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Deep Dive

Revolutが中国製オープンウェイトLLMの自社ホストでAIコーディングコストを90%削減 — Claude・GPT依存から離れた2,000人規模の現実解

11月3日、Analytics India Magazineが「Europe's Biggest Tech Startup Cuts AI Coding Costs by 90% Using Chinese Model」と題した記事を公開した。欧州最大のスタートアップであるRevolut(レボルト)が、中国製オープンウェイトモデルの自己ホストによりAIコーディングコストを90%削減した事例を詳しく紹介している。

11月3日、Analytics India Magazineが「Europe's Biggest Tech Startup Cuts AI Coding Costs by 90% Using Chinese Model」と題した記事を公開した。欧州最大のスタートアップであるRevolut(レボルト)が、中国製オープンウェイトモデルの自己ホストによりAIコーディングコストを90%削減した事例を詳しく紹介している。


トークン単価を30セント/百万に:GLM自己ホストの経済性

英国フィンテック大手のRevolutが、AIコーディング用途の推論コストをAnthropicおよびOpenAI利用時の約10分の1に削減した。

採用したのは、中国のAIラボ**Z.aiが開発したオープンウェイトモデルGLM**(具体的にはGLM-5.3)の自己ホスト運用だ。Z.aiは智谱AI(Zhipu AI)が展開するブランドで、GLMシリーズはコーディングおよびサイバーセキュリティ分野での性能向上が注目されている中国発のオープンウェイトモデルである。なお「オープンウェイト」とはモデルの重みが公開されていることを指し、学習コードやデータセットまで含めて公開される「オープンソース」とは厳密に異なる。

インフラは米国内に構築しており、中国のエンドポイントにリクエストを送信する形式ではなく、モデルの重みをダウンロードして自社GPUで推論を実行している。RevolutのAIオペレーション責任者であるDavid Abitbolは、AI Engineeringカンファレンスの技術セッションでこの数字を明かした。

「GLMの自己ホストにより、トークンのブレンドコストが100万トークンあたり30セントになった。請求額はAnthropicやOpenAIに払っていた頃の10分の1だ。」

— David Abitbol(Revolut AIオペレーション責任者)

コスト削減だけでなく、約2,000名のエンジニアを対象としたサンプル調査では、エンジニアリングのリードタイム70%短縮、コーディング時間60%削減という結果も報告されている。


月に最大1万ドルの請求が引き金だった

Revolutがコスト問題と向き合うようになったのは、2025年1月にAIツールの社内導入を開始したことに遡る。当初はGeminiを内部データアクセス用途に、次いでAnthropicのClaude Codeを試験導入した。

しかしすぐに問題が浮上した。一部のエンジニアが月1,000〜10,000ドルを使っており、明確なROIが示せない状態だったのだ。これを受け、同社は利用予算に厳しい上限を設けた。

ただし、予算制限によるトークン上限はエンジニアの生産性を損なうという別の問題も引き起こした。Abitbolによれば、トークン制約を外すことで、エンジニアがドキュメント検索、メール管理、開発タスクの調整といった付帯作業に費やす時間が減少したという。


56枚のB200 GPUで2,000名のエンジニアを支える

現在のインフラ構成は以下の通りだ。

  • NVIDIA B200 GPU × 56枚で約2,000名のエンジニアの対話型ワークロードを処理
  • インタラクティブ用途の生成速度は約200トークン/秒
  • 夜間(午後5時以降)はGPU需要が下がるため、最大800トークン/秒まで利用可能
  • 目標とするTime to First Token(最初のトークンが返るまでの時間)は3秒未満
  • Abitbolによれば「5秒を超えるとエンジニアから苦情が来る」

さらに、2026年4月の展開開始(本記事執筆時点では約7か月前にあたる)から8月にかけて、GPUを追加せずにパフォーマンスを大幅に改善した。リクエスト/秒は約3から7超へ増加し、Time to First Tokenは10秒超から約1.6秒に短縮。需要が76%増加したにもかかわらず、パフォーマンスは88%向上した。この改善は計算リソースの追加ではなく、推論最適化によるものだとAbitbolは説明している。


商用モデルは完全には捨てていない

RevolutはGLMで全ての用途を賄っているわけではない。画像認識など特殊なワークロードには引き続きClaude Code、Codex、Geminiといった商用フロンティアモデルを使用している。GLMが担うのは主にコーディングタスクだ。

Abitbolは「オープンウェイトモデルはRevolutにとって優先事項になった。経済合理性があり、請求が定額で、月末に驚くような請求が来ない」と述べている。

なお、CEOのNik Storonskyは10月に、Revolutが顧客の取引データを学習データとした独自AIモデルの開発を進めていることを明かしている。同社の1日あたりの取引件数は3,000万〜4,000万件に上る。


欧州最大の非上場テクノロジー企業としての背景

Revolutは2024年時点の評価額が450億ドルだったが、2025年7月の株式売却ラウンドで1,150億ドルへと急伸し、欧州で最も評価額の高い非上場テクノロジー企業の地位を固めている。これだけの規模のフィンテック企業がコスト最適化のためにオープンウェイトモデルの自己ホストに踏み切ったという事実は、商用APIの高コストに悩む企業にとって、自己ホスト型オープンウェイトモデルという選択肢が現実的に成立し得ることを示すケーススタディとなるだろう。

詳細はEurope's Biggest Tech Startup Cuts AI Coding Costs by 90% Using Chinese Modelを参照していただきたい。