10月19日、Analytics India Magazineが「Claude Code is 3x Faster, Thanks to a 34 Year Old Tool」と題した記事を公開した。Anthropicが34年前の圧縮ツール「gzip」を活用してClaude Codeのレイテンシを大幅に改善した経緯を紹介している。
34年前のツールで3倍高速化
AnthropicはClaude Codeの応答速度を複数のプラットフォームで改善した。8月比での改善幅は以下のとおりだ。
- ローカルセッション:3倍高速化
- クラウドセッション:2.8倍高速化
- API・チャット・Coworkプラットフォーム:1.5倍高速化
そのキモとなった技術が、gzip——1992年10月にリリースされた、34年前のデータ圧縮ユーティリティである。
AnthropicはXへの投稿でこう説明している。
「Claude Codeは、毎ターン送信する会話をgzip圧縮するようになりました。これによりモデルへの到達が速くなります。クラウドセッションはタイピングを開始した瞬間に起動します」
測定条件についても整理しておく。ローカル・クラウドの数値は最初のトークンが返るまでの待ち時間の90パーセンタイル(p90)で、モデルの処理時間は含まない。つまり、会話データの転送やセッション起動にかかる遅延を切り出した数値だ。一方、APIの1.5倍という数値は中央値(p50)でモデル処理時間込みのため、単純比較はできない。
gzipとは何か
gzipは、Jean-Loup GaillyとMark Adlerが開発したフリーの圧縮ツールだ。UnixのcompressユーティリティはLZWアルゴリズムに特許上の問題があったため、その代替として作られた経緯がある。1992年10月の初リリースから現在まで、WebサーバーのHTTPレスポンス圧縮(RFC 2616で標準化)をはじめ、データの保存・転送に広く使われ続けている。
AIコーディングツールの高速化というと、モデルの軽量化や推論エンジンの最適化が真っ先に思い浮かぶ。しかし今回の改善は、会話履歴のペイロードをそのまま投げていたところを圧縮するという、ある意味で古典的なアプローチだ。Claude Codeはコーディング作業の性質上、会話コンテキストが長大になりやすい。ソースコード・エラーログ・ツール実行結果といった冗長なテキストが蓄積するため、gzip圧縮との相性がとりわけ良かったと考えられる。インフラ側の抜本的な改修ではなく、送信データを圧縮するだけでここまでの効果が出た点は、シンプルな最適化の見直しが今もなお有効であることを示している。
直近の高速化の流れ
今回の改善は、先月のClaude web・デスクトップ版の3倍高速化に続くものだ。Anthropicは2週間のエンジニアリングスプリントで3,000件以上の変更をマージし、Claude.aiを開いてからタイピング可能な状態になるまでの時間を75パーセンタイルで3.1秒から0.55秒に短縮した。速度改善を短期集中で積み重ねるアプローチが、Claude Code・Claude.aiの双方で一貫して取られている。
新モデルバリアントの投入
速度改善と並行して、AnthropicはOpus・Sonnet・Haikuの新バリアントも投入している。
- **Opus 5.5**:エージェント型コーディングと専門知識業務向け。Opus 5比40%安いコストで、Claude Fable 5.1(Anthropicが同時期に提供する上位モデル)と同水準の性能を提供するとされる。
- **Sonnet 5.5**:多くのタスクで30%以上高速化、コストも最大30%削減。
- Haiku 5.5:大量処理・コスト重視のワークロード向け。
これらの新バリアントはいずれも速度・コスト効率の改善を前面に打ち出しており、インフラレベルのgzip最適化と同じ方向性——ユーザーが感じるレイテンシと運用コストの低減——を製品全体で追求している姿勢が見える。
詳細はClaude Code is 3x Faster, Thanks to a 34 Year Old Toolを参照していただきたい。




