11月6日、LA Timesが「Google's AI success is putting its search dominance at risk」と題した記事を公開した。GoogleのAI戦略の成功が、自社の主力事業である検索広告収益を侵食しつつあるという構造的ジレンマについて詳しく報じている。
「金の卵を産むガチョウ」が揺らいでいる
GoogleのAIへの注力が、皮肉にも自社の屋台骨を脅かしている。
親会社Alphabetが直近の決算で予想を下回る検索収益を報告した。注目すべきは、その要因の一つとして同社自身が「AI Modeの普及」を挙げた点だ。AI Modeとは、Googleが提供する検索のAI統合版で、従来の青リンク型検索結果に代わりAIが回答を直接生成する機能だが、従来の検索広告より低い収益化レートで運営されている。ユーザーがAI Modeに移行するほど、広告収入が目減りする構造だ(AI Modeの概要についてはGoogle公式の解説ページも参照されたい)。
Graham Capital Wealth ManagementのCIO、Stash Grahamはこう述べている。
「金の卵を産むガチョウがそうでなくなるなら、心配する理由がある」
検索事業はAlphabetの昨年(2025年)通年売上高の半分以上を占める。その柱が揺らいでいる事実は、投資家にとって軽くない。
株価は過去最悪の月を記録
Alphabetの株価は昨年2025年に65%上昇したが、今年2026年は一転して不調が続いている。特に10月は単月で約19%下落し、同社史上最悪の月となった。この10月単月の下落によって失われた時価総額は7,580億ドルに上る。
株価の下落要因は検索収益の鈍化だけではない。
- 設備投資(CapEx)の急増:AIインフラ整備のための巨額投資が続く
- 前四半期のフリーキャッシュフローがマイナス:かつての「安定したキャッシュ創出マシン」というイメージとの乖離
- 最先端AIモデルでの競合への遅れ懸念
一方、現在の株価は今後12ヶ月の予想利益の約18倍で取引されており、今年2月の29倍や10年平均の約21倍と比較すると割安水準にある。
競合と「エージェント」という新たな脅威
検索を巡る競争環境も変化している。Citizens Inc.のアナリスト、Andrew Booneは10月29日のレポートでAlphabetを格下げしながら、こう書いている。
「エージェントはブラウザや検索に代わる、インターネットへの次の玄関口になると見ている。Googleは検索の収益化モデルを転換する過程で、大きな実行リスクを抱えている」
また、強気派として知られるYorkville IvesのアナリストDan Ivesも10月30日付のノートでこう述べた。
「AIが検索を破壊するというネガティブな論拠が、今四半期初めて現実味を帯びた」
記事ではMeta Platformsが展開するAIエージェント製品の存在感が増していることも、Googleへの競争圧力の一因として言及されている(製品名については元記事の表記を参照されたい)。
強気派が見る反論材料
とはいえ、全員が悲観的なわけではない。
River Wealth AdvisorsのCEO、Ed O'Gormanはこう語る。
「Alphabetにはクラウドをはじめ、順調に成長している他の収益源がある。急激な売りが行き過ぎている可能性もある。エージェント型検索の収益モデルがどうなるかはまだ不透明だが、まだ非常に初期段階だ」
実際、クラウド事業(Google Cloud)の成長加速は強気派にとっての拠り所となっている。
Stash Grahamも「検索の低迷が一時的であれば、今の株価は妥当な水準」としながら、「長期的な悪化なら、さらに下がるべき」とバランスのとれた見方を示している。
Alphabetが自ら推進するAIが検索収益を食う——この構造が一時的な過渡期なのか、収益モデルの根本的な転換を迫るものなのかは、まだ答えが出ていない。ただ、「AIで勝ちながら検索で負ける」可能性が現実の数字として現れ始めた点は見逃せない。
詳細はGoogle's AI success is putting its search dominance at riskを参照していただきたい。




