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NVIDIAフアンCEO、Anthropicの対中AIチップ全面禁輸論を公開否定 —「我々の市場を彼が譲り渡す権限はない」

11月8日、Omar Sohailが「NVIDIA's Jensen Huang Rejects Anthropic's Total China Chip Ban Push, Says "I Completely Disagree" And Believes "America Is About Competition"」と題した記事を公開した。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがAnthropicのダリオ・アモデイCEOによる「中国への米国製AIチップ全面禁輸」論を真っ向から否定し、米国企業は市場から撤退するのではなく世界で競争すべきだと主張した。シリコンバレーのトップ同士が公開の場で対立した構図として注目を集めている。

11月8日、Omar Sohailが「NVIDIA's Jensen Huang Rejects Anthropic's Total China Chip Ban Push, Says "I Completely Disagree" And Believes "America Is About Competition"」と題した記事を公開した。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがAnthropicのダリオ・アモデイCEOによる「中国への米国製AIチップ全面禁輸」論を真っ向から否定し、米国企業は市場から撤退するのではなく世界で競争すべきだと主張した。シリコンバレーのトップ同士が公開の場で対立した構図として注目を集めている。


「我々の市場を彼が譲り渡す権限はない」

AIチップの対中輸出規制をめぐり、シリコンバレーのトップ同士が公開の場で真っ向から対立した。

Anthropicのダリオ・アモデイCEOはワシントンに対し、先端AIプロセッサおよび半導体製造装置の対中輸出を完全に停止するよう求めていた。アモデイはAnthropicのブログでもその立場を詳細に説明しており、AIの軍事転用リスクや中国の技術的追い上げへの懸念を根拠に、強硬な輸出管理を求めてきた人物だ。これに対しフアンはCBSのインタビューで、強い言葉で反論した。

「私は、中国への米国製品の全面禁止には完全に同意しない。米国企業が先進的な能力を持つべきなのは当然だが、その上で米国のAIテックスタック全層——従来型企業からAIモデル企業、あらゆる分野のチップ企業まで——が世界に出て行き、サービスを提供し、競争すべきだ。市場シェアを取りに行き、経済的繁栄を獲得すること。それが競争というものだ。アメリカとは競争のことだ。我々は市場全体を競い取りに行かなければならない。我々の市場を彼(アモデイ)が譲り渡す権限はない。世界市場を競い取りに行くのだ。」

フアンが「our market is not his to cede(我々の市場を彼が譲り渡す権限はない)」と2度繰り返した点は、発言の強さを際立たせている。


Vera Rubinはすでに量産出荷中——米国は中国より「数年先」

フアンは米国の技術的優位を強調するため、次世代アーキテクチャ**Vera Rubinがすでに量産出荷段階に入っている**と明かした。同プラットフォームはOpenAIのサム・アルトマンや、反論相手であるアモデイ本人を含む米国内の研究機関・企業にすでに提供済みだという。

「米国が生み出した技術は、まず米国に優位をもたらすべきだ。どの国でも、どの企業でも、どの親でも、どの産業でも、どの国家でもそうする。米国はNVIDIAの最高の技術を米国企業に最初に提供するという方針を決定しており、私はそれを強く支持している。Vera Rubinはすでに量産出荷中で、この技術において我々は中国より数年先を行っている。ダリオにも、サムにも、米国のラボや産業界にも提供済みだ。」

Vera RubinはNVIDIAのBlackwellおよびBlackwell Ultraアーキテクチャ(大規模言語モデルの学習・推論向けに設計された同社の最新世代GPUアーキテクチャ群)の後継にあたる次世代プラットフォームである。フアンの発言は、すでに数世代先の技術が米国陣営に流通しているという事実をもって、全面禁輸の必要性そのものに疑問を呈したものと読める。


AIは「5層のケーキ」——フロンティアモデルだけではない

フアンはAIエコシステムを5層構造と表現した。エネルギー、シリコン(チップ)、基盤モデル、独自データ、エンドユーザーアプリケーションの各レイヤーである。

「AIは5層のケーキだ。モデルだけではない。エネルギーセクター、チップセクター、モデル層、データ層、アプリケーション層——すべての層で米国が勝たなければならない。FedExがAI企業になることを歓迎する。WalmartがAI企業になることを歓迎する。一社や二社だけでなく、米国のすべての企業がAI企業になる必要がある。」

シリコンバレーがフロンティアモデル(GPT-4やClaudeのような最先端の汎用AIモデル)に過度に注目しがちな中、フアンはWalmartやFedExのような既存大企業のAI化こそが経済革命の本質だと主張する。国際市場を失えばチップ事業の収益基盤が揺らぎ、ひいては米国の技術覇権そのものが弱体化するという論理だ。アモデイの立場が「安全保障上のリスク管理」を起点とするのに対し、フアンの立場は「産業競争力の維持」を起点としており、両者の対立は単なる個人の見解の相違にとどまらず、米国のAI政策における根本的な価値観の衝突を映し出している。


禁輸にもかかわらず、中国へ流出するNVIDIA製GPU

現時点で中国は輸出規制によりNVIDIAのB300 GPU(Blackwell Ultraアーキテクチャに属する同社の最新世代データセンター向けGPU)にアクセスできない立場にある。しかし元記事によれば、ある調査会社が32台のB300が中国電信(China Telecom)に配備されていることを発見した。なお元記事でも調査会社名は明示されていない。密輸なのか合法的な経路によるものかは不明だが、この事実はフアンの主張——全面禁輸をしても中国は必要なハードウェアを入手する手段を見つける——を裏付けるものでもある。

トランプ政権は輸出規制の強化を政権方針の一環として掲げており、アモデイら規制強化派の主張と政策的に親和性が高い。フアンの発言は「規制で市場を失うのは米国企業だけだ」という現実的な懸念を代弁しており、政権内外での議論に一石を投じた格好だ。


詳細はNVIDIA's Jensen Huang Rejects Anthropic's Total China Chip Ban Push, Says "I Completely Disagree" And Believes "America Is About Competition"を参照していただきたい。