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テンセントが新AIモデル「Hy4」を正式リリース——画像理解とPC操作を初搭載、ゲーム・金融領域で実績も数学ベンチマークでは上位商用モデルに大差

11月6日、The Decoderが「Tencent releases Hy4 with vision and computer use, claims second place among Chinese AI models」と題した記事を公開した。テンセントの新モデル「Hy4」は、画像理解とコンピュータ操作機能を初めて搭載し、ゲーム開発や金融・オフィス領域で実用的な成果を報告している。一方、第三者機関の評価では中国内2位とされつつも、高度な数学ベンチマークでは上位商用モデルとの間に依然として大きな差が開いている——テンセント自身がその差を認めている点が、今回のリリースをめぐる議論の核心だ。テンセント、Hy4を正式リリース——画像理解とコンピュータ操作を初搭載テンセントは、プレビュー版公開から約2カ月を経て、言語モデルHy4を正式にリリースした。現時点ではモデルの重み(weights)は公開されておらず、Tencent Cloud、OpenRouter、およびテンセントのチャットボット「Yuanbao」経由でのみ利用可能だ。重みの公開時期は未定とされている。最大の新機能:画像理解とコ...

11月6日、The Decoderが「Tencent releases Hy4 with vision and computer use, claims second place among Chinese AI models」と題した記事を公開した。テンセントの新モデル「Hy4」は、画像理解とコンピュータ操作機能を初めて搭載し、ゲーム開発や金融・オフィス領域で実用的な成果を報告している。一方、第三者機関の評価では中国内2位とされつつも、高度な数学ベンチマークでは上位商用モデルとの間に依然として大きな差が開いている——テンセント自身がその差を認めている点が、今回のリリースをめぐる議論の核心だ。

テンセント、Hy4を正式リリース——画像理解とコンピュータ操作を初搭載

テンセントは、プレビュー版公開から約2カ月を経て、言語モデルHy4を正式にリリースした。現時点ではモデルの重み(weights)は公開されておらず、Tencent Cloud、OpenRouter、およびテンセントのチャットボット「Yuanbao」経由でのみ利用可能だ。重みの公開時期は未定とされている。

最大の新機能:画像理解とコンピュータ操作

今回の最大の変化は、画像理解機能の初搭載だ。Hy4は写真や複雑な図表の細部を認識できるとされており、デモでは2.8ギガピクセルの航空写真から、屋上に設置された約2メートルのコンポーネントを検出してみせた。コードで切り出し領域を生成しながら画像を探索するアプローチで、巨大な画像への対応を実現している。


Hy4が2.8ギガピクセルの航空画像から屋上の部品を探索するデモ。コードで切り抜き領域を生成しながら検索する。| 画像: Tencent

もう一つの新機能がコンピュータ操作(computer use)だ。BlenderやCADといった専門ツール、および複数アプリケーションを連携して使うタスクを対象に専用トレーニングが行われた。ゲーム開発では、自社ゲームスタジオと連携してUnreal、Unity、Godotといった主要ゲームエンジン向けに適応。テンセントの人気モバイルゲーム「Honor of Kings」では、設定タスクをほぼ完全に処理し、バグの根本原因の特定精度も大幅に向上したと開発チームは報告している。

金融・オフィス領域を重点強化

テンセントが特に力を入れたのが金融とオフィス用途だ。200名以上の金融専門家が約600件の実業務タスクでHy4を評価したテストでは、DeepSeek V4.1 Flash(DeepSeekが開発する高速推論向け軽量モデル)、Kimi K3.1 Pro(Moonshot AIが開発する中国トップクラスの汎用モデル)、GLM-5.3 Flash(Zhipu AIの最新世代モデル)といった中国の競合モデルを上回ったとテンセントは主張している。

また、ウェブリサーチ時のハルシネーション(幻覚:事実でない情報を生成する現象)率が内部テストで約16%から約5%に低下したとしている。Word、Excel、PowerPointファイルへのリアルタイム共同編集にも対応する。

