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Deep Dive

AIで爆増したソフトウェアプロジェクト、大ヒットは生まれず「数千人規模の中成功」どまり — 20プラットフォームの実データが示す現実

10月16日、Sean Goedeckeが「AI is driving a boom in modestly successful software projects」と題した記事を公開した。この記事では、AIがソフトウェアの「大成功」ではなく「中規模の成功」プロジェクトを増加させているという実データに基づく考察を展開している。

10月16日、Sean Goedeckeが「AI is driving a boom in modestly successful software projects」と題した記事を公開した。この記事では、AIがソフトウェアの「大成功」ではなく「中規模の成功」プロジェクトを増加させているという実データに基づく考察を展開している。


「AIが生んだソフトウェアはどこにある?」という問いへの答え

「AIでコードが書けるなら、なぜ革命的な新製品が出てこないのか?」——この問いはエンジニアコミュニティで繰り返されてきた。Sean GoedeckeはGitHubのエンジニアであり、AI開発の現場を直接見る立場にある。彼の結論はシンプルだ。新しいソフトウェアは確かに生まれているが、それは「大ヒット」ではなく「数百〜数千人が使う小規模プロジェクト」に集中している。


データの取り方:ソフトウェアマーケットプレイス20種を横断調査

Goedeckeはソフトウェアマーケットプレイス、プラグインレジストリ、モディングプラットフォームなど20のプラットフォームでインストール数を比較した。調査期間はAIエージェント普及前後の2区間を設定しており、元記事の公開が2026年10月16日であることを踏まえると、直近データの収集範囲は記事執筆時点に近いものと考えられる。なお、このリサーチ自体もAIを活用して実施されており、データのスクレイピングと分析をAIに委ねたと本人は明かしている。調査データはGitHubで公開されている。

結果として浮かび上がったパターンは以下の通りだ:

  • NVDAスクリーンリーダーのアドオンディレクトリ:ダウンロード数1,000超の新アドオン数が約2倍に増加。ただし10,000超のものは変化なし。
  • HACS(ホームオートメーション向けコミュニティプラグインストア):インストール数100超の新アドオンが約2倍。1,000超は変化なし。
  • Steamゲーム:レビュー数100件超の新作ゲームが普及前より約60%増加。
  • ObsidianプラグインやFirefox・Chrome拡張機能、Nexusゲームモッド、Blender拡張機能でも同様のパターンを確認。
  • Google PlayストアやWordPressプラグインでは同パターンは見られなかった。後者2つについてGoedeckeは明確な理由を示していないが、審査フローの厳格さやエコシステムの成熟度が関係している可能性はある(※編集部の考察)。

一方、プロジェクト総数は約10倍に増えているにもかかわらず、大ヒット級のプロジェクトは増えていない。中程度の成功に限っては約2倍という構図だ。


なぜアドオン・モッド・プラグインを調べるのか

プラグインやモッドを分析対象に選んだ理由は2つある。

第一に、インストール数という客観的な指標で「実際に使われているか」を判断できる点だ。AIによってコードを書くこと自体は明らかに増えているが、単にリポジトリが作られただけでは意味がない。

第二に、「AIに関するソフトウェア」を排除できる点だ。AI開発ツールが増えているのは当然であり、それはいわば「シャベルを売っている」状態に過ぎない(ゴールドラッシュで金を掘る人々に道具を売る商人が儲かったという歴史的比喩に由来する表現で、インフラやツール提供側が潤う構図を指す)。本当に問うべきは、AIが「普通の人々の普通の問題を解くソフトウェア」を生み出しているかどうかだ。

ゲームのモッドやポートはその好例として挙げられている。ブラウザ上でHalo CEのマルチプレイを動かしたい、Helldivers内で飛行機を操縦したい、Super Smash Bros.をロールバックネットコードでオンラインプレイしたい——といった需要に、AIが実際に応えているケースが出ている。


AIの利用を誰も認めたがらない

興味深い点として、ホビイストコミュニティではAI使用の開示を避ける傾向が強いとGoedeckeは指摘する。AI利用を認めると叩かれるケースが多く、自発的な開示データからトレンドを読み取ることは難しい。それでもプロジェクト総数10倍・成功プロジェクト2倍という数字の背後に何らかのAI関与があることは明らかだという立場だ。


なぜ「大成功」は生まれないのか

なぜAIの恩恵が「中規模の成功」止まりなのか。Goedeckeは以下のように推測する。

macOSやGmailのような大規模プロダクトは、ユーザーが求める目に見える機能をすでに実装し尽くしている。加えて、既存機能との複雑な絡み合いにより、優秀なAIエージェントでも新機能の追加は容易ではない。

一方、ホビイスト領域で「大ヒット」が生まれにくい理由については明確な答えを持っていないとしつつ、「本当に良いアイデアを思いつくこと自体がAIには難しい」あるいは「現在の数千ユーザー規模のツールが数十万ユーザー規模に育つには時間がかかる」という2つの可能性を示している。


詳細はAI is driving a boom in modestly successful software projectsを参照していただきたい。