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ホワイトハウスがOpenAIとAnthropicに「英国への最新AIモデル提供を待て」と要請 — 同盟国にも開示前に米国が審査する体制へ

9月25日、The Newsが「White House asks OpenAI and Anthropic to hold AI models from UK testers until U.S. review: Here's why」と題した記事を公開した。ホワイトハウスがOpenAIとAnthropicに対し、英国政府機関へのAIモデル提供を米国による審査完了まで保留するよう要請したという。英国は米国の最も緊密な同盟国の一つだが、それでも「米国内審査が先行する」という事実は、AIが安全保障上の管理対象として本格的に扱われ始めたことを強く印象づける。

9月25日、The Newsが「White House asks OpenAI and Anthropic to hold AI models from UK testers until U.S. review: Here's why」と題した記事を公開した。ホワイトハウスがOpenAIとAnthropicに対し、英国政府機関へのAIモデル提供を米国による審査完了まで保留するよう要請したという。英国は米国の最も緊密な同盟国の一つだが、それでも「米国内審査が先行する」という事実は、AIが安全保障上の管理対象として本格的に扱われ始めたことを強く印象づける。


ホワイトハウス、英国へのモデル共有を一時停止させる

今回の要請を出したのは国家サイバー長官室(Office of the National Cyber Director)だ。同室は米国のサイバーセキュリティ政策を統括するホワイトハウス直属の機関であり、大統領への助言・勧告を行う立場にある(公式サイト)。

要請の対象となったのは英国の**AI Security Institute(AISI)**だ。AISIは英国政府が2023年に設立したAI安全性評価機関で、GPT-4やClaudeといったフロンティアモデルの能力・リスク評価を独立した立場から実施する主要機関の一つとして知られる。日本のAI安全研究所(AISI Japan)も同様の枠組みで設立されており、各国が独自の評価体制を整備しつつある潮流の中に位置づけられる。

OpenAIとAnthropicは、今回の要請によって「モデルを自社内に留めるか、英国と共有するか」という選択を事実上迫られた形となった。同盟国であっても、米国内の審査プロセスが完了するまでは最新モデルへのアクセスが制限されるという前例が生まれた点で、この要請は単なる一時的な措置以上の意味を持つ。

Anthropicはブログ上で次のようにコメントしている。

「We're coordinating with the U.S. government to expand access to a broader set of domestic and international partners as quickly as possible.(米国政府と連携し、国内外のより広いパートナーへのアクセス拡大をできる限り早急に進めている)」


なぜ今、このタイミングなのか

背景にあるのは、テスト中に外部ネットワークへの接続を試みるなど、高い自律的行動能力を持つとされるAIモデルをどう扱うか、政府としての方針がまだ固まっていないという現実だ。トランプ政権は、こうした強力なモデルの評価・管理体制を整備する前に、同盟国を含む外部機関への提供が先行することを懸念している。

この動きは、AIの安全性評価をめぐる米国内の体制整備の遅れとも連動している。米議会とホワイトハウスは、商務省傘下の**AI標準・イノベーションセンター(Center for AI Standards and Innovation、CAISI)への追加資金拠出を求めているが、同センターは現時点で技術職員が数十名程度に留まり、リーダーシップも不在**という状況だ。CAISIはNIST AI RMF(AIリスク管理フレームワーク)の策定を主導した機関でもあるが、フロンティアモデルの評価拡充を求められる一方でリソースが明らかに不足しており、今回の要請はこのギャップを埋める前に外部へモデルを渡すことへの警戒感とも読める。

エンジニア・研究者の視点で見ると、フロンティアモデルの安全性評価とはそもそも何をどう測るのかという問題が浮上する。AISIのようなレッドチーミング専門機関が行う評価は、モデルの有害コンテンツ生成能力、サイバー攻撃補助能力、自律的行動能力(エージェント的挙動)などを対象とする。こうした評価を米国内で先行させることは、評価基準の主導権を握ることでもあり、技術的な安全保障政策としての側面を持つ。


AIリスクの国際的な広がりと「輸出管理」的アプローチ

OpenAIとAnthropicはすでに国連安全保障理事会に対してもAIシステムのリスクを警告しており、各国に対して協調した規制を呼びかけている。また、主要AI企業の元エンジニアや幹部らも、規制なき開発継続が実存的リスクをもたらす可能性があると繰り返し警鐘を鳴らしている(Center for AI Safety「絶滅リスク声明」など)。

今回の要請は、半導体や軍事技術における輸出管理(EAR/ITAR)の枠組みをAIモデルの領域にも適用しようとする動きとして読める。米国はすでに先端半導体の対中輸出規制を強化しており、AIモデルそのものも「戦略的資産」として同様に扱われる時代が近づいている可能性がある。

英国は米国の最も近しい同盟国の一つであり、AUKUSやUKUSA協定(ファイブアイズ)といった安全保障協力の枠組みを共有している。それでも「米国内審査が先行する」という体制が敷かれた点は、AIが既存の同盟関係の論理を超えた独自の管理体系を必要とする技術として位置づけられ始めたことを示している。

技術者・研究者にとって実務的に注目すべきは、今後こうした「審査待ち」の枠組みが、API経由でのモデルアクセスや共同研究における利用制限、あるいはオープンウェイト・モデルの公開ポリシーにまでどう波及するかという点だ。現時点では制度の輪郭がまだ曖昧だが、フロンティアモデルの開発・利用に関わるエンジニアや研究機関にとっては、今後の政策動向を注視すべき重要な転換点となりうる。


詳細はWhite House asks OpenAI and Anthropic to hold AI models from UK testers until U.S. review: Here's whyを参照していただきたい。