11月5日、SiliconAngleが「OpenAI makes new data center commitments, AI policy recommendations」と題した記事を公開した。OpenAIがデータセンター建設に関する自主的コミットメントと政策提言を発表したもので、電力費の全額負担・NDA不使用・地域住民への情報公開という三本柱の「業界自主ルール」を提唱し、同内容の法制化まで議会に求めるという踏み込んだ内容だ。
規制論議が高まる中での「先手」
今回の発表のタイミングが重要だ。元記事によれば、データセンター建設の規制強化を公約に掲げた民主党が上下院で議席を獲得したとされる選挙のわずか2日後に、OpenAIはこのコミットメントを公表した。さらに有権者は、AIインフラ事業を縮小・制限する複数の住民投票を承認している。規制論議が高まる中での先手的な動きとみることができる。
コミットメントの中身
OpenAIが公表したコミットメント文書は、主に以下の要素で構成されている。
電力コストの全額負担
1月に表明済みの方針を改めて確認した。新規送電線の建設を含む電力インフラ整備費用をOpenAIが全額負担する。さらに、プロジェクトの中断や遅延が生じた場合に他の電力消費者が損失を被らないよう、「財務的保証」を提供するとした。
フレキシブルデータセンターモデルの採用
電力需要がピークに達する時間帯には、データセンターの消費電力を意図的に絞る。この「フレキシブルデータセンターモデル」とは、電力系統の需給状況に応じてデータセンター側が負荷を動的に増減させる運用方式だ。電力会社がピーク時に大口需要家へ消費抑制を要請する「デマンドレスポンス」の考え方と親和性が高く、系統全体の安定性向上にも寄与するとされている。この手法は、すでにNvidiaやGoogleも関心を示している。
NDAの不使用
データセンター建設においてデベロッパーが地元当局と秘密保持契約(NDA)を結ぶ慣行が業界内に存在する。OpenAIはこれを行わないと明言した。開示制限の対象は「正当なセキュリティ情報、企業秘密、競争上センシティブな情報」に限定する。
地域住民への情報公開
着工前に建設計画や騒音予測を公開し、創出される雇用情報も提供する。地元の組合や職業訓練機関が事前に準備できるようにする狙いだ。施設ごとに「ローカル・コンパクト」と呼ぶ文書を作成して公開し、工事開始後は年次報告と地域窓口の設置も約束している。
法制化も求める政策提言
OpenAIはコミットメントにとどまらず、政策ペーパーを発表して議会への立法を求めた。具体的には、以下を法律で義務化・奨励するよう提言している。
- データセンター事業者のNDA使用制限
- 電力コストの事業者負担の義務化
- ピーク時の電力消費削減に対するインセンティブの付与
自社の自主基準を業界全体のルールにしようという動きは、規制環境を自らに有利な形で形成しようとするロビー活動の側面も持つ。自主規制を先に提示することで、より厳しい外部規制の導入を抑制する効果を狙っているとも読める。
追随する動きも
OpenAIが公表した「ベストプラクティス」の一部は、他社でも採用が進みつつある。Googleはワイオミング州で計画中の170億ドル規模のデータセンターについて、電力コストと関連インフラ整備費の全額負担を表明した。Anthropicも2月に同様のコミットメントを発表している。今回OpenAIが政策提言として法制化まで求めた背景には、自主的な取り組みが一部事業者にとどまっている現状を業界横断のルールへと引き上げたいという意図があるとみられる。
詳細はOpenAI makes new data center commitments, AI policy recommendationsを参照していただきたい。




