのは、サンフランシスコ拠点の21件のポジションだ。最高額の後は給与が急落する。たとえばRustまたはC++のスキルと産業用オートメーションの経験5年以上を必要とするロボティクスソフトウェアエンジニアは25万5,000〜32万5,000ドル、推論(Inference)エンジニアは固定38万ドルとなっている。
一方、実際にロボットのハードウェアを作るアクチュエータ設計者、ファームウェアエンジニア、PCBレイアウトエンジニア、試作技術者といった職種は給与レンジが非公開だ。
なお、上記の数字は基本給のみであり、エクイティを含めた総報酬はさらに上回る。
「ロボット=データ問題」という視点
この給与体系が示すのは、OpenAIがロボティクスをどう捉えているかだ。ロボットに物理動作を習得させるには、人間の運動データや環境センサーデータを大量に収集・整形し、モデルへ継続的に供給するデータパイプラインが不可欠である。画像認識や言語モデルの発展が豊富なインターネットデータに依拠していたように、ロボティクスにおける「データの質と量」はモデル性能を直接規定する。データパイプラインはロボット開発の根幹であり、そこへの投資を給与水準で体現しているのが現在のOpenAIの姿勢といえる。
同社は2021年にいったんロボティクスチームを解散している。共同創業者のウォジチェフ・ザレンバによれば、アプローチ自体は正しかったが、学習データが決定的に不足していたという。チームは2024年に再始動し、OpenAIはサンフランシスコ湾対岸のリッチモンドに約1万8,600平方メートル(20万平方フィート)の施設をリースした。最高額ポジションがデータパイプライン担当に設定されているのは、2021年の解散で得た教訓を組織設計に反映させた結果である。
OpenAI全体で見ると「普通の水準」
この水準はOpenAI内では特別ではない。今年初めに公開された連邦ビザ申請(H-1Bビザ申請書)のデータによると、リサーチサイエンティストは最大68万5,000ドル、ハードウェアエンジニアは最大55万5,000ドルの基本給が確認されている。ロボティクス部門の給与は、同社がすでに高給エンジニアに支払っている範囲の延長線上にある。
他社との比較では、FigureとTeslaのシニアエンジニア向け総報酬はOpenAIを上回る(ただしこれらはエクイティ等を含む数字であり単純比較は難しい)。ロボティクス専業のPhysical IntelligenceはOpenAIより低い水準だ。OpenAIが出資し今年カリフォルニアに工場を開設した**1X**は給与帯を公開していない。
リーダー不在という現状
組織面でも注意が必要だ。2024年11月にMetaからOpenAIに移籍し、ハードウェア・ロボティクス部門を率いていたケイトリン・カリノウスキーは、監視技術や自律兵器に関する懸念を理由に2025年3月に退職した。後任はまだ指名されていない。21件の求人が出ているにもかかわらず、部門のリーダーが不在という状況は、現時点でのロボティクス組織の流動性を示している。
詳細はOpenAI's highest robotics salary is $500,000, and it is not for building robotsを参照していただきたい。




