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商用利用も自由な米国製650億パラメータモデル「Ripple-65B」登場 — 3,200万ドルで開発、Apache 2.0でデプロイしやすいdenseアーキテクチャを採用

11月7日、Matthias Bastianが「Ripple-65B Preview delivers strong agentic coding results as a fully Apache 2.0 open US model」と題した記事を公開した。AIチップ設計を手がける米スタートアップRicursive Intelligenceが、Apache 2.0ライセンスで完全オープンな650億(65B)パラメータモデル「Ripple-65B Preview」を公開した。エージェント型コーディングベンチマークでオープン米国モデル首位を主張しつつ、denseアーキテクチャによるデプロイのしやすさも訴求している。

11月7日、Matthias Bastianが「Ripple-65B Preview delivers strong agentic coding results as a fully Apache 2.0 open US model」と題した記事を公開した。AIチップ設計を手がける米スタートアップRicursive Intelligenceが、Apache 2.0ライセンスで完全オープンな650億(65B)パラメータモデル「Ripple-65B Preview」を公開した。エージェント型コーディングベンチマークでオープン米国モデル首位を主張しつつ、denseアーキテクチャによるデプロイのしやすさも訴求している。


Apache 2.0で商用利用も自由、米国製オープンモデルの新顔

Ricursive IntelligenceはAIチップ設計を主軸に据えた米国のスタートアップだ。同社は半導体レベルからAIワークロードを最適化することを目指しており、Ripple-65Bはその技術スタックの上位に位置するソフトウェア資産として位置づけられている。オープンウェイトモデルの競争が激化する中、MetaのLlamaシリーズや欧州勢のMistralが存在感を示してきたが、Ripple-65Bは「米国製・完全オープン」という点を前面に押し出している。

同モデルは12兆トークンで事前学習された大規模言語モデルであり、Hugging Face上でApache 2.0ライセンスのもと公開されている。Apache 2.0は商用利用・改変・再配布を広く認めるライセンスであり、MITライセンスと並んでOSSコミュニティで最も制約の少ない選択肢の一つだ。企業が独自サービスへ組み込む際にも追加の許諾交渉が不要である点が、実務上の大きなメリットになる。

TerminalBench 2.1でオープン米国モデル首位

エージェント型コーディングの評価基準として注目されるTerminalBench 2.1において、Ripple-65B Previewは80.52点を記録し、オープン米国モデルの中で最高スコアを達成したとRicursiveは主張している。TerminalBench 2.1はターミナル環境でのコード実行・デバッグ・ファイル操作といった複合的なエージェントタスクを評価するベンチマークだ。評価ハーネスにはTerminus 2とOpenCodeを組み合わせて使用している。Terminus 2はエージェント型タスクの実行環境を提供するフレームワーク、OpenCodeはコーディング能力の評価に特化したオープンな評価ツールセットである。

ただし、同時期にリリースされたInkling 2 Smallとの比較では、複数のベンチマークでRipple-65Bが劣る結果も出ている。なお、Inkling 2 SmallはAI研究機関Pika Labsが開発した小型高性能モデルで、エージェント型タスクへの適性が高いとされており、今回の比較における主要な競合として位置づけられている。

ベンチマーク Ripple-65B Preview Inkling 2 Small
SWE-Bench Pro v2.0 Hard 79.1% 86.3%
DeepSWE v1.1 44.3% 72.1%
MCP Atlas 71.67% 85.4/85.0%

特にDeepSWE v1.1では**44.3% vs 72.1%**と大きく差が開いており、エージェント型の複雑なタスクではInkling 2 Smallに軍配が上がる。

650億パラメータのdenseトランスフォーマー、MoEは採用せず

アーキテクチャ上の特徴として、昨今主流になりつつあるMixture-of-Experts(MoE)方式を採らず、密結合(dense)なTransformerアーキテクチャを採用している点が挙げられる。MoEは推論時に一部のパラメータのみを活性化することで効率化を図る手法だが、ルーティング機構の実装やパラメータ管理が複雑になるため、自前のインフラへの展開には一定の知識とコストを要する。Ripple-65Bは全650億(65B)パラメータを使用する従来型のdense構成を選択しており、これによりMoEモデルに比べてデプロイ時の複雑さが下がり、ユーザー自身のハードウェアへの展開がしやすいとRicursiveは説明している。また、Nvidiaハードウェア向けに最適化されている。

開発コストは3,200万ドル

Ricursiveによれば、研究開発費を含む総開発・学習コストは3,200万ドル(約47億円※記事公開日時点のレートによる概算)に留まったとしている。大規模モデルの学習コストが数億ドル規模に達する事例も出てきている中、比較的抑制されたコストでの開発だという主張だ。


Ripple-65BはInkling 2 Smallに対してベンチマーク上は劣位に立つが、Apache 2.0ライセンスによる制約のない利用と、denseアーキテクチャによるデプロイのしやすさは、自社インフラでモデルを運用したいエンジニアにとって有力な選択肢になりうる。AIチップ設計企業が独自モデルを引っ提げてオープンソースコミュニティに参入するという動きは、ハードとソフトを垂直統合する戦略の一環とも読め、今後のRicursiveの展開が注目される。

詳細はRipple-65B Preview delivers strong agentic coding results as a fully Apache 2.0 open US modelを参照していただきたい。