powered by TechFeed
表示モード
主要ニュース

AIへの住民反発で680億ドル分のデータセンターが保留・延期 — 49州843グループが反対運動、建設計画の半数以上が壁に

9月22日、Los Angeles Timesが「AI backlash puts $68 billion in U.S. data center projects on hold」と題した記事を公開した。AIブームを支えるデータセンターへの投資競争が過熱する一方で、その「裏側」では異例の規模の住民反発が静かに広がっている。1四半期だけで680億ドル相当のプロジェクトが地域コミュニティの反対によって保留・延期に追い込まれており、反対グループは今や49州・843組織に達している。

9月22日、Los Angeles Timesが「AI backlash puts $68 billion in U.S. data center projects on hold」と題した記事を公開した。AIブームを支えるデータセンターへの投資競争が過熱する一方で、その「裏側」では異例の規模の住民反発が静かに広がっている。1四半期だけで680億ドル相当のプロジェクトが地域コミュニティの反対によって保留・延期に追い込まれており、反対グループは今や49州・843組織に達している。


四半期で45件、680億ドル分のプロジェクトが保留・延期

調査グループ「Data Center Watch」の報告によると、2025年4〜6月の第2四半期だけで45件・総額680億ドル相当のデータセンタープロジェクトが、地域住民の反発によってブロックまたは遅延した。

Data Center WatchはAI情報会社「10a Labs」が運営するプロジェクトで、米国内のデータセンター開発動向を継続的に追跡・集計している調査機関だ。業界内での引用実績があり、今回のLos Angeles Timesの報道でも一次ソースとして扱われている。

この45件は、同期間にData Center Watchが追跡を開始した大規模開発案件全体の半数以上にあたる。

なお、第1四半期(1〜3月)のデータでは75件・約1,300億ドルという数字が報告されていた。件数・金額ともに第2四半期より大きいが、これはData Center Watchが追跡対象とした案件の総数や規模が四半期によって異なるためであり、単純な前四半期比較には注意が必要だ。いずれにせよ、反発の規模が一過性のものでないことは明らかである。


49州に843の反対グループ

反発は特定地域に限った話ではない。現在、ハワイを除く49州に843の反対グループが存在する。約30の州議会がデータセンターの立地・電力・水使用に関する規制を導入または検討中だ。

リードアナリストのMiquel Vila氏は「新たなグループが次々と生まれ、反対運動は幅広い州・地域に広がり、オンライン署名も増え続けている」と述べている。

テネシー州のあるプロジェクトに対する反対署名は、オンライン署名プラットフォーム「Change.org」で50万件超を集めた。これは同四半期にChange.org上で集まった全署名の3分の1以上を占める数字だ。コミュニティレベルの懸念が、ソーシャルメディアと組み合わさることで急速に可視化されている構図がある。


批判の論点:環境負荷と雇用不安

反対派が挙げる主な懸念は、データセンターが環境に与える負荷(電力・水の大量消費)と、AIそのものが雇用を脅かすという不安の2点だ。

電力消費については、国際エネルギー機関(IEA)も2024年の報告書でデータセンターの電力需要急増に警鐘を鳴らしており、地域の送電網や水資源への影響を懸念する声は一部の環境団体にとどまらず、地元住民レベルでも広がっている。また、バージニア州「データセンターの谷(Data Center Alley)」では数年前から電力コストや景観破壊をめぐる論争が続いており、今回の全国的な反発拡大の先行事例として参照されることが多い。

こうした反発は政治的な左右を問わず(いわゆる「超党派」で)広がっているのが特徴だ。環境規制を重視する民主党系の地域だけでなく、政府の大企業優遇や地域資源の収奪を問題視する共和党寄りの地域でも反対運動が起きており、単純なイデオロギー対立の図式では捉えられない複雑さを帯びている。

一方、Amazon、Meta、Microsoft、Alphabet(Googleの親会社)といったいわゆる「ハイパースケーラー」(超大規模クラウド・AI基盤を運営する巨大IT企業)は、「中国との競争に勝つためにこれらの施設が不可欠だ」と主張している。トランプ大統領もデータセンター反対運動を「病的な陰謀論」と一蹴し、「喜んでいるのは中国だけだ」と発言している。


反発は米国外にも拡大

Data Center Watchが調査を開始して2年が経過するが、今回初めて米国外の反対運動も報告対象に加えた。欧州各国、オーストラリア、南アフリカなどでも、特定プロジェクトや政府の許認可、資源使用への懸念を軸に地域キャンペーンが展開されており、国内での連携も見られるという。

Vila氏は「米国が先行してきたが、この現象はますますグローバル化している。データセンター開発が世界規模で拡大するにつれ、反発もさらに顕著になるだろう」と述べている。


詳細はAI backlash puts $68 billion in U.S. data center projects on holdを参照していただきたい。