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Rabbit R1の失敗から学んだ15人スタートアップが「月額なし・自前APIキー」のPC横断AIエージェント基盤を公開 — ハードウェアからソフトウェアへの賭け

9月24日、TechSpotが「Rabbit launches OS3, an agentic AI platform for desktop, Telegram, and iMessage」と題した記事を公開した。CES 2024でAIデバイス「R1」を引っ提げて登場したRabbitが、わずか15人の体制でPC横断型AIエージェントプラットフォーム「OS3」を正式リリースした。月額課金なし、APIキーは自前、ローカルデータは保存しない——R1での失敗を踏まえ、同社が次の一手として打ち出したソフトウェア転換戦略の全容だ。

9月24日、TechSpotが「Rabbit launches OS3, an agentic AI platform for desktop, Telegram, and iMessage」と題した記事を公開した。CES 2024でAIデバイス「R1」を引っ提げて登場したRabbitが、わずか15人の体制でPC横断型AIエージェントプラットフォーム「OS3」を正式リリースした。月額課金なし、APIキーは自前、ローカルデータは保存しない——R1での失敗を踏まえ、同社が次の一手として打ち出したソフトウェア転換戦略の全容だ。


R1の挫折からソフトウェアへの転換

Rabbitは、CES 2024で大きな注目を集めた小型AIデバイス「R1」で知られる企業だ。R1はUberやDoorDashなどのサービス上でタスクを自律実行するAIアシスタントとして発売前から話題を集めたが、実際のレビューではエージェント機能が期待通りに動作しないとの評価が相次いだ。

今回発表されたOS3は、そのR1で培った技術をソフトウェアに転換した新プラットフォームだ。Rabbitはすでにデバイスの製造を終了しており、「人々がすでに持っているハードウェアで動くソフトウェア」へ軸足を移している。


OS3の仕組み:複数PCをまたぐエージェント基盤

OS3の核心は、ローカルマシンにインストールするエージェントを介してPC上のアプリ・ファイル・Webページを操作できる点にある。対応OSはWindows・Mac・Linuxの3つ。アクセス経路はブラウザのほか、Telegram・iMessageにも対応しており、既存のR1デバイスでも動作する。

1アカウントに対して最大5台のPCを接続可能で、システムがどのマシンでリクエストを処理すべきかを自動判断する。例えば、外出中にスマートフォンからメッセージを送り、自宅や職場のPCに保存されたスプレッドシートを更新させる、といった使い方が可能だ。

コードの記述・デバッグには独自技術「DLAM(Direct Large Action Model)」を採用している。DLAMはR1開発時から継続して改良されてきた技術であり、OS3ではPC上の画面状態を認識しながらアプリやファイルを直接操作するアクション生成に使われている。APIを持たないアプリケーションに対しても、画面上のUI要素を読み取って操作を実行できる点が技術的な特徴だ。サードパーティのエージェントスキルをパブリックURLからインストールする機能も備えており、自社モデルへの依存を減らす方向性が明確だ。


課金モデルとデータプライバシー:月額なし、APIキーは自前、ローカルデータは手放さない

OS3は月額サブスクリプションなしで提供される。ただし、AIモデルのAPIキーはユーザー自身が用意する「Bring Your Own Key(BYOK)」モデルを採用している。OpenAIやAnthropicのAPIキーを接続するほか、ローカルで動くオープンソースモデルも利用できる。

この課金・運用モデルはデータプライバシーの方針と一体で理解すべき設計だ。Rabbitによれば、OS3はローカルファイルのデータを保存・コピー・販売しない。ファイルはユーザーのPC上にとどまる。一方、会話履歴とメモリログはRabbitのサーバーに保存される。AIモデルによる推論が必要なタスクでは、関連するプロンプトがRabbitのシステムを経由してユーザー指定のモデルプロバイダーに送られる。

BYOKによってRabbitがAPIコストを負担しない構造にしつつ、ローカルデータは保持しないという設計は、後述する同社の財務的苦境や信頼性問題を踏まえると、ユーザーへのリスク分散を意識した判断とも読める。


Rabbit自身の使用例

創業者兼CEOのJesse Lyuは、週次Excelレポートから売上データをマスタースプレッドシートに移すといった日常業務にOS3を活用していると述べた。また、自身が対応できない間、OS3にSlack上でエンジニアとのやりとりを代行させたケースも紹介した。エージェントはLyuの代理として動いていることを相手に明示しつつ、PC上のファイルを参照して質問に回答したという。


会社の現状:15人・約90億円の調達、給与未払い問題を経て再起

Lyuによれば、Rabbitはこれまでに約6,000万ドル(約90億円)を調達し、現在の従業員数は15人だ。R1については10万台以上を出荷済みで、返品率は5%未満、ハードウェアの粗利率は**45〜50%**と説明している。

昨年はインドでの展開が規制によって阻まれ財務的に苦境に陥り、一部従業員が数ヶ月分の給与未払いを訴えてストライキを起こす事態も発生した。その後追加資金を調達し、現在は安定しているとLyuは述べている。OS3のデータプライバシー設計やBYOKモデルは、こうした信頼性の棄損を取り戻す文脈でも位置づけられる。

次のハードウェア製品はR2ではなく、「バイブコーディング(vibe coding)」向けのCyberdeckと呼ばれるデバイスで、数ヶ月以内のリリースを予定している。バイブコーディングとは、自然言語で意図を伝えながらAIにコードを生成・修正させる開発スタイルを指す用語で、近年エンジニアリングコミュニティで広まっている概念だ。このデバイスもOS3上で動作する予定だ。

OS3は現在、一般公開されている。


詳細はRabbit launches OS3, an agentic AI platform for desktop, Telegram, and iMessageを参照していただきたい。