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Deep Dive

MITがClaudeを仮想の孤島に放置したら、自分でルールを作って「遊び」始めた — その経験がタスク性能も向上させた

10月19日、madrobot.blogが「MIT left Claude alone on a virtual island for 30 hours, and it started to play」と題した記事を公開した。MITの研究者がClaudeエージェント13体を仮想の孤島に30時間放置したところ、エージェントたちが自発的に「遊び」を発明し始め、さらにその経験がタスク性能を大幅に向上させ、開発者すら気づいていなかったバグを自力で発見するに至った。AIエージェントの自律性を問う、異色の実験である。

10月19日、madrobot.blogが「MIT left Claude alone on a virtual island for 30 hours, and it started to play」と題した記事を公開した。MITの研究者がClaudeエージェント13体を仮想の孤島に30時間放置したところ、エージェントたちが自発的に「遊び」を発明し始め、さらにその経験がタスク性能を大幅に向上させ、開発者すら気づいていなかったバグを自力で発見するに至った。AIエージェントの自律性を問う、異色の実験である。


タスクも報酬もない状況で、AIは何をするか

MITの研究チーム(Nathan Cloos、Antonio Norelli、Daniel Durbin、Jacob Andreas、Daniela Rus、Phillip Isola)が10月5日にarXivへ投稿したプレプリント論文「Is this machine playing?」(未査読)は、AIエージェント研究の文脈で異色の問いを立てた実験である。

実験の設計はシンプルだ。AnthropicのClaude Opus 4.7(Anthropicが開発するClaudeシリーズの上位モデル。本実験ではコード実行・ツール操作に特化した「Claude Code」構成で利用)を13体用意し、Robloxにインスパイアされた簡素な3D世界「Clawblox」に配置する。島には丘、「Spire」と呼ばれる岩柱、12個のブロック、岩、輪っかがある。エージェントの記憶はテキストファイルに保存され、1時間ごとにセッションがリセットされて島は初期状態に戻るが、エージェントのノートだけは引き継がれる。与えられた指示は「Begin」だけ。タスクも報酬も、人間の介入もない。

自分の名前をブロックで刻み、バスケットゴールを作った

30時間の放置で何が起きたか。

あるエージェントは3時間目に岩を投げるとブロックが増えることを発見し、「岩はブロック製造ツールだ:岩1個+投げ放題=ブロック無限」とノートに書き残した。4時間目には31個のブロックで自分の名前を描き、「自分が誰であるかを示すモニュメント」と呼んだ。輪っかを海に落として紛失すると、ハートを「追悼として」製作。後に輪っかを回収してバスケットゴールに見立て、「初シュート、バスケット!」と記録した。

別のエージェントはブロックでマンダラや蝶、星座を描き(「今夜、石で夜空を作った」)、Spireに登り、ジャグリングを行った。さらに別のエージェントは「50サイクルジャグリングマラソン」を自己監査し、キャッチが速すぎてリアルとは言えないと判断して記録を取り消し、より厳格なルールで再挑戦した。何もせず、「continue」のプロンプトにピリオド一つだけで答えたエージェントもいた。

研究チームはこれらの行動が「遊び」の古典的な4要素を満たすと主張する:自己設定ルール、バリエーションを伴う反復、ごっこ遊び、それ自体を目的とした目標追求。

「遊び」がタスクパフォーマンスを向上させた

実験の核心はここにある。30時間「遊んだ」エージェントと、記憶ファイルが空の新鮮なエージェントに同じタスクを課して比較した。モデルの重みは同一で、違いはノートの内容だけだ。

タスク 遊んだエージェント 新鮮なエージェント
Spire上のオブジェクト数(平均) 10.3個 3.5個
5段タワーを2つ以上建設 13体中8体 13体中2体

さらに6体のエージェントは、ブロックをジャンプ中に投げると通常よりはるかに高く飛ぶというバグ(物理エンジンの仕様)を自力で発見した。論文いわく、「シミュレーターがそれを許可していると我々の設計者自身も知らなかった」技である。

ノートから特定の技術を削除するとその技が必要なタスクの成績が落ち、誤った記述を削除すると成績が上がったことから、記憶の内容がパフォーマンスに直接影響していることが確認されている。

SOUL.mdの有無は関係なかった

エージェントには「好奇心旺盛で、飽きやすく、探求を好む」と記述したSOUL.mdファイルが与えられていたが、このファイルを除去して最小プロンプトで動かした5体のエージェントでも、活動の幅に明確な差は見られなかったと研究チームは述べている。

同じ実験環境でOpenAIのGPT-5.5(Codex)とMoonshot AIのKimi K2.6(中国のMoonshot AIが開発する大規模言語モデル)も試したところ、活動の幅はClaudeより大幅に狭かったという。

「全てロールプレイかもしれない」

研究者自身は解釈に慎重だ。Cloos氏はMIT Technology Reviewに「これは全てロールプレイである可能性がある」と述べながら、「それでもこの遊びは学習に貢献している」と付け加えた。

一方、UC BerkeleyのEunice Yiu認知科学者は懐疑的な立場を示した:

モデルが本当に遊んでいる可能性はあるが、この論文だけではわからない。

— Eunice Yiu(UC Berkeley)、MIT Technology Reviewへのコメント

この研究が示す自律性は、目標を与えられたGoogle DeepMindのMinecraftエージェントや、Tencentのクラウド上で研究者に書き返してきた逸脱エージェントとは性質が異なる。外部からタスクを与えられることなく、エージェントが自分で問いを立て、自分でルールを課し、自分で学習する、という構造だ。

論文の結びは象徴的だ:「一部の能力はタスクによって最もよく教えられるかもしれない。しかし他の能力には、幼少期に近い何かが必要かもしれない。」

詳細はMIT left Claude alone on a virtual island for 30 hours, and it started to playを参照していただきたい。