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Ask the Professionals

社長(非エンジニア)が、土日でシステムを作ってくる——Libertyship澤井CTOに聞く、ドメイン知識をプロダクト価値に変えるAI駆動開発フロー

AIで「誰でもコードが書ける」時代になった。非エンジニアの社長が土日でシステムを作り、翌週には新機能のプルリクを出してくる——。宮崎のベンチャー企業Libertyshipで、そんな現実に直面したCTO澤井 友恵氏は、「最初はちょっと迷惑でした(笑)」と率直に語る。しかし葛藤の先に見えてきたのは、AI時代のCTOが本当にやるべき仕事だった。サウナをIoTでつなぐユニークな事業を展開しながら、少人数チームで品質管理の仕組みを作り上げた澤井氏に、AIが変えた開発の最前線を聞いてきた。

AIで「誰でもコードが書ける」時代になった。非エンジニアの社長が土日でシステムを作り、翌週には新機能のプルリクを出してくる——。

宮崎のベンチャー企業Libertyshipで、そんな現実に直面したCTO澤井 友恵氏は、「最初はちょっと迷惑でした(笑)」と率直に語る。しかし葛藤の先に見えてきたのは、AI時代のCTOが本当にやるべき仕事だった。

サウナをIoTでつなぐユニークな事業を展開しながら、少人数チームで品質管理の仕組みを作り上げた澤井氏に、AIが変えた開発の最前線を聞いてきた。


宮崎のベンチャーで、CTOをやるということ

── まず自己紹介をお願いします。

澤井: LibertyshipのCTO澤井 友恵と申します。エンジニアのチームとしては2、3人ほどの中でのCTOなので、自分自身も手を動かしてコードを書いたりするし、PdM的なところもするし、採用もするし、「何でもやってる」感じです。

── どんな事業を行っているのでしょうか?

澤井: 2019年に創業した宮崎のベンチャー企業なんですけれども、当初はPMO事業やECサイト・Web系のコンサルティングからスタートした会社です。そこからどんどん事業を広げていって、サウナ事業だったりとか、オフラインでの事業プロデュースをしたりとか、宮崎で飲食店を運営したりという形で事業領域をどんどん広げています。


スマホをポチッと押したら、目の前でサウナがボっとついた

── サウナ事業、とても興味深いです。技術的な面白さを教えてください。

澤井: 特にサウナのIoTというところで、物理的にものが動くってところはシンプルに面白いですね。

私自身も元々Web系のエンジニアではあるんですけれども、基本的には画面の中で完結するじゃないですか、Webの世界だと。それが、スマホのボタンをポチッと押したら目の前でボっと言ってサウナのスイッチが入る——それだけでも結構ワクワクがありましたね。

── 逆に(プロダクトとして)難しい点などありますか?

澤井: そうですね、いくつもありますけど、例えば現場の通信環境に仕事が左右されるっていうのはありますね。通信が途切れてしまった時点で、もう現地で何が起きているかわからないみたいな。

そこでどう対策するかと言うと、普通に電話です(笑)お客さんと電話で連絡しながら「ちょっとブレーカー下げ上げしてみてください」とかいう話をしたりするんですけど、まあ、そういう難しさの部分も含めて面白さかなと思ってます。

── サウナ施設全体をIoTで管理しているんですね。

澤井: そうですね。うちには「SAUNA TRAVEL」という予約システムサービスもあるんですが、それらとサウナのIoTを連携させているので、予約情報に従ってサウナが自動でコントロールされます。

予約された時間に合わせてサウナのスイッチがONになったり、水風呂の給水をしたり——サウナって、たくさんの電気やガスを使うので、管理側としては、常時つけっぱなしにはしたくないんですよね。あと鍵もスマートロックと連携できるようにして、予約をいただいたタイミングで鍵を自動で発行する、という機能も提供していて、「ほぼ無人」の施設運営をご提案しています。

Libertyship社が建造したサウナ施設の一例(ONE SAUNA)


非エンジニアの社長がClaude Codeで開発し始めた

── 少人数で開発されているとのことですが、AI時代になって変わったことはありますか?

