10月21日、CNBCが「OpenAI to bring AI models to Google's cloud, in further expansion beyond Microsoft」と題した記事を公開した。この記事では、OpenAIのAIモデルがGoogle Cloudでも利用可能になり、主要クラウド3社すべてへの展開が完了することについて詳しく紹介されている。
MicrosoftとOpenAIの「独占」が終わった後に何が起きたか
この動きを理解するには、6ヶ月前の転換点を押さえておく必要がある。
2026年4月以前、MicrosoftはOpenAIの知的財産に対する独占ライセンスを保有していた。 その独占が終わった翌日、AWSがOpenAIモデルのホスティング計画を発表した。そして今回、GoogleがOpenAIのGPT製品を自社クラウドの「モデルガーデン」と、コーディングツール「Antigravity」(Google Cloudが提供するAI支援コーディングツール)に数週間以内に統合すると発表した。
結果として、OpenAIのモデルはAWS・Azure・Google Cloudという主要クラウド3社すべてで利用可能になる。Microsoftとの蜜月から始まったOpenAIが、いまやベンダー中立なマルチクラウド戦略へと舵を切った格好だ。
OpenAIはブログポストで次のように述べた。
「Google Cloudの機械学習とAIへの長年の投資は、AIワークロードと、それを構築する開発者やデータサイエンティストにとっての目的地となっている」
なぜGoogleなのか、なぜ今なのか
エンタープライズ向けの収益拡大がOpenAIの主な動機だ。ChatGPTで消費者向けのブランドは確立した。次の戦場は、企業の開発者が日常的にAPIを叩くインフラ層である。
Google Cloud側の文脈も重要だ。同社のクラウド部門は2026年、急成長を続けている。年換算の売上成長率は**第1四半期の63%から第2四半期には82%**に加速した。同時期のAWSが37%、Azureが42%だったことと比較すると、GoogleのクラウドにはAI需要を背景とした強い追い風が吹いている。
ただし、企業のAI支出の実態を見ると、法人向けコーポレートカード発行会社Rampのデータでは、ビジネスのAI支出の大半はOpenAIとAnthropicに集中しており、GoogleのGeminiモデルを業務システムに統合している企業はまだ限られる。OpenAIのモデルをGoogle Cloudから調達できるようにすることは、GoogleにとってもAIワークロードの取り込みという実利がある。
Google Cloud上でOpenAIモデルが使えるようになると、具体的には次のような恩恵が生まれる。既存のGoogle Cloudインフラ上でアプリケーションを構築している開発者は、クラウドベンダーを切り替えることなくGPT系モデルをAPI経由で呼び出せるようになる。また、モデルガーデンへの統合により、VertexAIのMLOpsパイプラインやデータ管理基盤とOpenAIモデルを組み合わせたワークフローの構築も視野に入る。AWSへの展開(Amazon Bedrockへの統合)と構造的に似た形だが、Google CloudはTPUをはじめとする独自AIアクセラレータとの連携という固有の強みを持つ点が異なる。※編集部の考察
OpenAIとGoogleの関係の変遷
この提携には歴史的な皮肉がある。OpenAIは2015年に設立された非営利のAI研究機関として出発した。2017年にはGoogleの研究者たちがAIを根本から変えた論文「Attention Is All You Need」(Transformerアーキテクチャの原典)を発表したが、その技術を一般に普及させたのはOpenAIのChatGPTだった。
両社はすでに昨年、一度パートナーシップを結んでいる。OpenAIがChatGPTとAPIの運用にGoogle Cloudを利用すると発表したのがその時だ。今回はさらに踏み込み、Google Cloudのエコシステムに直接モデルを組み込む形となる。
現在、OpenAIは1.4兆ドルの評価額で300億ドルの資金調達を進めており、IPOも視野に入れている。マルチクラウド展開によるエンタープライズ収益の拡大は、その前提条件の一つと見ることができる。
詳細はOpenAI to bring AI models to Google's cloud, in further expansion beyond Microsoftを参照していただきたい。




