9月22日、InfoWorldが「Claude Code now also accepts instructions in OpenAI's Agents.md format」と題した記事を公開した。AnthropicのAIコーディングエージェント「Claude Code」が、OpenAIのAGENTS.md形式の指示ファイルを読み込めるようになったことを報じている。
なぜ今このアップデートが重要か
2024年後半から2025年にかけて、AIコーディングエージェント市場は急速に競争が激化している。GitHub Copilot、OpenAI Codex、Google Gemini Code Assist、そしてAnthropicのClaude Codeと、主要プレイヤーが出揃い、開発現場では複数のエージェントを用途や場面に応じて使い分けるチームが増えている。その結果として浮上してきたのが、エージェントごとに異なる設定ファイルをどう管理するかという運用上の課題だ。
各エージェントは固有の設定ファイル形式を持つ。Claude CodeはCLAUDE.md、OpenAI CodexはAGENTS.mdという形式を採用しており、同一リポジトリで両エージェントを利用するチームは、これらを個別に記述・保守する必要があった。こうした運用コストを軽減する動きとして、今回のアップデートは位置づけられる。
AGENTS.mdとCLAUDE.mdとは何か
AGENTS.mdはOpenAI Codexが採用するMarkdown形式の指示ファイルで、リポジトリのルートや特定ディレクトリに配置することで、AIエージェントに対してコーディング規約・アーキテクチャ方針・レビュー基準などをテキストで伝えることができる。いわば「AIエージェントへの仕様書」だ。
一方、CLAUDE.mdはClaude Code固有の対応ファイルであり、同様の役割を果たしつつ、Claude固有の機能や挙動制御に関する記述も含むことができる。どちらのファイルも、エージェントがコードを生成・修正する際の「文脈」を与えるという点で共通している。
今回のアップデートにより、Claude CodeがAGENTS.mdを読み込めるようになった。つまり、OpenAI Codex向けに整備した指示ファイルをそのままClaude Codeにも適用できる可能性が生まれた。
複数エージェント混在環境での設定管理が簡素化
ForresterのプリンシパルアナリストであるCharlie Dai氏はこの変更について、次のように述べている。
「エンタープライズにとって、共通の指示フォーマットはコーディング規約、セキュリティ要件、アーキテクチャ上のガードレール、コンプライアンスポリシーを一元管理する実用的な制御ポイントになり得る」
複数のAIコーディングエージェントを使い分けているチームにとって、設定ファイルを一本化できる点は管理コスト削減に直結する。リポジトリごとにAGENTS.mdを一つ整備しておけば、エージェントを切り替えても同じ指示が適用されるという運用が現実的な選択肢になる。
「互換性」には注意が必要
ただし、共通フォーマットに対応したからといって、エージェントが完全に置き換え可能になるわけではない。元記事ではAnaplan製品戦略ディレクターのPavan Jena氏の見解が引用されており、次のように警告している。
「
CLAUDE.mdにはClaude固有の機能が含まれており、それはAGENTS.mdが想定して設計されたものではない。そのためCodex向けに書かれた指示をClaude Codeが読み込んでも、まったく同じ挙動になるとは限らない」
フォーマットの互換性と、動作の互換性は別物だ。特にエージェント固有の挙動に依存した指示(プロンプト)を流用する際は、動作検証が欠かせない。AGENTS.mdをそのまま流用した結果、意図しない動作が発生するリスクは排除されていない点に留意が必要だ。
Amazon Bedrockなど経由では機能しない場合も
もう一点、見落としがちな制約がある。Claude CodeのAGENTS.mdサポートにはデプロイ方法による制限が存在する。Claude Codeのドキュメントには以下のような記述がある。
「Amazon Bedrockや他のサードパーティプロバイダーを経由している場合、あるいはテレメトリを無効化している場合、セッションはAnthropicからフィーチャーフラグを取得しない」
つまり、Amazon Bedrockを経由してClaude Codeを利用している環境では、この機能が利用できない可能性がある。エンタープライズではセキュリティ・コンプライアンス上の理由からBedrock経由での利用も多いため、AGENTS.md対応を前提とした運用設計を行う前に、自社環境での動作確認が必要だ。なお、このフィーチャーフラグの仕様については、Anthropicの公式ドキュメントで最新情報を確認することを推奨する。
まとめ
Claude CodeのAGENTS.md対応は、複数AIコーディングエージェントを併用するチームにとって設定管理を簡素化する実用的な一手だ。AIコーディングエージェント競争が激化する中、設定フォーマットの相互運用性は開発現場における現実的な関心事になりつつある。ただし、指示内容の完全な動作互換性が保証されるわけではなく、Bedrock経由などの利用形態では機能が制限される点には注意が必要である。共通フォーマットの整備が進むことでエージェント間の設定共有は現実的な選択肢になりつつあるが、動作検証は各環境で行うことが前提となる。
詳細はClaude Code now also accepts instructions in OpenAI's Agents.md formatを参照していただきたい。




