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Deep Dive

Vercel AIゲートウェイのトークン処理、78.4%がオープンモデルに — コスト換算14%という非対称が示す「使い分け」の実態

9月20日、RuntimeWireが「Open-weight models reach 78.4% of Vercel AI Gateway token volume」と題した記事を公開した。Vercel AI Gatewayを流れるトークンの78.4%をオープンウェイトモデルが占め、コスト換算ではわずか14%にとどまるという非対称なデータは、開発者がすでに「モデルの使い分け」を実践していることを如実に示している。

9月20日、RuntimeWireが「Open-weight models reach 78.4% of Vercel AI Gateway token volume」と題した記事を公開した。Vercel AI Gatewayを流れるトークンの78.4%をオープンウェイトモデルが占め、コスト換算ではわずか14%にとどまるという非対称なデータは、開発者がすでに「モデルの使い分け」を実践していることを如実に示している。


トークン量の78.4%がオープンウェイトモデル

VercelのファウンダーでCEOのGuillermo Rauch氏が9月19日のスナップショットとして公開したデータによると、Vercel AI Gatewayを通じたトークン処理量の78.4%がオープンウェイトモデル、残る21.6%がクローズドモデル(OpenAIやAnthropicなど)だった。

ただし、この数字を額面通りに受け取るには注意が必要だ。

  • トークン量 ≠ 売上・収益:トークン数はリクエスト数でも企業への直接収益でもなく、入力・出力・推論・キャッシュトークンをすべて合算した値。長いコンテキストを使うエージェントや重い処理が少数あるだけでも大きく跳ね上がる。
  • 1日のスナップショット:Vercelの直近の月次データ(8月トラフィック分)では、オープンウェイトモデルのトークンシェアは**56%**。それでも2025年12月時点の7%から急伸している。
  • **支出シェアは対照的に14%**:トークン量が56%を占める一方、コスト換算では14%にとどまる。開発者が「ルーティン処理は安価なオープンモデル、重要タスクは高価なフロンティアモデル」という使い分けをしている構図が浮かぶ。

なお、Rauch氏はこの日、Moonshot AIとDeepSeekが推定支出の3位・4位に入り、Z.ai(中国系AI推論プロバイダー)と合算するとOpenAIのシェアを上回ったとも指摘している。ただし、これはゲートウェイ上でプロバイダーを通じて購入された推論コストであり、Moonshot AIやDeepSeekへの直接収益を意味しない点を強調している。

オープンウェイトモデルの採用拡大は価格にも影響した。Vercelによると、8月のゲートウェイ平均トークン単価は23.2%低下した。


Vercelの戦略:モデルの「上のレイヤー」を制する

Vercel AI Gatewayは2025年8月21日に正式リリース(GA)された。数百のモデルに対して単一のAPIを提供し、コスト・レイテンシ・可用性に基づいたルーティング、自動フェイルオーバー、利用分析を提供する。トークン価格へのマークアップはないとVercelは明言している。

7月にはゲートウェイレベルのルーティングルールも追加された。チームがクレデンシャル単位で「特定モデルへのリクエストを別モデルに書き換える」「未承認モデルをブロックする」といった制御を全アプリケーションに横断適用できる。

この設計には明確な競争上の意図がある。モデルラボは自社モデルファミリーの中にユーザーを囲い込もうとする。Vercelはモデルを「交換可能なサプライヤー」として扱う開発者が増えるほど有利になる。 ルーティング層を握ることで、OpenAI・Anthropic・Google・オープンモデルのいずれが台頭しても恩恵を受ける構造だ。


データ公開自体がプロダクト戦略

Vercelは7月、AIゲートウェイのリーダーボードデータをCC BY 4.0ライセンスでオープンデータとして公開した。モデル・ラボ・アプリケーション・推論プロバイダーを、数兆トークンを集計した日次データでランキングしている。

このデータ公開は単なる透明性アピールではない。新モデルリリースや価格改定のたびに開発者がVercelのチャートを参照する動線を作り、ゲートウェイのスケール感を広告しながら「モデルとアプリケーションの間にVercelを置く理由」を補強する。

ゲートウェイの直接収益は非公開だが、商業ロジックは明確だ。ゲートウェイ顧客はVercelのデプロイ、コンピュート、サンドボックス、開発者ツールも消費する。なお、Vercel公式発表によると、2025年9月30日にはAccelとGICが共同リードで3億ドルのシリーズFを93億ドルバリュエーションで実施し、BlackRock、Khosla Ventures、General Catalystなども参加している。


エンジニアへの含意

78.4%という数字は「市場の4分の3がオープンモデルに移行した」を意味しない。あくまでVercelゲートウェイの自己選択された顧客トラフィックにおける1日のスナップショットだ。それでも、月次での56%という数字と合わせると、開発者がすでに大量のワークロードをオープンモデルにオフロードしているという実態は読み取れる。

モデル選定はAIアプリケーション設計の重要変数になった。「どのモデルを使うか」を後から切り替えられる設計を最初から組み込む動きが加速している背景として、このデータは一つの根拠になる。

詳細はOpen-weight models reach 78.4% of Vercel AI Gateway token volumeを参照していただきたい。