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OpenAIのAIが数学の未解決問題90件を含む722本の論文を公開 — 「準リーマン予想」「行列積の世界記録更新」など、一部の数学者が即座にフィールズ賞級と認めた成果が並ぶ

10月9日、Zvi Mowshowitz(ブログ「The Zvi」著者)が「New Math from OpenAI」と題した記事を公開した。この記事では、OpenAIの内部フロンティアモデルが数学の未解決問題90件を含む722本の論文をGitHubに公開した件について詳しく紹介されている。

10月9日、Zvi Mowshowitz(ブログ「The Zvi」著者)が「New Math from OpenAI」と題した記事を公開した。この記事では、OpenAIの内部フロンティアモデルが数学の未解決問題90件を含む722本の論文をGitHubに公開した件について詳しく紹介されている。


何が起きたのか

2026年10月6日、OpenAIはopenai/mathというGitHubリポジトリを公開した。内容は、同社の内部フロンティアモデル(Navier-Stokes証明を行ったものと同一とされる)が生成した722本の数学論文だ(うち3本は後に取り下げられ現在719本)。

論文は372のファミリーに整理されており、Proof of Atlas(数学の未解決問題を体系的に分類・追跡するプロジェクト)の分類によれば、数学全体のトップ500未解決問題のうち90問を含む。モデルは約4,000問を試行し、1問あたり平均3時間分のコンピュートを使用。プロンプトには「その問題が『未解決』であっても、解決して完全な解を提示することを意図している」という一節が含まれていた。

数学者のLevantらはこの日を「数学史上明らかに最も重要な瞬間」と呼んだ。


何が証明されたのか

今回の成果の中で特に注目度が高い項目を整理する。

準リーマン予想(Quasi-RH)が最大の話題だ。リーマン予想そのものは「リーマンゼータ関数の非自明なゼロ点がすべて実部1/2の直線上に並ぶ」という命題だが、準リーマン予想はそれより弱いバージョンであり、「臨界帯の端に近い領域にゼロ点が存在しない(ゼロ自由帯の存在)」を示すものだ。リーマン予想の完全証明には至らないものの、素数分布の精度向上に直結する重要な中間成果として位置づけられる。今回はこのゼロ自由帯の証明に成功した。数学者のAlex Kontorovichはこう反応した。

「準RH?!冗談でしょ?人間がこれをやったなら、即座にフィールズ賞だ。疑いの余地もない。ジーゲルゼロもないということは……フィールズ賞が2つか」

準リーマン予想は、素数の個数推定の精度向上や、素数を法とする平方根計算のコイン投げなし高速化などに実用上の意義がある。

行列積の計算量指数については、長年にわたり改善が試みられてきた。2020年代前半時点での世界記録はVirginia Vassilevska Williamsらによる約2.371552だったところ、今回の成果で2.25以下であることが示された。数学者のSteven Strogatzは「この進歩の跳躍はボブ・ビーモンの走り幅跳びのようだ」と表現した。ただし現時点では漸近的な結果であり、実用的な高速化につながるシナリオはまだ確認されていない。行列積は世界の計算量の大半を占めるため、将来的な影響は大きい可能性がある。

一意ゲーム予想(Unique Games Conjecture)の証明も含まれている。これはP対NP問題に隣接する重要命題で、理論計算機科学者のSubhash Khotが2002年に提唱した。近似アルゴリズムの困難性を統一的に説明する枠組みとして広く研究されてきたが、証明・反証のいずれも長年達成されていなかった。Scott AaronsonはブログShtetl-Optimizedでこう書いた。

「9歳の息子が妻(複雑性理論の研究者Dana Moshkovitz)を煽っていた。『ママ、ロボットがキャリアをかけて研究してた問題を解いたって聞いたよ!』……彼は意地悪だったが、間違ってもいなかった」


その他の主な成果

上記3件と並んで、今回の論文群には数学の複数分野にわたる重要成果が含まれている。

整数乗算の漸近的改善では、理論的に「破れないと思われていた壁」を突破した。計算量理論における長年の下限予想に関わる成果だ。

πの無理性に関する新しい定量的結果も発表された。πが無理数であること自体は古くから知られているが、今回は有理数近似の精度に関する定量的な評価を改善した。

代数幾何の分野では、**Hodge予想(代数多様体上のホモロジー類が代数サイクルで表せるかどうかを問うミレニアム懸賞問題)と、Birch–Swinnerton-Dyer予想**(楕円曲線上の有理点の個数とL関数の振る舞いを結びつけるミレニアム懸賞問題)に関する成果が含まれている。

**ヒルベルト第10問題**は「整数係数の不定方程式が整数解を持つかどうかを判定するアルゴリズムは存在するか」を問う問題で、一般形はMatiyasevichによって1970年に否定的に解決済みだが、特定のクラスへの制限版については依然として未解決の派生問題が残っている。今回はそうした制限版に対する成果が含まれている。

**Hadwiger予想**はグラフ彩色理論の中核的な未解決問題で、「グラフの彩色数がk以上であれば、完全グラフK_kをマイナーとして含む」という命題だ。今回の成果はこの予想に関して新たな進展をもたらしたとされる。

加えて、量子情報・多体物理・量子計算の分野における複数の問題にも解答が示されている。量子物理学者のIsaac Kimは「どれほど速く変化しているか、この先数ヶ月で何が起きるか、想像すら追いつかない」と述べた。


「世界は理解していない」

数学コミュニティの反応とは対照的に、この出来事は一般メディアのトップニュースにはならなかった。Joshua Gansが示したThe New York Timesの紙面には、数学に関する記事は一切なかった。Gansは自身のSubstackでこう述べた。

「722本の数学論文がOpenAIによって書かれた。これが歴史上最大の科学的進歩の日である、というのは誇張ではない」

OpenAI社内のroon(pseudonym)はこう書いた。

「昨日は重要な日として記憶されるか?難しい問いだ。指数関数的成長の中では、各局所的最大値は少し離れると見えなくなる」


証明の信頼性

成果のうち、現時点でLeanによる形式検証(機械可読な数学的証明チェック)が付いていないものは取り下げられている。数学者コミュニティには「AIスロップ(AI生成の低品質な出力)では」という懐疑論もあるが、Aaronsonは次のように切り捨てている。

「経験上、今でもこれが『本物ではない』と諭すように説明する人が出てくる。もし彼らが実世界で起きていることに少しでも更新できる人なら、数年前にすでに更新していたはずだ」

検証精度については、今回多くの数学者が誤りを探したにもかかわらず、大規模な誤りが見つかっていないことが一定の根拠になっている。推論トレースを見ると、モデルがコンピュートの相当部分を検証に充てていることも確認されている。


詳細はNew Math from OpenAIを参照していただきたい。