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中国AIが禁輸NvidiaチップをクラウドAPIで調達——「物理的輸出禁止でもリモート借用で迂回」という抜け穴が顕在化

11月7日、IBTimes SGが「China's Moonshot AI Offers 50% More to Get Its Hands on Banned Nvidia Chips in Europe」と題した記事を公開した。中国のAIスタートアップMoonshot AIが米国の輸出規制を迂回するため、欧州経由でNvidia Blackwell GPUへのアクセスを確保しようとしている実態を詳しく報じている。

11月7日、IBTimes SGが「China's Moonshot AI Offers 50% More to Get Its Hands on Banned Nvidia Chips in Europe」と題した記事を公開した。中国のAIスタートアップMoonshot AIが米国の輸出規制を迂回するため、欧州経由でNvidia Blackwell GPUへのアクセスを確保しようとしている実態を詳しく報じている。


「チップを輸出禁止にしても、クラウド経由で借りればいい」

米国が中国向けNvidiaチップの輸出を規制しても、海外のデータセンター経由でリモートアクセスすれば実質的に同じ計算資源を使える——この抜け穴をMoonshot AIが積極的に活用しようとしている。

CNBCの報道によると、Moonshot AIは欧州のネオクラウド事業者(neocloud operator)が運営するデータセンターにあるNvidia Blackwell GPU 8,000基以上のクラスターへの計算能力リースについて交渉を進めてきた。ネオクラウドとは、自社でGPUクラスターを調達・運用し、そのキャパシティをAI企業等に貸し出すクラウド事業者のことだ。AWS・Azure・GCPのような総合クラウドとは異なり、AI向け高密度GPUインフラに特化しているのが特徴である。

さらに特筆すべき点は、Moonshotが通常の顧客より30〜50%高い前払いプレミアムを提示する意向を示していることだ。欧州のクラウド事業者や融資会社にとって、将来的にリモートアクセス制限が強化された場合のリスクがあるため、中国企業との契約には慎重にならざるを得ない。高額の前払いはその懸念を和らげるための条件交渉とみられる。


タイの前例があった

Moonshot AIの迂回調達はこれが初めてではない。今年7月、ホワイトハウスはMoonshot AIがタイの施設を経由してNvidia Blackwellチップにアクセスしていたと指摘した。今回の欧州での交渉は、そのタイ問題が表面化した後から進められていたという。

同様の動きは他の中国AI企業にも見られる。DeepSeekやBaidu、ByteDanceなども、シンガポールやマレーシアなど規制の手が届きにくい第三国経由でGPUを調達・運用していると複数のメディアが報じており、Moonshot AIの手法は業界として広がりつつある傾向の一端といえる。

Moonshot AIが設立されたのは2023年、拠点は北京だ。同社は「Kimi」シリーズのAIモデルを開発・提供している。元記事ではKimiの具体的なモデル名やベンチマーク比較についての言及はないが、同社は大規模な計算資源の確保を事業上の最優先課題と位置づけており、積極的な海外調達もその文脈で理解できる。

「できる限り速くキャパシティを増強中で、新規サブスクリプションの枠を順次再開する予定だ」(Moonshot AI、LinkedInへの投稿)

計算資源の不足が、積極的な海外調達の背景にある。


ホワイトハウスとNvidiaの対応

この「クラウド迂回」問題はワシントンでも議論になっている。米下院は今年1月、超党派のRemote Access Security Act(RASA)を可決した。これは、ハードウェアやソフトウェアへのクラウド経由のアクセスにも輸出規制を適用しようとする法案だ。

RASAは下院を通過したものの、上院ではまだ審議中であり、成立には至っていない。法案の成立が遅れる間にも中国企業によるクラウド経由の調達は継続しており、立法の空白が抜け穴を温存し続けている構図だ。米下院の中国特別委員会は強い表現で批判している。

「中国のAIラボは米国・欧州企業から高度なチップをリースし、米国の輸出規制を迂回している。議会はRASAを可決してこの危険な抜け穴を塞ぎ、AIレースで中国に勝たなければならない。中国に世界最高のチップへのアクセスを許すことは、米国と欧州の安全保障を損なうものであり、止めなければならない。」(米下院中国特別委員会)

一方Nvidiaはクラウドプロバイダーに対し、サービスの51%以上を中国以外の顧客向けに提供することを条件として課しているという(Financial Times報道)。

Nvidiaは「米国がAIレースに勝つためには、米国のAIインフラが世界で勝たなければならない。世界のクラウドが外国製チップに依存すれば、モデルやアプリケーション層も外国製になる」とコメントしている。


チップの輸出規制だけでは限界がある

今回の一連の動きが示すのは、物理的なチップの輸出を制限するだけでは、計算資源へのアクセスそのものを止められないという構造的な問題だ。クラウド経由のリモートアクセスという形態が普及した現在、地政学的な輸出管理の枠組みはその前提から見直す必要がある段階に来ている。RASAの上院通過が焦点となるが、その間にも中国AI企業の調達網は着々と整備されつつある。

詳細はChina's Moonshot AI Offers 50% More to Get Its Hands on Banned Nvidia Chips in Europeを参照していただきたい。