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Deep Dive

AIがPCを売るはずが、AIがメモリを食い尽くしてPC出荷が約20%急落 — CopilotもApple Intelligenceも購買意欲を動かせず

10月11日、Windows Latestが「AI was supposed to sell PCs. Instead, PC shipments just crashed 20% as AI eats the world's RAM, and Windows 11's Copilot agents aren't convincing buyers」と題した記事を公開した。AIがPC需要を牽引するという業界の目論見が外れ、2026年Q3のPC出荷台数が前年同期比で約20%急落した——その構造的な原因と、MicrosoftのAI戦略が消費者に響かなかった理由を丁寧に分析した内容だ。

10月11日、Windows Latestが「AI was supposed to sell PCs. Instead, PC shipments just crashed 20% as AI eats the world's RAM, and Windows 11's Copilot agents aren't convincing buyers」と題した記事を公開した。AIがPC需要を牽引するという業界の目論見が外れ、2026年Q3のPC出荷台数が前年同期比で約20%急落した——その構造的な原因と、MicrosoftのAI戦略が消費者に響かなかった理由を丁寧に分析した内容だ。


AIがメモリを食い尽くし、PCが高くて売れない

逆説的な状況だ。PC業界がこぞってAIを「次の買い替え需要の起爆剤」と位置づけていた矢先、2026年Q3のグローバルPC出荷台数は前年同期比で大幅に落ち込んだ。調査会社Omdiaは21.2%減・5,810万台、IDCは20.1%減・6,270万台と推計しており、年次下落率としては2023年Q1以来最大となる。なお、OmdiaとIDCの数値に差があるのは集計対象(Chromebookの扱いや地域区分など)が各社の方法論によって異なるためで、両社とも下落傾向そのものについては一致した見解を示している。Appleでさえ、両社の集計でMac出荷が11.3%減だった。

原因として両社が共通して指摘するのがメモリ・ストレージの価格高騰だ。OmdiaのBen Yehによれば、PCの材料費に占めるDRAMとSSDの割合は、かつての約15%から現在約40%まで上昇している。具体的な数字で示すと、2025年Q1に699ドルで売られていた一般的なノートPCの部品コストは当時435ドルだったが、2026年Q3には同じ部品が699ドル、つまりかつての完成品の値段と同額になってしまった。

この価格高騰はAIデータセンターの爆発的な設備投資と直結している。IDCは「AIデータセンターの建設ラッシュ」が世界のDRAM供給を圧迫していると明言した。AIを売るために作ったインフラが、AIを動かすPCを高くした、という構図だ。

さらに在庫問題も重なった。PCメーカーや流通業者が2026年前半に値上がりを見越して大量に仕入れたため、Q3は在庫が過剰になり需要が蒸発した。メーカー別ではHPが約31%減と最大の打撃を受けた。Omdiaはこの下落傾向が続くと見ており、Q4は24%減、2027年もさらに7%減を予測している。


Windows 11は改善中、だが安いPCはむしろ作りにくくなった

皮肉なことに、Windows 11自体はここ数年で最も良い状態にある。Microsoftは2026年3月から品質改善を約束し始め、Satya Nadellaも7月に同様の方針を改めて表明した。

実際、Windows Latest編集部の検証では、Windows 11 26H2を適用した3年前の16GB搭載ノートPCで、再起動後のRAM使用量が最大2GB減少し、アプリの起動も体感できる速さで改善した。7月更新ではシャットダウンとエクスプローラーが高速化し、9月更新では検索からWeb結果を除外できる機能が追加され、これも大幅な速度向上をもたらした。具体的には、スタートメニューやタスクバーの応答性が向上したほか、バックグラウンドプロセスの整理によりアイドル時のCPU・メモリ消費も抑制されている。

さらにMicrosoftは2026年末までに8GB RAM搭載PCへの最適化を目標として掲げており、Windows部門トップのPavan Davuluriはメモリコストの上昇を理由として挙げている。ただし、あるユーザーが26H2でもRAM使用率が**96%**に達すると報告しており、8GB向け最適化はまだリリースされていない可能性が高い。

ソフトウェアが改善されても、DRAM価格は下がらない。むしろ、Windowsが快適になればなるほど、人々が「今のPCで十分」と感じてアップグレードを先送りにする動機になる、という面もある。


高額AIハードウェアと「Copilot」への冷ややかな反応

10月7日、Microsoftは2年ぶりの大型Windowsイベントを開催したが、その大半をAIに費やした。ライブストリームのコメント欄やX(旧Twitter)では「AIより先にWindowsを直せ」という声が目立った。

Microsoftが打ち出した「ハイブリッドインテリジェンス」とは、AIの推論処理をローカルPC側とクラウド側に動的に振り分ける設計思想で、Microsoftが同イベントで提唱した概念だ。データの機密性や処理速度に応じてオンデバイス処理を優先し、クラウドへの依存を最小化することで、プライバシーとレスポンスの両立を目指している。理念としては筋が通っているが、現実のハードウェア価格はその理念とかけ離れている。また、Windows 11のCopilot機能の詳細については、Microsoftの公式サポートページも参照されたい。

同日発表のSurface Laptop Ultraは24GB RAMで2,599.99ドルから。ただし、Microsoftが公表したAIベンチマークに使ったのは64GBモデルで4,299.99ドル、128GBモデルは5,899.99ドルだ。開発者向けデスクトップのSurface RTX Spark Dev Boxは128GBで5,999ドルだが、ディスプレイもキーボードもバッテリーも付いていない。

Apple IntelligenceはMacの販売を大きく伸ばせず、Windows 11のCopilotエージェントも購買行動を変えるに至っていない。PC業界とMicrosoftが「AIへの自分たちの興奮」を「買い手が求めるもの」と誤解したというのが、記事の結論だ。


詳細はAI was supposed to sell PCs. Instead, PC shipments just crashed 20% as AI eats the world's RAM, and Windows 11's Copilot agents aren't convincing buyersを参照していただきたい。