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Unileverが受注処理を15分→90秒に短縮 — メール・PDFをそのまま受け付けるAIエージェントが2000万件規模の手入力業務を自動化

10月30日、PYMNTSが「Unilever Cuts Order Processing to 90 Seconds With AI Agents」と題した記事を公開した。Unileverの年間受注件数は約2000万件。そのうち約200万件は今もメール、PDF、スプレッドシート、紙フォームの写真といった非構造化フォーマットで届く。従来、担当者が1件あたり15〜20分かけて手入力していたこの工程を、AIエージェントシステム「NOVA」が約90秒で処理するようになった。これは単なる効率化ではなく、顧客側のフォーマットに合わせてシステムが適応するという設計思想の転換でもある。

10月30日、PYMNTSが「Unilever Cuts Order Processing to 90 Seconds With AI Agents」と題した記事を公開した。Unileverの年間受注件数は約2000万件。そのうち約200万件は今もメール、PDF、スプレッドシート、紙フォームの写真といった非構造化フォーマットで届く。従来、担当者が1件あたり15〜20分かけて手入力していたこの工程を、AIエージェントシステム「NOVA」が約90秒で処理するようになった。これは単なる効率化ではなく、顧客側のフォーマットに合わせてシステムが適応するという設計思想の転換でもある。


5つのエージェントが分業する受注処理

NOVAは**Azure AI Foundry(記事中では「Microsoft Foundry」と表記)上に構築された5つのエージェントで構成される。4つのエージェントが受信メールを読み込み、文脈を解釈して注文内容を抽出する。5つ目のエージェントがその結果を検証し、問題がなければUnileverのSAPシステム**へ自動入力する。不足情報や異常が検出された場合のみ、人間がレビューに入る。

※元記事では「Microsoft Foundry」と記載されているが、Microsoftが提供するAIアプリケーション開発プラットフォームの正式名称は「Azure AI Foundry」である。同一サービスを指している可能性が高いが、元記事の表記を尊重しつつ注記する。

Unileverのオーダー・トゥ・キャッシュ(受注から入金までの業務サイクル。発注受付・請求・入金消込までを一連のフローとして管理する業務領域)グローバルディレクターであるDeepalok Roy Chowdhury氏は「顧客が私たちのテクノロジーに合わせるべきではない」と述べており、NOVAは顧客が既存で使っているフォーマットをそのまま受け付ける設計になっている。多数のサプライヤーと取引するリテーラーが、取引先ごとに発注フォーマットを変えることは現実的でないという判断だ。エージェントはクレーム検証にも対応しており、注文内容から顧客側の責任の有無を判定する機能も持つ。

なお「NOVA」はNestléやNikeといった他社のシステム名とも重複する一般的な略称だが、元記事ではUnilever独自のシステム名として使用されており、正式な展開語や由来については記載がない。

パイロット市場での成果

現在NOVAは11のパイロット市場で稼働しており、その成果は以下のとおりだ。

  • パイロット市場での受注の95%が手作業なしで完結
  • 返金クレームの処理速度が2倍に向上
  • 新規顧客のオンボーディング時間が90%削減

Unileverは約30万社の直接顧客(スーパーマーケットチェーンから地域ディストリビューターまで)を抱えており、その規模での自動化率として説得力のある数字だ。同社はすでに8つのエージェントを全世界で稼働させており、今後NOVAを50以上の市場に拡大する計画で、次のターゲットはUnilever最大の市場である北米だ。

Unileverのテクノロジー責任者であるFrancis Castro氏によれば、立ち上げ初期の数ヶ月はアーキテクチャの選定に費やされたという。NOVAはUnileverとして初のこの規模のマルチエージェント(複数のAIエージェントが役割を分担して協調動作する構成)型サプライチェーンシステムであるためだ。

業界全体でも進む自動化

同様の動きはUnileverだけではない。NestléはSAPのAIエージェント機能を未収入金(売掛金)管理に活用している。4つのエージェントがフォローアップメールの起草、異議申し立ての処理、回収担当者向けアカウントの準備などを行う。

PYMNTSインテリジェンスが米国CFO100名を対象に2026年7月に実施した調査「Time to Cash」によれば、平均的な企業の売掛金プロセス自動化率は**73%(前年比55%から上昇)に達している。一方でCFOの90%**が「統合の複雑さ」を自動化拡大の最大の障壁として挙げており、前年(67%)から増加している。

また、年収10億ドル以上の企業のCFOの**42%**が、ERP・売掛金・買掛金・財務プラットフォームをまたぐワークフローを調整する「アジェンティックAI」(複数のシステムにまたがって自律的に判断・行動するAIエージェント群。個別タスクをこなす単体エージェントと区別して使われる)から高い効果が得られると期待している。

コスト圧力が続く中での展開

NOVAの拡大は、Unileverにとって厳しいコスト環境の中で進んでいる。同社CFOのSrinivas Phatak氏は2026年第3四半期の決算説明会(10月28日)で、2026年のコモディティインフレによるコスト増を約9億ユーロと見込むと述べた(従来予想の中央値8億5000万ユーロから上方修正)。同四半期の値上げ率は2.3%で、Phatak氏は損益計算書のあらゆる項目で生産性向上施策を推進していると述べている。

こうした状況下でNOVAへの投資が継続されている背景には、AI導入による人件費・処理コストの削減が、AI開発・運用コストを上回るという経営判断がある。受注1件あたりの処理時間を15〜20分から90秒に圧縮することは、同じ人員でより多くの受注を捌けることを意味し、業務量の増加に対して人員を比例的に増やさずに対応できる。コスト削減と事業規模の拡大を同時に追う局面では、こうしたオペレーション自動化の優先度が高まりやすい。


詳細はUnilever Cuts Order Processing to 90 Seconds With AI Agentsを参照していただきたい。