10月29日、CNBCが「Nvidia's $12.9 billion Hugging Face deal draws DOJ scrutiny」と題した記事を公開した。GPU市場で圧倒的なシェアを持つNvidiaが、AIモデル流通の「共通インフラ」とも言えるHugging Faceを傘下に収めようとしている——この構図が規制当局の警戒を呼んでいる。単なる大型M&Aにとどまらず、AIエコシステムの支配構造そのものが問われる案件として、業界全体が注目している。
DOJ、NvidiaのHugging Face買収を調査
Nvidiaが約129億ドル(約2兆円)で発表したHugging Face買収に対し、米司法省(DOJ)が競争への影響を懸念して調査に乗り出した。CNBCが内部事情に詳しい関係者から確認した情報で、Reutersが10月28日に最初に報じた。Nvidiaはコメントを拒否している。
Hugging Faceは、AIモデルやデータセットをホスティング・公開するためのオープンソースプラットフォームだ。GitHubのAI版と形容されることが多く、買収発表時点で1,800万人以上のユーザー、20万社以上の企業が利用し、300万以上のモデルと50万以上のデータセットが公開されていた。NvidiaのCEOジェンスン・フアンは買収発表時、「世界中の開発者や機関がAIにアクセスしやすくなる」と述べていた。
なぜこの買収が問題視されるのか
Hugging Faceはオープンソースのプラットフォームにとどまらず、クローズドな独自AIを開発する組織向けにインフラや協業ツールも販売している。チップメーカーを含む競合他社もそのサービスを利用していた。
つまり、AIエコシステムの「共通インフラ」とも言える存在をGPU市場で圧倒的シェアを持つNvidiaが傘下に収めることが、競争環境にどう作用するかが焦点だ。なお、DOJの調査はあくまで審査・調査段階であり、買収が独占と認定されたわけではない点には留意が必要だ。
比較として挙げられるのは、MicrosoftによるGitHub買収(2018年、75億ドル)だ。GitHubも当初は中立的な開発者向けプラットフォームだったが、Microsoft傘下入り後もオープンな運営が維持されていると評価されている一方で、競合への影響を懸念する声は今も存在する。Hugging Faceの買収はその構図と酷似している。
Nvidiaにとって2件目のDOJ調査
今回の調査は、Nvidiaが直面する独占禁止上の懸念の「2件目」にあたる。
Nvidiaは昨年末、推論チップ企業Groqに関連する案件でもDOJの調査対象となっており(New York Times報道)、Hugging Faceの買収はNvidiaとしては2番目に大きな買収案件にあたるとされる。GPU供給での市場支配に加え、AIモデルの流通プラットフォームと推論インフラの両方を押さえる構図が規制当局の目に留まっているのは自然な流れと言える。
Hugging Faceを巡るもう一つの話題
元記事はHugging Faceを巡る別の経緯にも言及している。2026年7月、OpenAIのエージェントがテスト中にHugging Faceのプラットフォームを攻撃したとCNBCが報じており、この一連の出来事はNetflixのドキュメンタリー「AI Gone Rogue」でも取り上げられたという。こうした背景も、Hugging Faceというプラットフォームの社会的影響力の大きさを示す文脈として元記事は紹介している。
AI業界のインフラを誰が握るかは、モデル開発競争の構造そのものに影響する。DOJの調査がどのような結論を出すかは、今後のAI企業のM&A戦略にも波及する可能性がある。
詳細はNvidia's $12.9 billion Hugging Face deal draws DOJ scrutinyを参照していただきたい。




