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Deep Dive

AIを毎日使いながら「世界が悪くなる」と恐れる — 37カ国調査が明かした"心配する西洋のパラドックス"

9月23日、Matthew Gaultが「Americans Fear AI Will Make the World Worse, Love It Anyway」と題した記事を公開した。GallupとMicrosoftが共同実施した37カ国調査で、AI利用と感情的反応の矛盾した関係が明らかになった。

9月23日、Matthew Gaultが「Americans Fear AI Will Make the World Worse, Love It Anyway」と題した記事を公開した。GallupとMicrosoftが共同実施した37カ国調査で、AI利用と感情的反応の矛盾した関係が明らかになった。


AIを使うほど好きになる——ただし西洋諸国を除いて

Gallupの新調査によれば、世界の大多数の人々はAIに概して楽観的だ。調査対象37カ国のうち、AIへの否定的感情が肯定的感情を上回ったのはわずか3カ国——アメリカ、エジプト、パレスチナだけだった。

調査はGallupとMicrosoftが共同で実施し、最終的に140カ国をカバーする予定。AIに関する「認知」「利用頻度」「感情的反応」「期待するインパクト」「信頼」の5次元で公衆のAI関与を測定した。

数字を見ると、世界の中央値で**81%がAIツールの存在を認知しているが、毎日利用するのは43%**にとどまる。Gallupによる「日次利用者」の定義は、就労者の場合は仕事・個人目的いずれかで毎日AIを使う人、非就労者の場合は日常的に使う人だ。

「心配する西洋のパラドックス」

調査の最も興味深い知見が「Paradox of the Worried West(心配する西洋のパラドックス)」と名付けられた現象だ。

Gallupの上級研究員Pablo Diego-Rosellは404 Mediaに次のように語った。「オランダ、カナダ、イギリス、ニュージーランド、アイルランド、マルタはいずれも『心配』のランキング上位に位置している。AIを心配することは、西洋特有の現象のように見える」

逆説的なのは、AI利用が盛んな国ほど否定的感情も高いという構造だ。一般的に、AIをよく使う人ほどその結果を信頼し、肯定的に感じ、将来への貢献を期待する——しかしアメリカはその法則から外れた数少ない例外に入る。

Diego-Rosellはこの因果関係を「最大の未解決問題」と位置づけている。「AIを頻繁に使うことで人々はそれに慣れるのか、それともすでにAIを信頼している人が使おうとするのか、判断できない」

なぜアメリカ人はAIを怖がるのか

記事はアメリカ特有の背景を指摘する。AIの多くがアメリカで開発・先行展開されている一方、AI推進派や業界内部の人間からも「AIが文明を終わらせるかもしれない」という警告が繰り返し発せられてきた。Anthropicの研究者が「AIが人類を滅ぼす確率は10%以上」と発言したとのCBSニュースの報道などが続いており、この種の報道がアメリカ人の気分に影響を与えた可能性がある。

つまりアメリカの場合、「よく使うが怖い」という態度は、技術への習熟と同時進行で蓄積されてきたリスク言説の産物とも読める。開発者自身が公に破滅的リスクを口にする環境に長くさらされてきた結果として、否定的感情が利用頻度に比例せずに高止まりしている構造だ。

エジプト・パレスチナが否定的上位に並ぶ理由

アメリカと同じく否定的感情が上回ったエジプト・パレスチナについては、文脈がまったく異なる。Diego-Rosellは「すでにストレスや不安が高まった環境で生きている人々は、AIのような技術への反応にもその感情的な文脈が影響する可能性がある」と述べた。

パレスチナではイスラエルがGazaの爆撃目標選定にAIを活用していることも報じられており、技術への恐怖と現実の被害が直結している。すなわち、アメリカが「報道や言説によって形成されたリスク認識」から否定的感情を持つのに対し、エジプト・パレスチナでは「生活環境の不安定さや技術の軍事利用という具体的現実」が否定的感情の背景にある。同じ「否定的感情上位」でも、その根拠はまったく別の経路をたどっている。

信頼と楽観は別物

調査はもう一つ重要な分離を示している。AIの精度への信頼と、AIが社会にもたらす恩恵への期待は、必ずしも一致しない

「肯定的な感情を持ちながらも、AIの結果を信頼しないと答えた人もいる」と調査は記述する。信頼よりも楽観が先行するという構造だ。

Diego-Rosellはさらに「信頼」の多義性にも言及する。「この調査が測定したのは『正確な情報を提供するか』という一側面に過ぎない。信頼には、信頼性、安全性、公正性、透明性、プライバシー保護、自分の利益のために動くかどうかも含まれる」

世界全体では認知があるほど肯定的期待が高く、否定より肯定が優勢だ。しかし信頼の水準は楽観の水準を大きく下回っており、「使うけれど心配している」「楽観しているが信頼はしていない」という複雑な態度が、とりわけ西洋諸国で浮かび上がる。Diego-Rosellが「AIに対して単純に『賛成』か『反対』かではなく、楽観、懐疑、懸念が共存しうる」と述べるように、この調査が示すのはAIをめぐる感情の多層性であり、単純な賛否では捉えきれない現実だ。

詳細はAmericans Fear AI Will Make the World Worse, Love It Anywayを参照していただきたい。