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TeslaがAIチップの世代別ロードマップを公開 — 2030年の第6世代「SI6」はNVIDIA現行フラッグシップと競合しうるスペック、訓練用チップは宇宙展開へ

11月6日、Anton Shilovが「Tesla unveils AI accelerator roadmap, adopts new 'SI' branding in 'Super Intelligence' push」と題した記事を公開した。この記事では、TeslaがAIアクセラレータの世代別ロードマップを開示し、第6世代推論チップ「SI6」がSI4比で80倍の演算性能を目指すこと、さらに訓練用チップ「Dojo D3」が宇宙展開を視野に入れた設計へと転換することについて詳しく紹介されている。

11月6日、Anton Shilovが「Tesla unveils AI accelerator roadmap, adopts new 'SI' branding in 'Super Intelligence' push」と題した記事を公開した。この記事では、TeslaがAIアクセラレータの世代別ロードマップを開示し、第6世代推論チップ「SI6」がSI4比で80倍の演算性能を目指すこと、さらに訓練用チップ「Dojo D3」が宇宙展開を視野に入れた設計へと転換することについて詳しく紹介されている。


「AI」から「SI」へ——ブランド刷新の背景

Teslaは自社のAIアクセラレータ群の呼称を「AI」から「SI(Super Intelligence)」に改めた。HW4→AI4→SI4、AI5→SI5、AI6→SI6という具合だ。元記事によれば、イーロン・マスクは「Artificial Intelligence(AI)」という語を「Super Intelligence(SI)」に置き換える意向を示しており、SpaceXのAI部門「SpaceXAI」も「SpaceXSI」に改名することをすでに認めている。今回のTeslaチップ群のリブランディングはこの方針と一致するものとして紹介されている。


SI6:SI4比で80倍、2029〜2030年に登場

今回の開示で最も具体的な数字が出たのがSI6(第6世代推論アクセラレータ)だ。

  • SI4比で80倍の演算性能
  • SI4比で9倍のメモリ容量(144 GB)
  • 製造プロセス:2nmクラス(Samsung Foundry、2033年まで供給契約済み)
  • パッケージ:MCM(マルチチップモジュール)
  • 投入時期:2029〜2030年

演算性能の推定値は17,280〜46,080 TOPS(兆回演算/秒)、すなわち17.28〜46.08 POPS(千兆回演算/秒)。ただしこれはSI4(HW4)の性能をどう計算するかに依存する推定値であり、SI6がサポートするデータフォーマットも未公開のため、単純比較には注意が必要だ。

参考として、NVIDIAの現行フラッグシップ「Rubin GPU」は推論用途で50 NVFP4 PFLOPSを提供しており、すでに顧客への出荷が始まっている。SI6は数字の上では競合しうるスペックだが、出荷は4年先という現実がある。現時点で両者を直接比較できる段階ではなく、SI6の仕様はあくまで開発中のロードマップ値である点に留意が必要だ。

Samsungの2nmファミリー(SF2A、SF2P、SF2Z)のどれが使われるかは不明だが、SI6のスライドにIntel 14Aプロセスでの製造計画が含まれていない点は目を引く。Terafabを通じたIntel製造は2030年代の選択肢から外れているようだ。


SI5:40倍性能、250〜800Wの幅広いTDP

SI5(HW5/AI5)については既知の情報の再確認が中心だったが、スペックをまとめると以下の通りだ。

項目 値
製造プロセス TSMC 3nm / Samsung 2nm
パッケージ MCM
メモリ 96 GB(GDDR6またはGDDR7)
推定メモリ帯域 768 GB/s〜1,536 GB/s
SI4比性能 40倍
TDP 250W〜800W(用途依存)

TDPのレンジが250Wから800Wと非常に広いことは、車載用途からデータセンター用途まで複数のSKUが存在することを示唆している。


Dojo D3:ウェーハスケールを捨て、HBMと宇宙対応へ

今回の発表で最もエンジニア的に興味深いのがDojo D3の方向転換だ。

Teslaはもともと独自のウェーハスケールパッケージング技術「System-on-Wafer(SoW)」を使ったDojo D1を開発・展開していた。しかし2025年8月にマスクがDojoプロジェクト全体をキャンセルし、SpaceXとxAIがNVIDIAハードウェアを地上・宇宙データセンターに採用することを発表した経緯がある(元記事では「排他的(exclusive)」という契約形態の詳細には言及されていない)。

その同社が今回、Dojo D3として訓練アクセラレータの開発継続を明らかにした。

D3の設計上の最大の変更点は、D1が採用していたオンチップSRAM中心のアーキテクチャを廃止し、スタック型HBM(High Bandwidth Memory)を採用することだ。チップレット構成と2.5D+3Dパッケージングを組み合わせる。

HBMへの移行はメモリ容量のスケーリングには有利だが、SRAM中心設計に比べてレイテンシ・帯域・冷却・電力の各面でトレードオフが生じる。また、HBMをウェーハスケールのロジックダイ上に積層する構成は、製造歩留まりの低下や長期信頼性の問題をはらむため、D3でウェーハスケール統合が継続されるかどうかは現時点で不明だ。

さらにTeslaはD3を「宇宙、訓練、スケーリングに最適化」すると説明している。宇宙展開向けには少なくとも一部のSKUで耐放射線(Radiation Hardening)処理が施されるとみられる。演算性能、メモリ容量、製造プロセス、開発スケジュールはいずれも未公開だ。


世代別スペック一覧

推論系(SI)と訓練系(Dojo)を合わせた全世代のスペックを以下に整理する。SI5の個別表と重複する項目も含むが、世代間の変化を俯瞰するための参照用として掲載する。

SI4 (HW4) SI5 (HW5) SI6 (HW6) Dojo D1 Dojo D3
用途 推論 推論 推論 訓練 訓練
プロセス Samsung 7nm TSMC 3nm/Samsung 2nm 2nmクラス TSMC 7nm 未定
パッケージ FCBGA MCM MCM InFO_SoW 2.5D+3D
メモリ GDDR6 16GB GDDR6/7 96GB GDDR7? 144GB SRAM 11GB/wafer HBM(容量未定)
SI4比性能 1X 40X 80X — —
ステータス 量産中 量産間近 開発中 製造中止 開発中

詳細はTesla unveils AI accelerator roadmap, adopts new 'SI' branding in 'Super Intelligence' pushを参照していただきたい。