9月24日、9to5Googleが「Google says Gemini 4 release is coming 'as soon as possible'」と題した記事を公開した。AnthropicとOpenAIが主力モデルの大型アップデートを相次いでリリースし「Googleは遅れている」との批判が強まる中、Google DeepMindのトップが「Gemini 4はポストトレーニング段階に入った」と公式に認め、競合への反論を展開した。さらに、夏に予告されながら結局リリースされなかったGemini 3.5 Proの行方についても言及があり、Googleの開発戦略の内側が浮かび上がった。
Google DeepMindトップが「ポストトレーニング段階に入った」と明言
Google DeepMindのチーフであるKoray Kavukcuoglu氏が、The InformationのAI Agenda Live Summitにて、次期フラッグシップモデルGemini 4が「ポストトレーニング(post-training)」フェーズに入ったことを明らかにした。
ポストトレーニングとは、モデルの事前学習(pretraining)が完了した後、安全性テストやガードレールの実装、RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)などを通じてモデルの挙動を公開向けに調整する工程だ。つまり、リリース直前の最終仕上げ段階にあたる。モデルの基本的な能力はこの時点でほぼ確定しており、ここから先は品質・安全性の磨き込みが主な作業となる。
Kavukcuoglu氏は次のように述べた。
Our intention is to, like—as soon as possible—to release an early post-training output because we see the results and we are excited… [to] continue the fast-paced iterations.
また、2026年末よりも「はるかに早く」リリースしたいと述べているが、具体的な日程は示されていない。
さらに内部では、Gemini 4を「Antigravity」と呼ばれるシステムでテストが進行中とのことだ。Antigravityの詳細は記事内では明かされていないが、コードネームから判断するに内部評価・ベンチマーク環境とみられる。Googleはこれまでも大規模モデルの開発過程において独自の内部評価フレームワークを活用しており、公開ベンチマークとは別に自社基準での品質保証を行う文化を持つ。Antigravityもその一環と考えると自然だ。(※編集部の考察)
ライバルに「遅れている」批判への反論
この発表の数日前、AnthropicとOpenAIがそれぞれ主力モデルの大型アップデートを相次いでリリースしており、Googleが競合に遅れをとっているとの見方が広まっていた。生成AI市場では数週間単位でリリースが続くことも珍しくなく、沈黙が続くだけで「開発が遅延している」との憶測を呼ぶ構造になりつつある。
この点についてKavukcuoglu氏は「チームを全面的に信頼している」と述べ、「我々が常にフロンティアにいることは、私の中では確実だ」と強調した。外部からの批判を正面から受け止めつつも、開発ペースに揺らぎがないことを示す発言だといえる。
Gemini 3.5 Proはどこへ? リリース履歴から見えてくる判断
Googleの直近のフラッグシップ系モデルのリリース履歴は以下の通りだ。
- 2025年11月: Gemini 3 Pro リリース
- 2026年2月: Gemini 3.1 Pro リリース
- 2026年9月: Gemini 3.8 Flash リリース(直近)
夏にはGemini 3.5 Proが予告されていたが、結局リリースされなかった。Kavukcuoglu氏はFlashモデルに注力するために「少し立ち止まった」と説明しており、この判断の背景には、高コストなProモデルを中間バージョンとして挟むよりも、より軽量・高速なFlashラインを先行させてユーザーに継続的な改善を届けるという優先順位があったとみられる。(※編集部の考察)
Gemini 3.5 Proが今後リリースされるかどうかは現時点では不明であり、今回の会話でもその点への言及はなかった。バージョン番号が3.8に達しながらも3.5がスキップされたという事実は、Googleが番号の連続性よりも開発実態に即したリリース判断を優先していることを示唆している。
AGIについての見解
昨今の主要モデル発表で頻繁に語られるAGI(汎用人工知能)について、Kavukcuoglu氏は「議論の焦点は、信頼できるインテリジェントエージェントを構築できるかどうかだ」と述べた。
OpenAIが「o3はAGIを超えた」といった強い主張を行う場面が増える中、Kavukcuoglu氏の発言は対照的に実用面へ着地させるものだ。「信頼できるエージェント」という表現は、能力の高さだけでなく一貫性・安全性・予測可能性を重視する立場を示しており、GoogleがAGI論争に乗るよりも実装可能なエージェント技術の確立を優先していることが読み取れる。具体的なロードマップへの言及はなく、現実的な立場を示した発言だといえる。
詳細はGoogle says Gemini 4 release is coming 'as soon as possible'を参照していただきたい。




