9月19日、Euronews Nextが「Fear of AI job loss outweighs AI job creation excitement, study finds」と題した記事を公開した。「AIを知るほど楽観できなくなる」——この言葉を裏付けるような大規模調査の結果が明らかになった。37カ国・5万人超を対象にしたPew Research Centerの調査で、AIによる雇用喪失への不安が雇用創出への期待を初めて上回り、しかもAIへの認知度が高い人ほど悲観的になるという逆説的な傾向が浮かび上がっている。
AIへの不安が期待を超えた
Pew Research Centerが2026年2〜6月にかけて実施した調査によれば、AIが雇用を増やすより減らすと考える人の方が多いという結果が明らかになった。調査対象は37カ国、5万人以上に上る。
特に顕著なのは富裕国での傾向だ。オーストラリア、韓国、米国では成人の約7割以上が「今後20年でAIが雇用を失わせる」と回答している。
Pew Research Centerのシニア研究員であるMoira Faganは、この傾向についてAIへの認知度との相関を指摘する。
「富裕国の人々はAIについて多く見聞きしていると回答する傾向があります。そして、AIへの認知度が高い人ほど、雇用が失われると考える傾向も強いことがわかりました」とFaganはEuronews Nextに述べている。
知れば知るほど楽観できなくなる、という構図だ。
若年層ほど雇用不安が強い
富裕国と中所得国を横断して共通する傾向もある。18〜34歳の若年層は、上の世代よりもAIによる雇用喪失を強く懸念しているというデータだ。
この傾向はカナダ、フランス、シンガポール、スウェーデン、インドネシア、インド、マレーシアで確認されており、地域や経済水準を問わない普遍的な不安として浮かび上がっている。
また、富裕国ではAIが経済的不平等を拡大させることへの懸念も、中所得国より高い。
日常生活へのAI浸透には、賛否が拮抗
雇用問題ほど悲観的ではない領域もある。AIが日常生活に浸透することへの意識を37カ国で調べたところ、**「懸念の方が大きい」と答えた人は中央値で37%、「懸念と期待が同程度」は41%**と、むしろ両論が拮抗している。
AI規制への信頼:中国が米国・EUを上回る国も
調査はAI規制の信頼感についても問うている。バングラデシュ、マレーシア、パキスタン、スリランカ、ヨルダン川西岸・東エルサレムでは、AI規制において米国やEUよりも中国を信頼すると回答した人の方が多かった。
中所得国7カ国の中央値では、中国への信頼が43%、米国が35%、EUが34%という結果だ。Faganは「中所得国では中国への好感度がもともと高く、昨年から上昇している国も多い。それがこの数字につながっている」と分析している。
調査が示す政策論議への含意
この調査結果が公開された2026年9月は、AI規制をめぐる議論が各国で活発化している時期にあたる。一般市民レベルでの不安が大規模なデータとして可視化されたことは、雇用政策やAIガバナンスの議論に対して、実証的な根拠を提供するものとなっている。
「AIを知るほど楽観できなくなる」という傾向が富裕国を中心に広がっているという事実は、技術の普及と社会的受容のギャップを埋めるための施策が求められていることを示唆している。
詳細はFear of AI job loss outweighs AI job creation excitement, study findsを参照していただきたい。




