10月13日、ZDNETが「'What's your AI stack?' The new job interview question you need to know how to answer」と題した記事を公開した。IT職種はもちろん、あらゆる職種の候補者が「AIをどう使っているか」を面接で問われる時代が到来しつつある——そんな実態と、採用担当者の本音を複数のシニアテクノロジー幹部への取材をもとに伝えた記事だ。
なお、ここで言う「AIスタック」とは、個人が日常業務で活用しているAIツール群の総称を指す。エンジニアリングの文脈で使われる「技術スタック」と同様の概念を個人レベルに落とし込んだ表現で、ChatGPTやClaude、Geminiといった生成AIツールの組み合わせや使い分けのことを意味している。この言葉自体に不慣れな候補者は、まず「自分はどのAIツールをどの業務に使っているか」を整理するところから始めるとよい。
「AIスタックを持っていない」は即アウトか
記事によると、複数のシニアテクノロジー幹部が、採用面接で「あなたの個人的なAIスタックは何ですか?」という質問を定番として使い始めているという。そして、この質問に満足のいく回答ができない候補者は、採用される見込みが低いとも明言している。
WalkMeのCIOであるTal Carmiは、ZDNETに対してこう語っている。WalkMeはデジタルアダプションプラットフォームを提供するSaaS企業であり、企業内でのテクノロジー活用を推進する立場にある人物だけに、この発言は重みを持つ。
「AIのゲームに参加していないなら、それがキャリアにとって最大のリスクだと思う。選択肢はないと思っている」
重要なのは、この質問がIT職種だけを対象としていない点だ。Carmiは「AIは今やどこにでもある。技術的な役割ではないから関係ないという考えは間違いだ」と述べており、あらゆる職種の候補者にAIへの関心と適性が求められつつある。
採用担当者が本当に聞きたいこと
各社のデジタルリーダーへの取材から浮かび上がるのは、「どのツールを使っているか」よりも「どう使っているか」を重視する傾向だ。
JPMorganChaseの消費者向け銀行部門であるChaseのCIO、Gill Hausは次のように述べている。世界最大級の金融機関のCIOとして大規模なデジタル変革をリードしてきた人物であり、採用基準の現場感として参考になる。
「好奇心、新技術を学ぶエネルギー、自分でツールを試すこと——これらは将来的にさらに重要になるスキルだ。AIを今どう使い、それをどう応用できるか、そしてこれからの旅をどう続けていくかを示してほしい」
欧州系大手資産運用会社SchrodersのグローバルエンタープライズデータプラットフォームヘッドであるSam Hoodは、ChatGPT、Claude、Geminiといった特定ツールへの好みよりも、AIの活用の仕方に興味があると明言する。Schrodersは運用資産残高が数千億ドル規模に及ぶ老舗の機関投資家であり、データ活用の最前線を担う同職からの発言として信頼性が高い。
「AIのトレンドは来ては去る。今日の人気サービスは明日には大きく変わっているだろう。重要なのは、市場が常に変化していることを認識しているかどうかだ」
製薬大手Novo NordiskのデータとAIファウンデーションのVPであるLoïc Giraudは、個人のAIスタックをほとんど聞かないと述べ、代わりに「技術的な習熟度は、どのスタックにも転用できる。求めているのは経験のある人材だ」という考えを示した。Novo NordiskはGLP-1薬などで世界的に知られる製薬企業であり、医療・創薬領域でのデータ・AI活用を統括するGiraudの視点は、他業界とは一線を画す慎重さを持つ。Gen AIやアジェンティックAIは比較的新しい技術であり、「10年以上の経験」を問うのは現実的でないとも指摘している。
「深さ」か「広さ」か——組織によって求めるものは違う
Bedfordshire Hospitals NHS Foundation TrustのCDIOであるJosh Chandlerは、医療という特性上、テクノロジーは「実証済みで、安全で、持続可能」でなければならないと強調する。NHSはイギリスの国民保健サービスであり、患者の安全に直結するシステムを扱う組織として、AIの採用基準が民間企業と大きく異なることが背景にある。
「AIや自動化に興味を持っているなら、ぜひ進んでほしい。ただ、私たちがデジタル人材に求めているのは、あらゆるツールを探求するプロフェッショナルな好奇心だ」
ここで面接対策として押さえておきたいのは、自分の知識がその組織の課題にどう応用できるかを示すことだ。すべての組織がAIの最前線にいるわけではない。面接官のビジネスが直面する課題をAIでどう解決できるかを具体的に語ることが求められる。
面接前に整理しておくべきポイント
※以下は元記事の論旨を踏まえた編集部の考察として整理したものだ。
記事の内容を踏まえると、面接に臨む前に以下を整理しておくことが実践的だ。
- 自分が日常的に使っているAIツールと、その具体的な活用法(「ChatGPTを使っている」ではなく「どんな業務で、どう使って、何が改善されたか」)
- AIツールの強みと弱みを理解しているか(ツール選定の思考プロセスを説明できるか)
- 自分の業務ドメインにおけるAIの可能性を語れるか(職種・業界に合わせた具体性)
- 継続的に学ぶ姿勢——どのツールが主流になるかは誰にもわからないため、変化に追随できることを示す
詳細は'What's your AI stack?' The new job interview question you need to know how to answerを参照していただきたい。




