10月27日、Sergio De Simoneが「DigitalOcean Launches Learning and Data Services to Enable Self-Improving AI Agents」と題した記事を公開した。本番環境でAIエージェントが失敗したとき、その失敗をどう検知し学習に還元するか——多くのチームが答えを持てていないこの問いに、DigitalOceanが具体的なサービス群で応えた。
「考え、動き、そして学ぶ」エージェント基盤
AIエージェント開発で課題になりやすいのが、本番環境での失敗をどう学習に還元するかだ。開発時に想定した会話フローが実ユーザーには通じなかったとき、その失敗をどう検知し、どう修正するか——DigitalOceanの今回の発表はまさにその部分を狙い撃ちにしている。
DigitalOceanはLearning ServicesとAgent Data Servicesのパブリックプレビューを発表した。既存のInference EngineおよびManaged Agentsと組み合わせることで、エージェントがリアルな運用データをもとに自律的に改善し続けるサイクルを実現するという。
DigitalOceanはこの構想をこう表現している。
Inference Engineでエージェントが「考え」、Managed Agentsで「行動し」、そして今回のAgent Learning ServicesとAgent Data Servicesで「改善する」——すべてをオープンなクラウド上で、顧客自身のデータを使って。
Learning Servicesの3層構造
Learning Servicesは以下の3つの機能で構成される。
- Insights:エージェントの活動ログを記録する
- Signals:失敗パターンやパフォーマンスの低下箇所を特定する
- Evaluations:改善案をデプロイ前にリアルな会話シミュレーションで検証する(Simulationsとも呼ばれる機能を内包する)
特にSignalsとEvaluationsの組み合わせが重要だ。あるユーザーがエージェントとのセッションを途中で放棄した場合、Signalsがそのセッションを異常として検知し、Evaluations内のシミュレーション機能が修正案を本番投入前にテストする。TinyFishの共同創業者Keith Zhaiはこの点を次のように評価している。
SignalsとSimulationsは、そのセッションを修正に変えてくれる——400人目のユーザーが同じ壁にぶつかる前に。(中略)ツール呼び出しは成功しているのにユーザーが離脱しているという状況は、多くのエージェントスタックが崩れる場所だ。ボトルネックは、ユーザーが実際に経験したセッションを誰かが読めるかどうかだ。
見落とされがちな「書き戻し」ループ
Agent Data Servicesは、ドキュメント・動画・音声・ログ・エージェントセッションを処理・インデックス化し、統一カタログ経由で検索可能にする管理データ基盤だ。ガバナンスとアクセス制御も組み込まれており、具体的にはデータソースごとのアクセス権限管理や、どのエージェントがどのデータセットを参照・書き込みできるかをポリシーベースで制御する仕組みを指す。複数チームや外部パートナーがエージェントを運用する場面で、データの混在や意図しない参照を防ぐ役割を担う。
ここで技術的に面白いのが、Learning Servicesとの統合設計だ。Signalsがセッションデータを書き込み、Optimizerがそこからトレーニングデータとテストデータを引き出す——ただし顧客が明示的にオプトインした場合のみ。
この「書き戻し」の仕組みについて、LinkedInではエンジニアたちから反応が出ている。LakeOps共同創業者のJonathan Saringはこう述べた。
私が最も興味深いと感じるのは、書き戻しループの部分だ。トレース、ツール呼び出し、成果が評価や学習に流れ込んだ瞬間、それらは「ただのログ」ではなく本番データになる。
シニアエンジニアのDeepanshu Udhwaniも同様の観点から指摘する。
書き戻し側は、誰もが語るエージェントデータレイヤーの読み取り側と比べて過小評価されている。多くのチームが優れた検索を構築しながら、結果のロギングを適切に行わない。6ヶ月後には、どのツール呼び出しが実際に機能したのか、どれがその場だけ問題なさそうに見えただけなのか、誰も判断できなくなる。
別途注目すべきInference Routerの強化
Learning Servicesとは独立した機能として、Inference Routerも強化された。タスクの要件に応じたモデル選択の最適化、コストと品質のバランス調整、そして新しいモデルバージョンへの同一評価の再実行をサポートする。継続改善サイクルの中でモデル自体の入れ替えも扱えるようにする設計だ。
提供状況
| 機能 | 提供状況 |
|---|---|
| Insights、Signals、Evaluations(Simulations機能を含む) | パブリックプレビュー |
| Inference Router最適化 | プライベートプレビュー |
| Agent Data Services | プライベートプレビュー |
詳細はDigitalOcean Launches Learning and Data Services to Enable Self-Improving AI Agentsを参照していただきたい。