澤井: このAI時代になって変わった1番のところは、非エンジニアの社長が開発チームにジョインをしたというところかなと思ってますね。

非エンジニアの社長が急に、「土日で新しいシステム作りました」って言ってきたんです。その翌週には「新機能作りました」って言って、すごいコード量のPRが出てくるみたいな(笑)

── その時どう感じましたか?

澤井: 最初はちょっと迷惑でした(笑)例えるなら、Google Cloud前提のサービスなのに、AWS前提のコードが送られてきた、みたいな感じで。

でもよくよく考えたら、社長が作ったものってすごいんです。 ドメイン知識の塊だし、ビジネスに一番精通しているし、「欲しいもの」を一番よく知っている人でもある。

なので問題は「社長が作ったこと」ではなくて、出来上がったコードにアーキテクチャや保守性、パフォーマンスとかの考慮が抜けていることだったんです。


「私が指摘しなくても全部AIが指摘してくれるようになればいらなくなる」——品質管理の仕組み化

── その課題にどう対応したんですか?

澤井: 前提として、社長も元々のエンジニアもClaude Codeを使っていて、社内共通プラグインみたいなものを作っていたんですよ。

SDD(Software Design Document: ソフトウェア設計仕様書)をベースにしたClaude Codeのプラグイン(cc-sdd)があって、それを軸に仕組みを整えていきました。

更に、インフラへのアクセス制御を厳密化したり、CodeRabbitでコードレビューを自動化する、Takumi Guardで脆弱性のあるライブラリをブロックするなどと言ったツールの整備や、

要件定義や設計・レビュアー・実装担当などを別のエージェントとして独立させる、

プランニングが完了したら一旦PRを作成し、私(CTO)がレビューしたあとに実装に入れるようにするなどの、開発フローのマルチエージェント化やフロー整備を徹底しました。

── 具体的には、どのようなエージェントやフローを整備しましたか?

澤井: ざっくり言うと、設計フェーズと実装フェーズに分けた上で、それらのフェーズにおいて、実際の作業を行うエージェントとレビューを行うエージェントを分けています。

特に設計フェーズでは、設計とそのレビューを行うエージェント(*/design-reviewer)だけじゃなく、アーキテクチャ全体の観点からもレビューを行うエージェント(/architect*)もフローに参加します。

これらのエージェント群を束ねる司令塔エージェントが、作業とレビューを自動的にループさせることで、自律的に品質を高めていく仕組みです。

── 人間がレビューする前に、AI同士で何周か回っている状態なんですね。

澤井: そうです。最終レビュアーである私のところに来る時点で、品質が可能な限り高まっているという状態を目指しています。

最終的には、全体のフローは私がいなくても全部回って、私は最後のリリース判断だけ行う、っていう状態まで持っていきたいですね。


変化を楽しんだ者勝ち——AI時代のエンジニアへ

── AI時代のエンジニアリングについて、澤井さん自身はどう向き合っていますか?

澤井: AIでこう変化がすごく激しい時代で、我々エンジニアって結構その最前線にさらされていて、日々悩んだりとか楽しんだりとか色々行ったり来たりしていると思うんですけど——

まあ、やっぱり変化を楽しんだ者勝ちかなと思っていて。

弊社の行動指針の1つにも「変化を楽しむ」というのがありまして、悩みよりも、楽しむ気持ちをいつもちょっとだけ多めに持っておこうと思って過ごしています。そういうマインドが組織にとってもいい影響を与えて、最終的にはいい仕事につながると信じています。

こういう価値観に共感できて、弊社の事業に興味を持って頂ける方がいらっしゃいましたら、フルリモートで構いませんので、ぜひ一緒に働きたいですね。


プロフィール

澤井 友恵(さわい ともえ)
株式会社Libertyship CTO

2019年創業の宮崎のベンチャー企業・LibertshipのCTO。 サウナテック事業のIoT開発から全社共通基盤まで、少人数チームで多様なプロジェクトを推進。 物理世界とソフトウェアが交差するエンジニアリングに挑み続けている。

聞き手:

白石 俊平(しらいし しゅんぺい)
AI Professionals 編集長

Hajimari株式会社 シニアプロダクトマネージャー。 AI Professionals編集長として、AIエンジニア・テックリーダー向けメディアを運営。 元TechFeed創業者・CTO歴任。html5j創設、HTML5 Conference主催。