金融プラットフォームのComeinは、Hy4をAnthropicのClaude Opus 5.5(Anthropicが2026年にリリースした上位フラッグシップモデル)と同水準と評価し、OpenAIのGPT-6.1 Sol(OpenAIの最上位推論特化モデル)をデータクエリで上回ると報告。エージェントプラットフォームのManus(複数のAIエージェントを束ねてタスクを自律実行するプラットフォーム)はドキュメントタスクのほぼ全件をHy4が完了したと述べている。ただし、いずれも自社内部テストによるものだ。

第三者評価では「中国2位」——ただし差は大きい

独立機関のArtificial Analysisの評価はやや異なる。同機関のIntelligence Indexでは、Hy4は35点(中央値30点)を記録し、Grok 4.7と同水準。中国モデル内ではKimi K3.1 Pro(46点)に次ぐ2位という位置づけだ。


同インデックスでHy4はKimi K3.1 Proに大差をつけられており、AnthropicのHaiku 5.5とほぼ同水準。Haiku 5.5の単価はほぼ半額だ。| 画像: Artificial Analysis

ウェブ検索なしの事実精度テスト(AA-Omniscience)では、Hy4の正答率は約50%にとどまり、答えを知らない場合に89%の確率で誤情報を生成するという深刻な問題も確認されている。

さらに高度な数学テスト「Hy-FrontierMath T5」(FrontierMathをベースに構成された、現役の数学者でも解答が難しい競技数学・研究数学レベルの問題群)では、Hy4が13.0点にとどまったのに対し、GPT-6.1 Solが97.5点、Claude Opus 5.5が91.3点と、上位商用モデルとの差は依然として大きい。


テンセント自身の評価では、全12ベンチマークでClaude Opus 5.5がHy4を上回り、GPT-6.1 Solも8項目でHy4を超えている。| 画像: Tencent

自己改善への活用と価格・安全性

AIが次世代AIの開発を支援する取り組みも注目される。エージェントシステムHyra 2.0と組み合わせることで、Hy4はテンセント内部の小規模モデルのトレーニングパイプラインを最適化し、スループットを約20%向上させたという。

また、Hy4は米スタートアップTypeSafe AI(型安全な推論システムの開発を専門とするAIスタートアップ)が設計した意思決定モデル「Jev」(構造化された判断タスクに特化した軽量エージェントモデル)を独立してトレーニングし、複数のベンチマークで元モデルを上回るバリアントを生成した。生物学・物理学向けの特化モデルも同様の手法で作成され、オープンモデルとして公開される。

価格はプレビュー版と同水準を維持。入力100万トークンあたり約0.83ドル、出力100万トークンあたり約2.50ドル。より高速・低コストな「Hy4 flash」の投入も予定されている。

安全面では、トレーニング時にハッキング関連素材を意図的に除外したとしており、生物学的ハザードに関するリスクも自社閾値を大きく下回ると説明している。詳細な安全レポートは重み公開時に合わせて発表される予定だ。

中国AI競争の現状と重みの公開をめぐる規制リスク

テンセントが前モデルHy3(2950億パラメータ、Apache 2.0ライセンス)を公開したのは今年7月のことだ。それ以降、Zhipu AIのGLM-5.3、DeepSeekのV4.1-Flash-1017、Moonshot AIのKimi K3.1 Proが相次いでリリースされ、競争は激化している。

また、重みの公開計画には規制リスクも存在する。中国の商務省と科学技術部は10月、グローバルトップ10に入るか2兆パラメータを超えるモデルの重みを対象とした輸出規制の草案を公表した。ただしオープンソースリリースには迅速承認の特例プロセスが設けられる見込みだ。

詳細はTencent releases Hy4 with vision and computer use, claims second place among Chinese AI modelsを参照していただきたい。