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AMDが「AIラック丸ごと」でNVIDIAに挑戦状 — 432GB HBM4搭載GPUと業界初2nmサーバーCPUを組み合わせた「Helios」の全貌

7月21日、WCCFTECHが「AMD Unveils Helios, Its Next-Gen AI Powerhouse With MI455X & 6th Gen EPYC, Challenging NVIDIA's Rack-Scale Dominance」と題した記事を公開した。AIインフラ市場はGPUカード単体から「ラック全体」で競う時代に突入しており、NVIDIAがVera Rubin NVL72でラックスケール市場を押さえる中、AMDがその対抗馬としてHelios AIラックを打ち出した。

7月21日、WCCFTECHが「AMD Unveils Helios, Its Next-Gen AI Powerhouse With MI455X & 6th Gen EPYC, Challenging NVIDIA's Rack-Scale Dominance」と題した記事を公開した。AIインフラ市場はGPUカード単体から「ラック全体」で競う時代に突入しており、NVIDIAがVera Rubin NVL72でラックスケール市場を押さえる中、AMDがその対抗馬としてHelios AIラックを打ち出した。


NVIDIAのラック覇権に真っ向勝負:AMD「Helios」の全貌

Heliosは、AMDにとって初めての「フルスタック・ラックレベルAIソリューション」である。構成要素は以下の3本柱だ。

  • AMD Instinct MI455X GPU(CDNA 5アーキテクチャ)
  • 第6世代 AMD EPYC「Venice」CPU(Zen 6コア、TSMC 2nmプロセス)
  • AMD Pensando AI NIC(ネットワークチップ)

さらに補助技術として、AMD Pensando DPU、AMD Infinity Fabric、ROCmソフトウェアスタックが組み合わさる。正式ローンチは「Advancing AI 2026」イベントとなる見込みで、現時点でのスペック公開は同イベントに向けた先行開示という位置づけだ(元記事時点の情報)。


MI455X:FP4で40 PFLOPs、HBM4で432GB

Heliosの核心となるGPUがInstinct MI455Xだ。CDNA 5アーキテクチャを採用し、主要スペックは以下のとおり。

項目 MI455X MI350(前世代) NVIDIA Rubin(参考値・元記事記載)
FP4演算性能 40 PFLOPs 20 PFLOPs 50 PFLOPs
FP8演算性能 20 PFLOPs 5 PFLOPs 17.5 PFLOPs
HBMメモリ容量 432 GB HBM4 288 GB HBM3e 288 GB HBM4
メモリ帯域幅 19.6 TB/s 8 TB/s 22 TB/s

※NVIDIA Rubin列の数値は元記事(WCCFTECH)が引用した比較値であり、NVIDIAの公式発表値とは異なる可能性がある。

MI350比で演算性能は2倍、メモリ容量は50%増、帯域幅は2倍超という構成だ。FP4性能ではRubinに10 PFLOPs及ばないが、FP8性能では逆に上回る。メモリ容量もRubinの288GBに対して432GBと大きく上回っており、大規模推論(Inferencing)のユースケースで差別化を図る設計になっている。

MI400シリーズには3製品が存在する。MI455XとMI450Xが大規模AI訓練・推論向け、MI430XがHPC・ソブリンAI向け(FP64性能に特化)だ。HeliosにはMI455Xが搭載される。


EPYC Venice:業界初のTSMC 2nmHPCチップ

もう一つの見どころが第6世代EPYC「Venice」だ。Zen 6コアアーキテクチャを採用し、業界で初めてTSMC 2nmプロセスで量産段階に入ったHPC向けチップとして位置づけられている。

TSMC 2nmはFinFETからNanosheet(GAA:Gate-All-Around)トランジスタへの移行を伴い、同じ電力で10〜15%の性能向上、同じ性能で25〜30%の消費電力削減、トランジスタ密度最大15%向上を実現する。

Veniceのスペックは最大96コア/192スレッド(8つのCCDと2つのI/Oダイ構成)。前世代のEPYC Turinと比較して、70%超の性能・効率改善スレッド密度30%超の向上をAMDは謳う。

NVIDIAはVera Rubin NVL72ラックで独自Arm IPベースの「Vera CPU」を使用しているが、AMDの早期ベンチマークでは、第5世代Turin(Zen 5)でもVeraを上回る結果が出ており、Venice(Zen 6)ではその差がさらに広がるとしている。エージェンティックAIワークロードでは、シングルスレッド性能とスループットの持続性がCPUに求められるため、コア数の多さに加えてシングルコア性能の高さが競争軸になっている。


「オープン標準」で差別化:Pensando NICとInfinity Fabricの役割

Heliosのもう一つの特徴は、オープン標準ベースのラックスケールネットワーキングを採用している点だ。具体的には以下の3つの業界標準規格を活用する。

  • UALoE(Ultra Accelerator Link over Ethernet):GPU間の高速インターコネクトをEthernet上で実現するための規格
  • UAL(Ultra Accelerator Link):アクセラレーター間通信の帯域・レイテンシを最適化するオープンなリンク規格
  • UEC(Ultra Ethernet Consortium)規格:AIクラスター向けに最適化された次世代Ethernetの業界標準仕様

これらの規格はいずれも業界団体が策定・管理するオープン標準であり、特定ベンダーの独自仕様ではない。

NVIDIAがNVLinkという独自インターコネクトでエコシステムを囲い込む戦略を採るのに対し、AMDはこうしたオープン標準を旗印に掲げる。実際のラック内では、AMD Pensando AI NICがホストサーバーとネットワーク間のデータ処理を担い、AMD Infinity FabricがGPU・CPU・メモリ間の低レイテンシ高帯域接続を実現するインターコネクトとして機能する。Pensando NICはDPU(Data Processing Unit)としての役割も兼ね、ネットワーク処理をCPUからオフロードすることでGPU・CPUリソースをAIワークロードに集中させる設計だ。

ソブリンAI(国家・公共機関が自国のインフラ上で運用するAI)や、特定ベンダーへのロックインを避けたいクラウド事業者・企業にとって、オープン標準への準拠は調達・運用両面で重要な選定基準になり得る。


詳細はAMD Unveils Helios, Its Next-Gen AI Powerhouse With MI455X & 6th Gen EPYC, Challenging NVIDIA's Rack-Scale Dominanceを参照していただきたい。